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Perfumeが起こした5つの大きな事件をいち音楽ファンとして考えてみる

公開日: : コラム


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2019年2月7日 AM1:30
寝ているような寝ていないような、夢と現実を行き来しながら、ふとPerfumeのことが頭に浮かびました。
はじめてPerfumeを見たのはCOUNTDOWN JAPAN 07/08-west-の小さなDJブースだったなあ……。それがROCK IN JAPAN FESTIVALのオオトリになったんだもんなあ、夢があるなあ……。そういえば2015年、『ROCKIN’ON JAPAN』6月号に掲載されたperfumreメジャーデビュー10周年インタビューのメインテーマが「Perfume 10大事件簿」だったけど、ロックング・オンとPerfume、フェスの参加者とPerfumeの間だけでも5大事件簿くらいあるよなあ……などと考えていたら完全に眼が冴えてしまったのでこうしてパソコンを開いてキーボードをパコパコと打っています。今。午前2時。曇りで星は見えそうにありません。

というわけで、いちロックング・オン・ジャパン読者、いちロックング・オン主催フェス参加者として、「ファンから見るロッキング・オンとperfumreの5大事件簿」を考えてみようと思います。

事件その1、COUNTDOWN JAPAN 07/08-west-出演
2007年ごろ、ネット界隈ではニコニコ動画でPerfumeとゲーム『アイドルマスター』との自主製作MAD動画が多数作られていた時代でした(アイドルマスターのキャラクターの口の動きに合わせてPerfumeの楽曲を流すのが流行っていた。ゲームのデジタルなキャラクターとPerfumeの無機質な歌声、テクノ的なサウンドがマッチして、局地的な盛り上がりを見せていた)。そして『ポリリズム』がオリコン週間チャートで7位にランクインするヒットを記録。『ポリリズム』以前からPerfumeで盛り上がっていたニコニコ界隈では、「Perfume売れちゃったよ!」という歓喜と、「Perfumeが一般人に見つかってしまった……」という、「売れたモノに対する悲喜あるある」が渦巻いていたように思います。でもその「売れかけ」状態がファンとしては一番楽しい瞬間なわけで。たとえば好きなアーティストがいたとして、そのアーティストが目標に向かって進んでいる瞬間が追っかけていて一番楽しいわけで。武道館で演るのが目標だと公言しているアーティストがいたとしたら、武道館公演の実現に近づいていく期間がファンをやっていて最高に楽しいわけで。で、めでたく武道館公演が実現しました。すると「このアーティストの夢を見届けたし、もう追っかけなくてもいいかな……」なんて気分になったりする人、けっこういると思います。
この時のPerfumeは完全に売れかけていて、追っかけるのが最高潮に楽しい瞬間でした。なのでCOUNTDOWN JAPAN 07/08-west-の出演者にラインナップされた時には、「Perfumeを見るためにこのフェスに行こう」と即決したものです。
Perfumeが出演したのは小さなDJブース。今の COUNTDOWN JAPANのASTRO ARENAのように大きくて立派なステージとは違い、ただDJ卓が置いてあるだけ。キャパも最高で800人くらいしか入れないだろうな、と思うくらいの小さなステージでした。でもさすがオリコン7位。DJブースから完全に人が溢れるくらいの集客を実現。DJブースは周りを半透明のカーテンみたいなもので仕切られていたのだけれど、その外にもたくさんの人が彼女たちの姿を一目見ようと集まっていました。ただ、人が溢れていたといってもギュウギュウで身動きが取れないというほどではなく、快適に見られるくらいの適度なパーソナルスペースがあったように記憶しています。
僕はこの時に初めてPerfumeのパフォーマンスを見たわけなんですが、完全に度肝を抜かれました。誰しも一度はテレビで先生が子供に振り付けのレッスンをするシーンを見たことがあると思います。ありますよね? あると仮定して進めます。そういうときって先生が「ワンツースリーフォーファイブシックスセブンエイト」って拍に合わせて振り付けを教えるじゃないですか。でもPerfumeのダンスは拍にとらわれない、斬新なものだったんですよね。“Twinkle snow powdery snow”での五芒星をシュシュシュって描く振り付けや、≪ああ あああ≫という歌詞に合わせてパンチを打つ“エレクトロ・ワールド”など、これまでの振り付けの概念から大きく乖離したものを見せつけられ、一発で彼女たちの虜になりました。だから「Perfumeかわいいー!キャー!!」みたいないわゆるアイドルを応援するという見方というよりは、「この人たちの技術、凄すぎる……」といった具合に、Perfumeのあまりの凄まじさに僕は完全に圧倒されていました。
後に出会うロッキング・オン・ジャパン総編集長の山崎洋一郎氏にこの時の衝撃を話すと、山崎さんも「あれは凄かった」と語っていたことを覚えています。
観客だけでなくロッキング・オンの偉い人まで虜にしたPerfumeは、来年もこのフェスに出演することになります。

