もともとリリース自体は2019年の10月という1年半も前であった、THE BACK HORNの最新アルバム「カルペ・ディエム」。
しかしボーカルの山田将司の喉の不調による手術(アルバムリリース前後は歌うのがかなりキツそうであった)を経て後には世界はコロナ禍に見舞われ、もともとは2020年の2月に予定されていたツアーの東京公演であるこの新木場STUDIO COASTでのワンマンライブも5月に延期されたものが再延期されて、結果的には当初のスケジュールの丸一年後というこの日の日付に。2020年12月にはファンクラブ会員限定でこの会場で「マニアック・ヘブン」も開催されたが、この日へと至る間に新木場STUDIO COASTはUSEN STUDIO COASTへとネーミングライツの変更もあった。
検温と消毒を経て会場に入ると、客席には丸椅子が間隔を空けて置かれている。配信のためのクレーンカメラも客席に入っていることによって、動員数は最大数の半分をはるかに下回るものになっていると思われる。この状況になってから、何度かCOASTでライブを観てきているが、その中でもキャパは最も少ないと言えるくらいかもしれない。
開演時刻の18時を少し過ぎてから場内が暗転すると、先日の9mmとのコラボライブまでのおなじみであった壮大なSEが、どこかダークなEDMと言えるようなものになっている。これはEDMとまではいかないまでも打ち込みのサウンドも取り入れた「カルペ・ディエム」に合わせたものなのだろうか。メンバーの出で立ちこそいつもと変わらない至ってシンプルなものであるが、そのサウンドに乗って菅波栄純(ギター)もノリノリで観客に手を振りながらステージに登場する。SEだけでここまでオープニングのイメージが変わるとは、ということを数え切れないくらいの数のバンドのライブを見てきた上でも感じさせてくれる。
なのでステージから最初に流れてきたのもやはり「カルペ・ディエム」のオープニング曲である「心臓が止まるまでは」のイントロの打ち込みの音。最初にこの曲を聴いた時、さらに2019年の夏フェスのライブで見た時には、「4人だけの音でのライブ」にこだわってもおかしくはないと思っていたバクホンがここまで大胆に打ち込みを、しかも20年を超えたこのキャリアに達してから取り入れたことに驚いたものだが、それがバクホンの音楽としての中にしっかりと収まっていて、よくある新しい要素を取り入れたことでこれまでのファンが拒否反応を示したりすることが全くないという絶妙なバランスの上に成り立っている。
そのサウンドのバランスの土台を作る男である栄純はいつものように裸足でステージを歩き回りながら歌い、将司も冒頭から喉を振り絞るようにして歌う。声を出したりすることができない観客たちも腕を上げてそのバンドの姿に応える。
アルバムからの流れのままになだれ込む「金輪際」は自己嫌悪を隠すことなく曝け出すという、かつては「日本三大鬱バンド」とも評されていたバクホンらしさを今も貫く曲であるが、
「9回裏満塁で放る 軌跡は 奇跡は
暗い青空に吸い込まれて 夏が終わった。
いまだに夢に出てくる 立ち尽くしてる坊主頭」
という歌詞を書いたのは栄純であるが、デビュー当初の坊主頭が少し伸びたような髪型の、まさに「少年」という風貌であった頃の将司の姿を思い出させる。今では後輩バンドたちから「ダンディな先輩」として慕われるような姿になっているけれど。
アルバムツアーということもあって、早くもこの序盤で演奏された、松田晋二(ドラム)と岡峰光舟(ベース)のリズム隊によるキメ連発の「シンフォニア」ではステージ上を歩き回りながら歌う将司が
「帰る場所なら カルペ・ディエムツアーにあるから」
と歌詞を変えて歌う。文字数の多さ的に少し詰め込み過ぎている感もしなくはないが、こうしてこの曲の歌詞を変えるのを聴くたびに我々は「今ここ」という感覚をこれ以上ないくらいに強く感じてきた。それはライブという、バクホンにとって20年以上当たり前に繰り返してきたものが遠くなってしまった今だからこそより強く、愛おしくその「今ここ」という感覚を噛み締めることができる。きっと久しぶりにその感覚を味わうこともできた人も会場にはたくさんいたはずだ。
