/ 2014/10/25
前作『Lost Decade』に比べて、サウンドが鋭利になっていますね。
サウンドもボーカルの加工も、どこか耳に引っかかりますよね。
バッキバキのDJがパーティを高揚させるためのひっかけかたではなくて、カジキマグロを釣るようなこれ見よがしなでっかい釣り針ではなくて、
ガラパゴスの島国で作られた音楽である、という前提や謙遜がありつつ、「これはガラパゴスな音楽なんだ!」という想いがささくれのような形をしているように感じます。
ものすごくわかりづらい話になってしまいました。
このアルバムには正解ではない音がいっぱい入っています。
でも不正解である音は入っていません。
曲の完成というゴールがあるとします。
たとえばダーツの中心がそのゴールだとします。真ん中を打ち抜いたら完成。
普通は何度もダーツを投げて、一番真ん中に近いものを採用する。
それか、天才にはゴールまでの道筋が見えていて、ただその道筋をなぞるだけ。
このアルバムに関しては、ダーツの矢を手に持ったまま真ん中を射抜いて、そのまま力を緩めずに裏まで矢を貫通させたり、
的の中心と矢を紐でつないで手をパッと放してみたり、
世間一般の正攻法ではない形の正解をいろいろと試している感じがします。
それらが全部ことごとく的を打ち抜いている。だからアルバムとして完成度の高い作品になっている。
とてもレビューではないですね。
でもこれが今作のサウンドが鋭利である理由だと思うのですがいかがでしょう。
関連記事
だから僕は音楽を辞めた ヨルシカ
本作『だから僕は音楽を辞めた』は、音楽を辞めることになった青年“エイミー”が、“エルマ”という人物に向けて作った楽曲である、というコンセプトのアルバム。だから『だから僕は音楽を辞めた』と『エルマ』は対 …続きを見る
Chedder Flavor WANIMA
パンクシーンだけに留まらない支持を得ながらキャリアを重ねてきたパンクバンドは支持だけでなくサウンドもパンクに留まらないものを得ようとする。というかそうして進化しようとする。それは経験や技術を重ねたこと …続きを見る
FIZZY POP SYNDROME 秋山黄色
昨年の1stフルアルバム「From DROPOUT」は衝撃的な大名盤だった。昨年のこの企画で2位に挙げ、おそらく再生数では2020年で1番のアルバムだった。
そんな完璧な1stの後に早くも届いた秋山 …続きを見る
柿レンジャー となりの企画はよく柿くう企画だ 古都の夕べ
『区分』でバンドの完成度を究極に高めた古都の夕べがメンバーを一部刷新。ベース・どし丸とボーカル・あゆ巫女が抜けベースボーカルのハコが加入。4人編成バンドに。編成だけでいえばギターの前にマイクがない以外 …続きを見る
Mother’s Milk Red Hot Chili Peppers
レッチリ四枚目。このアルバムでその後のレッチリの屋台骨をがっちり支えるドラムのチャド・スミスと、その後のレッチリを引っかき回すギターのジョン・フルシアンテが加入。演奏テクニックと楽曲のクオリティはどん …続きを見る