今年はあらゆる夏フェスがことごとくなくなってしまった。THE BAWDIESを毎年見ていたロッキンやラブシャもついに開催することができなかった。メンバーたちもかつて観客として参加し、フェスそのものを愛するフジロックは開催され、そこでのライブを見ることはできたが、毎年行っていた場所で毎年見ていたTHE BAWDIESのライブを見れないというのはやはり寂しい夏になってしまったと言わざるを得ない。
そんな夏に野外でライブを楽しめるように、という思いがバンド側にあったかどうかは定かではない(本人たちも「拒否されても毎年来てやるからな!」とまで言っていたラブシャがなくなるとは思っていなかっただろう)が、かろうじて夏の野外と言えるこの時期に東京と大阪の野外音楽堂でワンマンライブを開催。この日は先に開催される、東京は日比谷野音でのワンマン。
最近の東京や関東地方は天気が悪い日も多く、雨が降ることも心配されたが、やはり雨は降らないどころか、完全に夏だなってくらいの暑さにすらなっているのは、どう見ても雨よりも晴れの景色の方が似合うTHE BAWDIESのロックンロールパワーによるものだろうか。検温と消毒、個人情報フォームの確認を経て中に入ると、虫の鳴き声が聞こえてくるというのはこの日比谷野音でのライブならではだ。
すでに空も薄暗くなった18時になると場内が暗転し、ウィルソン・ピケット「ダンス天国」の「1,2,3」のカウントが響くとともに、暗くなった場内にミラーボールの光が煌めく。その周りには上に一直線に伸びる棒状の照明が何本も聳えており、この時期の日比谷野音のこの時間はすでにこうした光の演出ができる暗さになっていることをTHE BAWDIESチームは理解しているし、その美しさに声を出せない観客たちは両腕を上げて応える。
すでに新しいアー写とともに公開されている、ジャケットが黒でパンツが黄色というスーツに身を包んだメンバー4人がステージに登場すると、すでに曲に入る前のこの段階で鳴らした音のMARCYのドラムの強さにこのライブへの漲る思いというか、バンド側が本当にこのライブを待ち望んでいたことがわかる。それは同時にこの夏になかなかライブが出来なかったことも感じてしまうのだが。
曲に入る前にROYは
「こういう状況ですけど、ロックンロールが希望の光になりますように!」
と口にしたが、この日のステージから放たれる光はその言葉を視覚的に示すものだったのだろう。
そうしてミラーボールが回る中で始まったのは、今年配信でリリースされた「OH NO!」。観客も手拍子する中、JIMは早くもステージ前の方、観客の近くまで行って笑顔で軽やかなステップを踏みながらギターを弾くのだが、やはりこの段階からTHE BAWDIESが目の前でロックンロールを鳴らしているだけで、この日の空のように心が晴れやかになっていくような。そのくらいに「楽しい」という感情で満たされていく。
JIMが歌い出しから大きくジャンプを決める「A NEW DAY IS COMIN’」は、我々観客はこの曲の象徴とも言えるコーラス部分をバンドと一緒に歌うことはできないけれど、それでも誰もが楽しそうに体を揺らして腕を上げている。観客が歌えないからこそ、金髪期間がかなり長くなったTAXMANのコーラスがよりしっかり聴こえるというのもあるけれど。
MARCYがドラムのリズムで曲間を繋げる中、
「早くも花火のように打ち上がる準備はできていますか!」
とROYが観客に向かって叫ぶのは、普段はライブの最後に演奏されることも多いだけに、こんな序盤で演奏されるとは全く思っていなかった「JUST BE COOL」で観客は早くも花火のように飛び跳ねまくる。なんならすでにJIMも汗を花火のように飛び散らせているのだが、あまりに最初から活発に動きまくったせいか、この段階でベルトのバックルが壊れてしまい、このままでは演奏中にずり下がっていってしまうことを報告する。
JIMが体制を立て直す間にROYは今月22日にリリースされるニューアルバム「BLAST OFF!」の告知をするのだが、その新作の発売が迫っているということが、「JUST BE COOL」を序盤に演奏するというセトリの変化を生み出したということがここでハッキリとわかる。
