/ 2020/08/12
超名盤。ファンの間で進行の名盤といえば『三十世界2』か『世界は平和島』でだいたい意見が二分するんだけれど、この2枚にまったく引けをとらないのが『一悶着先輩Z』だと思うのです。”バリボー”が鳴った瞬間に「あ、このアルバムはすごいな」って予感をビンビンに感じると思います。進行はいわゆるハイテンポなキラーチューンを1曲目に持ってくることが多くて。”バリボー”みたいなミドルテンポかつしっとりと聴かせるようなはじまりってこれまでなくて。この”バリボー”の抜擢は「今回はしっとりとした始まりにしよう」という気まぐれみたいなものではなくて、「この曲は自分たちの新たなブレイクスルーになる」というある種の確信みたいなものを感じます。それは現在の田中のプロジェクト「古都の夕べ」でもたびたび演奏されていることからも感じられると思います。もちろん”バリボー”だけでなく、”庭になりたい”のジブリ的アプローチや”梅を吸いすぎた男”の昔話的アプローチなど、なにかに導かれているんじゃないかと感じるような神がかり的な展開の連続は音楽の無限の可能性を感じると同時に進行の引き出しに膨大なバラエティをもたらしたのだろうなと思うのです。
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