松田のおなじみの挨拶的なMCではやはりこの状況下でもこの「カルペ・ディエム」ツアーを再開することができたこと、それをこうして見に来てくれた人や配信で見てくれている人への感謝を口にするのだが、9mmとのコラボライブの時にも起きていた、その際に起こる今までのライブ以上に長く温かい観客による拍手は観客側もこうしてこのツアーを再開してくれたこと、それを観ることができていること、何よりもこうして目の前にいて音を鳴らしてくれていることへの感謝を言葉以上に雄弁に物語っている。それが当たり前ではなくなってしまったことを実感せざるを得ないような1年だっただけに。
栄純、光舟、松田の3人による音がバチバチにぶつかり合ってはグルーヴと化していく「フューチャーワールド」は現在のSNSによって人が死んでしまったり傷ついていく、バーチャルに支配された世の中への警鐘を鳴らしているようであるが、
「面白くなき世を 面白く」
という高杉晋作の辞世の句を引用したフレーズは自身の背中にも武士の入れ墨を入れているくらいに日本の歴史に造詣の深い光舟ならではの歌詞であるし、バクホンがメンバー4人が優れた作詞家でもあるという稀有なバンドであるという事実を改めて感じさせてくれる。
基本的には「カルペ・ディエム」のツアーであるだけにその収録曲+代表曲という流れのライブであることは明白であるし、そこに入らない曲を演奏するために「マニアック・ヘブン」というレア曲メインのライブをやっているのだが、そんな中でも「暗闇にダンスを」(2015年の「運命開花」収録)は新作収録曲でもなければ、決して代表曲とも言えない、今回のライブ唯一の曲である。
個人的には盟友である9mmの「キャンドルの灯を」と同様に、歌謡曲の要素を強く感じるような雰囲気の硬質なロックというタイプの曲であると思っているが、こうした曲をカッコいいなと心から素直に思える、琴線に触れるというのが自分が日本人であり、バクホンもまた日本で生まれたロックバンドなんだよなぁと思う要素である。
さらには真っ赤な照明がステージとメンバーを照らす「罠」もまた、ガンダムシリーズのテーマソングとしてバクホンの存在を広く知らしめた代表曲であるが、
「命さえも弄ぶのか 壊れかけたおとぎの国で」
というフレーズはそのガンダムのテーマソングとして実にふさわしいフレーズでありながらも、今のこの状況で聴くことによって、今のこの世界や日本という国を取り巻くようになってしまったウィルスへ向けてのメッセージであるかのように聴こえてくる。それはこちらがそう捉えているだけかもしれないが、そこに説得力を感じるのはこの曲やバクホンが常に生きることや死ぬことというのをシリアスに歌ってきたバンドだからだろう。
ピアノの音などの打ち込みの音がステージに流れるというのは「カルペ・ディエム」の曲が演奏されるということであるが、将司がギターを肩にかけて歌い始めたのは「ペトリコール」。
「ひゅるりひゅるり カーテンが揺れた
そうか あれが本当のサヨナラ」
という歌い出しのフレーズにしても、栄純のどこか不気味さを感じるような曲前半のサウンドにしても、初期のバクホンの曲に多く存在する、おどろおどろしいタイプの曲かと思いきや、後半では一気に光が満ちていくような、闇をくぐり抜けた先に射し込む光を1曲で表現しているようにすら感じられる。きっとこの曲がこうしてライブで演奏されるのは今回のツアーくらいになるとなると思われるが、「バクホンらしさ」を代表曲とは違う側面から感じさせてくれる曲であると思う。
そのまま将司がギターを弾きながら歌うのは逆に小さくても決して消えない確かな光の強さを歌う「I believe」。ミドルテンポの、バラードのように展開してもいいくらいの壮大なメロディを持つ曲であるが、後半での松田のドラムの連打っぷりはあくまでロックなサウンドでその光を強く表現しようというバンドの思いを感じることができる。