ということでこの日はそのアルバム「BLAST OFF!」の収録曲も発売に先駆けて先行披露されるのだが、まず演奏されたのはアルバムのオープニング曲である「YA! YA!」。すでにライブが全く出来なかった昨年の自粛期間中での新宿紅布での配信ライブでも披露され、その際にはMARCYが「提灯」と名付けた仮タイトルで演奏されていた曲だ。当たり前のようにそのタイトルは却下されたが、ロックンロールでありながらもそのMARCYがモダンなダンスビートを刻むというのは今後もライブでより盛り上がる曲になりそうな予感もするが、そのタイトルにもなっているキャッチーなサビのフレーズの歌唱時にはレーザーでメンバーの背後に「YA! YA!」というタイトルが映し出されるという、これもまた夜の野音ならではの演出が。
さらには「HEY!」のコーラスとギターリフが実にキャッチーな、ROYとTAXMANとのツインボーカルと言ってもいい掛け合いが展開される「KICKS!」でもレーザーがMVでのメンバーがガイコツ化したアニメーションを映し出すという、普段はあまり派手な演出のないTHE BAWDIESが、あくまでも演奏を軸にしながらも、少しでも来てくれた人が楽しんでくれるように、この日のライブが心に残りますようにという演出を考えて取り入れたであろうことがよくわかる。
「JUST BE COOL」が演奏されるのも早かったけれど、TAXMANのボーカル曲が演奏されるのも早い。この日最初のTAXMANボーカル曲は
「Good bye baby no no no」
というサビのフレーズが実にリズミカルな、パンクビートの「EASY GIRL」なのだが、TAXMANが歌っている際にずっとROYが真横に立ってTAXMANをメインで収めようとするカメラに映り込もうとする。さらにはJIMまでもその横に来たりと、下手側にメンバーが集中する事態に。配信ライブでもこの手法は使われていたし、後のMCでもROYがどのカメラにもカメラ目線をするから横から映せないというTV収録の際の困った事件として話されていた。
次なる「BLAST OFF!」からの新曲は、こちらはMARCYが「カラクリ」という仮タイトルを付けていたものの、やっぱり採用されなかった「ROLLER COASTER」。
まさにローラーコースターが下り坂を一気に降りた後に真新しい景色を見せてくれるように、やや落ち着いたメロからサビで一気に開けていくという展開であるが、これは仮タイトル時点とはかなり変わったんじゃないかと思われるし、「カラクリ」ってこんなに良い曲って感じの曲だったっけ?ってくらいにその変化はサビのメロディに良い方向で作用している。
MARCYが曲終わりで思わず、
「ちょっと休憩!」
と言って一足早くジャケットを脱ぐくらいにメンバーも暑さを感じていたのだろうけれど、そのMARCYは普段はホラー映画やゾンビを撃つゲームが好きなのだが、最近は「ムーミン谷のさがしもの」という、ムーミンにものを届ける癒しのゲームをやっていることをROYに暴露されるといういじられっぷり。
そんなMCを挟むと、わざわざ背負っていたベースやギターなどをメンバーが下ろし、おなじみの「HOT DOG」劇場の準備に入るのだが、暗くなったステージからは明らかにMARCYの声による「翔べ!ガンダム」(「燃え上がれ〜」のフレーズでおなじみの曲)が流れ出し、「そういえばスターウォーズはやったけど、ガンダムはやってなかったな」と思っていると、
アムロ=TAXMAN
シャア=MARCY (マシャアヒコ)
パンダム (ガンダム)=ROY
マシャアヒコ専用ジム=JIM
という、JIMは明らかに名前をそのまま使ったであろう配役で、MARCYはカンペを見ながらセリフを棒読みというところはこれまで通りであるが、頭にV字アンテナまで装着したパンダムことROYは早々にアンテナが外れ、マシャアヒコ専用ジムと取っ組み合いを演じるのだが、その2人の取っ組み合いは明らかにこれまでの劇場で最も体力を使うものになっている。結果的にはパンダムがジムに殴られる度にアムロが
「ぶったね。親父にもぶたれたことないのに!」
という名台詞を発し、ジムのソーセージ型のビームサーベルをパンダムの腕で挟んでホットドッグに、というようになるはずなのだが、ソーセージが吹っ飛んでしまってホットドッグにはなっていないのに、TAXMANは
「まるでホットドッグ」
と台本通りに言うという意味不明な展開になってしまう。この辺りは大阪までにはブラッシュアップしてくるだろうけど(もはや何に力を入れているバンドなのかという話だが)、