事件その2、超満員のCOUNTDOWN JAPAN 08/09-west-
この年のPerfumeは紅白出演も決まり、完全に売れて国民的アイドルになっていました。出演するステージもキャパおよそ2万人のPLANET STAGE。後にこの場所で開催されることになるRADIO CRAZYは突出したメインステージを設けていません。大きな会場は全部メインステージ扱いです。COUNTDOWN JAPAN-west-では別の建物にあるAURORA STAGEをメインステージとしていたものの、キャパはPLANET STAGEとほぼ同じだったと思います。そんなメインステージ級のキャパ2万人の大会場でも超満員。身動きひとつ取れないほどの超圧縮。後ろの方にいたにもかかわらずギッチギチで、しかも曲の盛り上がりに合わせて観客も跳ねるから満員電車以上に過酷でした。この年一番過酷だったのはPerfumeのステージだったと断言できます。
さて、ここで伝えたいのは「ロックフェスにアイドルが出るってどうなの?」問題です。この問題は2019年になった今でもフェス参加者の間で議論されていますが、そのハシリがこの時期のPerfumeだったように思います。ですが、2008年のCOUNTDOWN JAPAN-west-で最も客を集めていたのはPerfumeでした。フェスの参加者たちはPerfumeを求めていました。「ロックフェスにアイドルが出るってどうなの?」と言っているのは外側の人間です。2008年当時と2019年現在のロッキング・オンの哲学が同じかどうかはわかりませんが、フェスっていろんな音楽を楽しめる場であったほうが絶対に楽しいと思うんです。どうせなら普段聴く機会のないアイドルだったり、フォークだったり、J-POPだったり、いろんなものがあったほうが面白いじゃないですか。ましてやROCK IN JAPAN FESTIVALは今や日本で一番多くの観客が訪れるフェスです。今まで音楽フェスに行ったことのない人が初めて訪れるフェスの筆頭がROCK IN JAPAN FESTIVALなんです。だからロッキング・オンには「音楽に詳しくない人にも最高の音楽体験をしてもらう」という責任が生まれるわけです。だからこそロッキング・オンはアイドルもフォークもJ-POPもブッキングして、音楽の一大テーマパークを作り上げました。その結果、ロックにあまり詳しくない人でも楽しめる、日本一遊びに行きやすい、参加者の敷居が低いフェスができあがったわけです。だからPerfumeは「ロックフェスにアイドルが出るってどうなの?」問題を巻き起こした張本人であり、「ロックフェスにアイドルがでてもいい!」という定理を証明した画期的なグループでもあるわけなのです。