とはいえ、そうして音が激しくなるにつれて歌詞はどんどん闇へと向かっていくという「ペトリコール」とは対照的な展開が実に栄純らしいとも言えるのだが、音源で聴く以上にライブ映えする曲だと思えたのはやはりこうして目の前でその曲を鳴らしている姿を見ることができているからだ。
「緊急事態宣言も延びるしねぇ…」
という将司のMCでの一言は明らかに何か言いたいことを含んでいるような感じだったが、そんな中で光舟は
「この前バレンタインの日に事務所からメンバーに「チョコ届いてますけどどうしますか?」ってメール来たじゃん?郵送してもらうっていうのもアリだけど、今日のライブの時に持って来てもらおうと思って。
持ち切れるかな〜って思いながら着いたらスタッフが「はい」って片手で渡してきた。1個だけだった(笑)なんであたかもいっぱい届いてるみたいな感じで「どうしますか?」って聞いてきたんだ(笑)」
と、演奏中は至ってクールなのにそんなイメージを粉砕するくらいに情けなくも面白い一面を見せてくれる。ちなみに数年前には栄純の母親から貰った1個だけという年もあったという。やはり結婚していることを公開していると(先日離婚も発表されたが)、貰えるチョコの数が減ったりするものなのだろうか。
そんなメンバーの素の部分を感じさせたかと思ったら、一気にダークかつヘヴィなサウンドの「悪人」へと突入していくのだからアップダウンが実に激しい。
その「悪人」は去年からの「正義」を盾にライブハウスを経営する人たちや飲食店を経営する人が傷つけられてきたのを見てきてしまったからこそ、改めて己の胸の内に「正義とは?」「悪とは?」「悪人の定義とは?」ということを問いかけてくる。
「満場一致で有罪
有罪 有罪 有罪 有罪」
というフレーズを歌う将司の声に栄純と光舟のコーラスが乗るのを聞くと、「裁かれるべきは誰なんだろうか?」とも。でもそんな人もすべからく最後には
「些細な優しさが 泣きそうなくらいに 嬉しかった
ごめんねって 聞こえたかな ありがとうって 言えばよかったな」
と思うものなんだろうか。
光舟が作詞だけでなく作曲も手がけた「デスティニー」は実に光舟らしい、一本筋の通ったストレートなロックナンバーであり、やはり栄純節炸裂な展開の「悪人」の後に聞くことによって、メンバーそれぞれのパーソナリティがそのまま曲に現れていると思う。そのどれもがバクホンらしさとなっているのはもう完全にこの4人でないとバクホンではなくなってしまうようなバンドになっているからだろう。
それは光舟作曲、松田作詞というリズム隊で作った「ソーダ水の泡沫」もまたそうであるが、この2人の組み合わせがアルバムの中においてもライブにおいてもアクセントというようなバラード曲になっているというのが実に面白いし、こうしたタイプの曲でフェスやイベントの持ち時間で演奏されるとしたら「美しい名前」であるだけに、ワンマンはやはりこうしたタイプのアルバム曲をじっくりと聴けるチャンスでもあるが、続く宇多田ヒカルとのコラボ曲でもある「あなたが待ってる」も含めて、今でも地方から出てきた訛りが取れることがないメンバーの純粋さを感じさせてくれるし、
「あなたが待ってると思うだけで
もうそれだけであったかい
白い息を吐きながら
あなたの元へ帰るから」
というフレーズを目の前にいる人たちや画面の向こう側にいる人たちに向けて丁寧に届けようという感じで歌う将司の歌から浮かぶ景色は松田の故郷の福島だったり、栄純の故郷の茨城だったりだ。栄純は近年はテレビのバラエティ番組でそのアウトっぷりを披露して多くの人を驚愕させたりしているが、そうしたメンバー各々のピュアな部分はこれから先もずっと変わることはないんだろうな、と思う。
そんなバラードゾーンから煌めきを増していくのは「果てなき冒険者」。
「大丈夫まだ歩けそうだよ」
「まだ歩けるさ」