「HOT DOG、いきまーす!」
と、曲の入りまでガンダムになっているというのは実に新鮮であり、ROYとJIMはいつも以上に体力を使いながらもいつものように「HOT DOG」はロックンロールパーティーとなって観客を踊らせまくっていたのだった。JIMのギターは最後には完全にチューニングがズレており、ROYもそちらをかなり気にしていたようであるが、それすらも含めて「HOT DOG」という曲が与えてくれる楽しさに満ちていた。
しかしやはりJIMはかなり体力を消費していたようで、水を飲んだり酸素を吸入したりして休みを入れていると、ROYは「BLAST OFF!」の中には1曲だけカバー曲が入っていることを告知する。THE BAWDIESにはカバーのイメージも強いし、実際にカバーアルバムもリリースしているのだが、メジャーになってからリリースしたアルバムの中にカバー曲が入るのは初。
それを今にして入れた理由は、今ならば幅広いサウンドのこのアルバムの中に入っても違和感がないからというものであるが、実際にすでに公開されているアルバム全曲トレーラーを聴いても、曲を知らなかったらこれがカバー曲だとは気づかないだろう、というくらいに今のTHE BAWDIESの曲として生まれ変わったのは、アイズレー・ブラザーズの「WHY WHEN LOVE IS GONE」。
これがこのライブの流れ、しかも「HOT DOG」の直後に演奏されても全く違和感を感じない仕上がりになっており、ルーツミュージックへの敬意を最大限に生かしながら、今の日本のロックバンドの音楽にするというTHE BAWDIESのセンスの素晴らしさが完璧に生かされている。こうしてなかなか若い人が手を伸ばそうとしない音楽も、THE BAWDIESが入口になれば興味が出てくる。実際に自分もカバーアルバムやROYのディスクガイドなどがこうした音楽に触れるきっかけになったのだ。
「BLAST OFF!」収録曲ではあるが、すでに昨年に配信でリリースされていた「SUN AFTER THE RAIN」はAメロ、Bメロでは棒状の照明が雨を思わせる青い色に光り、サビに入ると太陽を思わせるオレンジ色に変わるという、曲のイメージを視覚的に表現する演出が。それはさりげなくもあるけれど、この曲の真価をより引き出すものにもなっていた。
ROYの濃さとは異なるTAXMANのボーカルがこの暑さすら感じる野音にさわやかな風を吹かせてくれる「B.P.B」でやはり観客が飛び跳ねまくると、ここでステージには椅子が用意される。5年前にこの日比谷野音でワンマンを行った時には「キャンプファイヤーの気分で」と言って行われたアコースティック編成である。
まずはアコースティックという編成(ROYはボーカルのみで、ギター2人はアコギ)が実によく似合う「LEMONADE」。座りながら歌うことでそのロックンロールでしかないROYの歌声にもより温もりが宿っていたが、そうした部分も含めてメロディの美しさを観客も椅子に座って聴くことでじっくりと噛み締めることができる。
ROY「次は違う曲をやります!」
JIM&TAXMAN「当たり前だろ」
という、実にTHE BAWDIESらしいやり取りについつい笑い声が漏れそうになる中、ど天然でおなじみのROYの母親がCHAGE and ASKAを「チャゲヤス」と呼んでおり、「CHAGE and YASUSHI」だと思っていた、というド級の天然エピソードも開陳されたからか、「LEMONADE」の続編というテーマが明かされた「CHERRY MASH」のアコースティックバージョンではROYが拳を振り上げながら歌うという、チャゲアスの「YAH YAH YAH」の歌唱時の姿を再現してしまうものになっていた。それによってアコースティックバージョンであるにもかかわらず力強さを感じるものにもなっていたが、もう完全にチャゲアスというイメージに塗り潰されてしまった感がある。
そして、
「迷ったりすることがあったら立ち止まって星でも見上げてください」
とROYが呼びかけて空に星を探すのだが、残念なことにこの日は星が見えず、
ROY「俺たちが星になればいいんじゃない?」
JIM「星になる、は意味が変わってくるからダメだ!(笑)」