事件その3、アイドルがロックフェスのオオトリを務めたROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
Perfumeが日本最大級のロックフェス・ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013メインステージのオオトリとして出演。これはロッキング・オン史に残る大事件であり、さらには日本の音楽史にも残る大事件でした。夏のROCK IN JAPAN FESTIVALにPerfumeは意外にも2008年から2013年まで皆勤賞で出演し続けています。最初はLAKE STAGEのトップバッター。しかし朝一番のLAKE STSGEすら入場規制にしてみせ、翌年GRASS STAGEに昇格。配置される時間帯も段々と遅くなっていき、2013年に満を持してのオオトリを引き受けました。ただ、アイドルにロックフェスのオオトリを任せることはそのフェスの旗をそのアーティストに掲げてもらうことを意味します。つまり先述の「ロックフェスにアイドルが出るってどうなの?」問題とはまた違い、「ロックフェスのメインがアイドルってどうなの?」問題を巻き起こす事態となりました。
結果から言えば、Perfumeのオオトリは大成功でした。同じ日にPARK STAGEに出演したドレスコーズの志磨遼平がライブ後のMCで「Perfume行けー!」とエールを送るなど、この日はPerfumeの元気玉を作るために全アーティストが天に手を掲げているような、そんな不思議な一体感のある日だったことを記憶しています。アーティストの誰もがPerfumeの成功を願っていました。観客も、Perfumeのロックフェスでの勝利を願っていました。そして本番――。白い衣装でステージに現れたPerfumeは“Magic of Love”を披露。地面が揺れる揺れる。そして彼女たちの歴史を網羅するかのように最新曲からインディーズ時代の楽曲まで惜しみなく披露。最後は“MY COLOR”と、彼女たちのワンマンでも最後に歌われることが多かった楽曲で本編を終えました。観客にも振り付けがあるこの曲。それを彼女たちは本編最後に選びました。なぜ彼女たちは“MY COLOR”を最後の曲に選んだのか。それは ROCK IN JAPAN FESTIVALが彼女たちにとってホームになったからにほかなりません。ただヒット曲を羅列するのではなく、観客と一緒に時代を作っていく、次のROCK IN JAPAN FESTIVALを作っていく。そんな思いがこの曲から溢れていました。アンコールは“Dream Fighter”。彼女たちが持つ無数の夢のひとつが叶った瞬間にふさわしい楽曲でした。

何年もROCK IN JAPAN FESTIVALに参加している人たちに「今までで一番すごかった光景は?」と訊くと、2013年のPerfume以上に人が集まっていた光景は見たことがない、とほとんどの人が口を揃えるほどです。その比率は今もあまり変わっていないように感じます(近年では2017年のB’zや2018年のサザンオールスターズを挙げる人も増えてきましたが)。

しかしアイドルがロックフェスのオオトリを務め、大成功を収めるという物語の美しさは、ロックバンドでは決して出すことのできない感動が含まれているように思います。ロックバンドは最初からホームに、アイドルは最初はアウェイにカテゴライズされるのがロックフェスというものだからです。そのアウェイをひとりひとりひっくり返していって、そんな自分の中の価値観がひっくり返された6万人が集まったあの光景は、感動という一言では言い表すことのできない、いろんな感情が渦巻く異様な美しさがありました。

そして2013年以降、ロックフェスに出演するアイドルに対する風当たりは柔らかくなったように感じます。

事件簿その4 結成15周年&メジャーデビュー10周年の節目にすごろく
ここからは個人的な事件簿です。結成10周年&メジャーデビュー5周年では東京ドームで感動的なライブをしたPerfume。結成15周年&メジャーデビュー10周年にはさぞすごいものが見られるだろうと思いきや、まさかのすごろくという事件。ライブ自体はすごく感動的だったんです。ただ、Perfumeに日本武道館は狭すぎる。僕はこの感動を日本中のすべての人と分かち合いたいのに、日本武道館にいる1万人としか共有できないのがもったいなさすぎて。ドームで見たかったなあと。でも“彼氏募集中”なんて二度と聴けないだろうなあ。だから武道館ってのも適正だったのかもなあ……。

事件簿その5 2020年、Perfume結成20周年&メジャーデビュー15周年!!
来年、Perfumeは結成20周年&メジャーデビュー15周年のアニバーサリーイヤーを迎えます。今までも周りの期待に応え続け、それを上回る結果を残し続けてきたPerfume。2020年にも間違いなく大事件が起こるはず。今年の終わりごろには2020年の計画も発表されることでしょう。果たして来年のPerfumeはどんな夢を叶えるのか。どうやって今までのPerfumeを更新するのか。見逃したら一生後悔するようなライブになると、いち音楽ファンとしての嗅覚が告げています。だからなんとか来年まで生き延びましょう、お互いに。

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