という歌詞を書いたのは松田であるが、そのフレーズを歌う将司の姿を見ていると、なんだか将司が喉の治療をして再び歌っているということを歌詞にしたかのようだ。リリースされたのは将司が療養するずっと前のことだけれど。
その将司はこの日のライブの前に上京してきた頃からの友人からLINEが来たことを語る。その友人がツアーが再開されることを喜んでくれていること、上京当時によく聴いていたという、ボブ・マーリーの「NO WOWAN, NO CRY」の歌詞の
「Everything’s gonna be all right」
というフレーズが添えられていたということ。
それを受けて将司も観客に、配信で観ている人に
「大丈夫」
と、声を張り上げるでもなく、そっと寄り添うような言い方で口にする。
それはコロナ禍の前に自身がキツい状態だったり、闇雲な希望だけではなく人間の汚い部分や醜い部分も歌ってきたバクホンだからこその強さと頼もしさを持って響く。そこには「俺たちがいるから、こうして音楽をこれからもみんなに届けるから大丈夫だ」という意味も含んでいるようにも聞こえたし、それこそがここにいる人たちが最も「大丈夫」って思えることなのだ。
それが「カルペ・ディエム」収録の、まさに鎖から解き放たれたように再びアッパーなサウンドと将司と栄純の動きに転じていくような「鎖」の
「あなたがいるなら音を鳴らすよ
錆び付いた心で何度も
軋む想いが連なってく 今」
というフレーズに重なって響いていく。
続く「戦う君よ」もまた我々リスナーやファンへの応援歌と言ってもいいだろう。バクホンの音楽を聴きながら、未曾有の状況に陥ってしまったこの世界や社会と戦っているのだから。その闘争心はそのまま曲中で振り上げる拳となっていたし、将司も「オイ!オイ!」という今までならばそんな声ともセットで振り上げられていた拳を、声が出せないことを象徴で煽っていく。
「さぁ走り抜けよう この歌を胸に抱きしめ 今
高く高く羽撃けるさ 晴れわたるあの空を目指してゆけ」
という締めのフレーズはこれからもこの音楽があれば、それを鳴らすバンドがいれば大丈夫だと思うには充分過ぎるくらいに心に火をつけてくれる。我々のライブの見方は変わらざるを得ないけれど、バンド側がやることは今までと全く変わらない。ただ思いっきり感情や力を込めて曲を演奏して歌うだけ。それがロックバンドの本懐だと言わんばかりに。
そして「刃」では観客がコーラスを歌えないからこそ、メンバーそれぞれが大きな声で歌うのがしっかりと聞こえるのだが、サビ前で光舟が両腕を高く挙げる姿を見るだけで感じ入るものがある。やっぱりライブをやっている時、演奏している時が1番このメンバーは生きてるな、と感じる。それは本人たちもきっとそう思っているだろうし、将司は声が出せないことを知った上でかあるいは無意識でか、ラスサビ前でマイクを客席に向ける。
もしかしたら配信で見ている人に向けたものかもしれないし、実際に画面の向こうで歌っていた人もたくさんいたかもしれない。でもそれ以上に、今は声が出せなくても将司には、メンバーには観客が歌う声が聞こえていたのかもしれない。それは今までに数え切れないくらいに演奏してきたであろうこの曲が描き出してきたあらゆる景色が脳内に残っているのかもしれない。きっと近いうちにまたその記憶をさらに数え切れないくらいに積み重ねていけるようになるはず。きっと大丈夫なはずだ。
そしてラストは打ち込みのサウンドも使った、「カルペ・ディエム」のリードトラックである「太陽の花」。2019年の夏フェスでアルバムリリース前に披露されていた時から、これは凄い名曲が生まれたと思った。そこからアルバムがリリースされてさらにライブで育っていくはずだったのが、思いもよらない形で足踏みをせざるを得なくなってしまった。