というやり取りを経て、この音楽そのものが星であるということを示すような「STARS」のアコースティックバージョンへ。MVでもライブでもROYがピアノを弾いていたメロディはTAXMANのアコギが奏でるというアレンジになっており、やはりTHE BAWDIESはライブの楽しさ、カッコ良さはもちろんのこと、それは曲やメロディの良さがあってこそであるということを改めて示してくれたアコースティックだった。
再び観客が立ち上がり、メンバーも通常の編成に戻ると、観客の大合唱をこの都心の公園内にある会場、なんなら実は会場に1番近い駅である霞ヶ関の役人にこのロックンロールの楽しさを響かせてやりたいとすら思うけれども、それを我々の声で示すことが今はできない「LET’S GO BACK」はしかし、メンバーの重ねるコーラスがやはりこの曲、THE BAWDIESのライブの楽しさを存分に感じさせてくれる。
すでにフジロックでも演奏されている「BLAST OFF!」からの先行配信曲「T.Y.I.A.」は実にTHE BAWDIESらしい荒々しさのあるサウンドのロックンロールであるが、サビでタイトルフレーズをメンバーが歌唱するとその背後にはレーザーでタイトルが映し出されるのだが、和服のメンバーが茶道に挑戦するMVでも使われていた「茶」という文字すらレーザーで映し出されるというのはスタッフによる遊び心か、あるいはマジでこの曲の持つメッセージが「茶」ということなのか。
「遅れたらこうなりますよ!」
というおなじみのROYのセリフから始まった「IT’S TOO LATE」では観客がやはり飛び跳ね、腕を左右に振りと、声が出せない以外は全くライブの楽しみ方、そもそも楽しさに変化はないし、ROYのロングシャウトも公園内に通行人がいたらビックリするんじゃないかというくらいに響き渡る。
するとROYは「BLAST OFF!」の手応えを口にしながらも、こうした単発のリリース前のライブではなく、発売前にお披露目ツアーを行い、リリースしてからも全国をくまなく回っていくはずだった自信作「Section #11」のツアーが途中で終わらざるを得なかったことへの悔しさを滲ませる。参加していた時はこうした世の中の状況になるなんて全く思っていなかった(2019年末の初日の渋谷QUATTROも、2020年の年明け後の高崎CLUB FLEEZEもマスクをする必要がなかったし、あのツアーに参加できて本当に良かったと思っている)のだが、だからこそ「BLAST OFF!」のリリースツアーを今度は最後まで回るという決意も口にする。
なので最後にはツアーを完遂できなかったリベンジも含めての、「Section #11」のリード曲である「Skippin Stones」を演奏するのだが、
TAXMAN「今日、考えた結果として行かないっていうことを選んだ人もいると思う。そういう人たちに、THE BAWDIESのライブ凄い良かったよ!って教えるために、次の曲やってる時は写真も動画も撮っていいから。いろんなところで広めてください」
と言って、おそらく初めてなんじゃないかと思うライブ中の撮影許可も出るのだが、何とそれを発案したのはMARCYだという。なので自信すら伺えるMARCYに喋らせようとするも、ROYが横槍を入れて結局いつものMARCYに戻ってしまうのだが、いつも受け身でいるようにすら見えるMARCYが今だからこそバンドやファンのために自発的に動いている。だからこそ観客が撮影していたスマホの画面の光すらも、それがロックンロールの光であるかのように映っていた。
アンコールではそのMARCYが4本のマイク全てを使って挨拶するという斬新な手法も見せながらも、改めて「BLAST OFF!」とそのツアーの告知をし、先日先行配信されたばかりの、アルバムの最後に収録される「END OF THE SUMMER」を披露。
曲の入りはROYのボーカルとTAXMANのエレアコのみという弾き語りと言ってもいいものなのだが、それがバンドサウンドになり、サビではもはやゴスペルと言っていいくらいに4人全員のボーカルが重なる。THE BAWDIESの1番大きな武器はROYのロックンロールをやるために生まれてきたようなボーカルであり、それを真ん中に据えてきたわけだが、この曲ではそれが薄まるのも承知でサビを全員で歌っている。それはきっといつか観客が歌えるようになった時にはメンバーだけではなくて観客も一緒に歌えるように、という願いを込めたものだろう。
