デビューから10年以上経過したバンドがそれまでの自分たちを更新しようとするときに作るアルバムはそれまでとは異なる新しい要素を取り入れて進化を図るというものになることが多い。ひたすらにロックンロールやブラックミュージックへの憧憬を自分たちの音楽としてきたTHE BAWDIESも2017年の「NEW」はタイトル通りにそうした感触が強かった。
しかしながら15周年イヤーの今年にリリースされたアルバム「Section #11」は新しい音楽性を取り入れるというよりは自分たちが持っていて、これまで育ててきた芯の部分を最大限に研ぎ澄ませることに注力したかのようなロックンロールアルバムとなった。それによって楽曲自体の良さが過去最高レベルに引き出されているのは、やはりこのバンドがロックンロールバンドであり続けていて、これからもそうやって続いていくことの証明である。
このアルバムリリース前からTHE BAWDIESはフェスやイベントを含めたライブでこのアルバムに収録された曲を珍しいくらいに演奏し続けてきた。それくらいに早く聴いてほしかったのだろうし、このアルバムに今までにないくらいの自信があるのだ。
かつて「ロックンロールの若き伝道師」とも呼ばれていたバンドはもう若手ではなくなったかもしれない。それでもこの国で最高のロックンロールの伝道師であることは全く変わっていない。アルバムの最終曲、ROYがピアノを弾くMVが公開された「STARS」はこれからのTHE BAWDIESの未来、ひいては日本のロックンロールの未来すらも優しく、しかし力強く照らしている。
/ 2019/11/30