でもそんな外出ができないような状態だった去年の春にも桜は咲いていた。花はウィルスの有無に関わらず、例年と変わらずに咲いては散っていった。それと同じように、THE BACK HORNという名前の「太陽の花」もこんな状況の世の中でもしっかりと咲き誇っていた。リリース前に聴いた時よりもはるかに素晴らしい進化を果たしていたのだ。これからもこの曲はきっとバクホンにとって大事な曲になっていく。栄純の間奏での客席に手を合わせた姿は、この曲、このライブ、この瞬間にこれ以上ないくらいの手ごたえと実感を感じているかのようで、感動すらしてしまうくらいだった。
アンコールでは松田が解禁前の情報である、2011年リリースのアルバム「リヴスコール」をストリングスを加えた形で演奏するツアーを5月から開催することを発表。
今こうして目の前にいてくれている人に他の誰よりも先に伝えたいというライブバンドとしての矜持を感じさせたが、東日本大震災から10年経った今だからこそ、生命への祝福を鳴らした「リヴスコール」を特別な形で演奏するということ。松田は福島県出身として福島の復興活動も行っているが、この状況の世の中であることによって、震災が起きたことも忘れがちになってしまう。でもバクホンのメンバーたちは少しも10年前のことを忘れていない。そんなバンドだからこそ今鳴らせるものが必ずあるはず。有観客ライブが見れなかった期間に比べたら、5月なんてきっとすぐだ。
そんな松田のMCの後に将司が改めてバンドに気合いを入れるようにして演奏が始まったのはやはりこのバンドのライブに欠かすことができない「コバルトブルー」。将司も栄純もステージを歩き回るというか、もはやもんどりうつような形で演奏して歌い、観客もさらにボルテージが振り切れたかのように、椅子があるのもお構いなしに飛び跳ねているのがよく見える。いや、むしろ前後左右の間隔が空いているから飛び跳ねたりしやすいのかもしれない。もはや何回ライブで聴いてきたかわからない曲であるが、今でも全く飽きることはないどころか、何度聴いても栄純のイントロのギターの音が鳴るだけでテンションが上がる。
「2000年代の名曲〜」みたいな企画の中にランクインすることはないかもしれないし、そもそもが老若男女あらゆる人が聴けるようなバンドや音楽ではないのかもしれない。でもこの曲は紛れもなく日本のロックシーンの歴史の中に永遠に残り続けていく金字塔的な大名曲だと思う。今もまだバンドも我々もコバルトブルーの風の中なのである。
そんなライブの最後に演奏されたのは「カルペ・ディエム」のラストナンバーであり、こうしたアンコールの最後に演奏するために作ったであろう「アンコールを君と」。この曲はこんな歌い出しで始まる。
「この夜を奇跡と名付けよう 出会いを祝福して
溢れ出した涙の数だけ想いを交換したね」
これはまるでこういう、会えない状況が続いた中でこうして待ち続けた結果として会える日が来たということを予期していたかのようだ。バクホンは時代を歌うようなバンドではないけれど、だからこそその歌詞にはいつの時代のどんな状況でも響くべき普遍性を持っている。ステージのメンバーと客席の観客の笑顔はこの奇跡の夜を祝しているような、このまま終わらなければいいのに、とすら思ってしまう瞬間を生み出していた。
メンバーがステージを去ると、客電が点いて終演のアナウンスが流れた。そのアナウンスの後にも客席からは大きな長い拍手が起こった。それはこの日のライブが素晴らしかったことへの感謝でもあり、こうしてライブをしてくれたバンドへの感謝でもある。言葉で思いを伝えるのが難しくなってしまった状況ではあるけれど、だからこそ言葉以上に伝えることができることもある。そう思えれば、少しでも前向きに生きていけるような。こんな、奇跡と名付けたくなるような夜が人生の中に存在するのだから。
1.心臓が止まるまでは
2.金輪際
3.シンフォニア
4.フューチャーワールド
5.暗闇でダンスを
6.罠
7.ペトリコール
8.I believe
9.悪人
10.デスティニー
11.ソーダ水の泡沫
12.あなたが待ってる
13.果てなき冒険者
14.鎖
15.戦う君よ
16.刃
17.太陽の花
encore
18.コバルトブルー
19.アンコールを君と
文 ソノダマン