期せずしてこの今の時期にピッタリな夏の終わりを感じさせるこの曲を、来年は最多出演を誇るラブシャのMt.FUJI STAGEのトリとして演奏するのを是非見たい。その時には我々もこの曲を一緒に歌えるようになっていたら。
そしてラストはやはり転がり続けていく意思を示す「KEEP ON ROCKIN’」。昨年10月に中野サンプラザで久しぶりの有観客ライブを行ってから、THE BAWDIESは止まることなく走り続けてきた。それは止まらないロックンロールバンドという存在の実証でもあったのだが、コロナ禍になる前は観客とのコール&レスポンスを行っていたこの曲も、今はそれを行うことはできない。だからこそのコール&手拍子という手法になるのだが、ROYがなかなか勿体ぶって最後のサビにいかないというおなじみの展開も、このライブが終わってしまうことへの寂しさを含んでいるようにも感じられた。そして観客の高く上がった腕で、手が腫れ上がりそうなくらいに大きな手拍子が重なる。それを合図に突入した最後のサビではTAXMANがステージ前にスライディングしながらギターを弾き、アウトロでは背面ギターも弾く。そして最後にはROYが強烈なシャウトをかます。どんな時代や状況になっても全く変わらないロックンロールバンドの強さと魔法がこの日の日比谷野音には確かにあった。それを証明した一夜だった。
演奏後にはおなじみの大将ことTAXMANのわっしょいも行われるのだが、時世を考慮しての手拍子&サイレントわっしょい。TAXMANの側で説明を聞いていたMARCYの表情をROYが
「シザーハンズみたいな顔して」
と評してMARCYがROYにタオルを投げつけるという一幕もあったが、無事にわっしょいを完遂した大将はこの日、アンコールではお馴染みの缶ビール開封の儀も行わなかった。野音の売店にもアルコールは売っていなかったのだが、THE BAWDIESは我々と一緒になってこの状況を乗り越えようとしている。やはりそんなロックンロールバンドが好きだし、できる限りまたツアーで会いに行きたいと思った。そしてなかなか難しいけれど、これからも毎年この時期に野音でTHE BAWDIESのライブを観るのが恒例になってくれたら、とも思っていた。
THE BAWDIESのライブはどんな時だって最高に楽しい。でも今は楽しいことを「楽しい」と言うことすらも憚られるような状況だ。それを口にした瞬間に「こっちが我慢してるのに」という方向から楽しんでる人への矢が飛んできてしまうような。
でもこの状況で楽しむというのは悪いことなんだろうか。そりゃあ感染対策とか一切無視でそういうことをして、感染者を出してしまったらそうかもしれない。だけど楽しいことを全部我慢していたら、日常の楽しくないことだけしか残らない。そんな楽しくないことだけをこの状況で毎日繰り返していたら、向かう先は闇であり病みしかないと思っている。
だからこそこの状況の中でもできる範囲の中で楽しめるように模索していく。そうしないと音楽だけでなく、ありとあらゆるエンタメ(それはお笑いや演劇なども)は死滅してしまう。それはその業界が成り立たなくなってしまうだけではなくて、それを楽しみに日々を生きている人の人生すらも成り立たなくなってしまう。
自分はそう思っているからこそ、この日のTHE BAWDIESのライブはやっぱり最高に楽しかったということをここに記しておきたい。そしてその楽しかったという感情こそが、翌日からも今の状況の世の中を生き抜いていくための力になるということも。
ROYが言っていた通りに、やっぱりロックンロールは希望の光であり、この状況での我々の精神の閉塞感を何よりも打ち破ってくれるものだったのだ。
1.OH NO!
2.A NEW DAY IS COMIN’
3.JUST BE COOL
4.YA! YA!
5.KICKS!
6.EASY GIRL
7.ROLLER COASTER
8.HOT DOG
9.WHY WHEN LOVE IS GONE
10.SUN AFTER THE RAIN
11.B.P.B
12.LEMONADE
13.CHERRY MASH
14.STARS
15.LET’S GO BACK
16.T.Y.I.A.
17.IT’S TOO LATE
18.SKIPPIN’ STONES
encore
19.END OF THE SUMMER
20.KEEP ON ROCKIN’
文 ソノダマン