the telephones 「15th Anniversary “Tour We Go”」「COME BACK DISCO!!! 〜15th Anniversary Final〜」 新木場STUDIO COAST 2021.5.20 the telephones
本来ならちょうど1年前に15周年イヤーの幕開けを華々しく祝う打ち上げ花火&大宴会的に、9mm Parabellum BulletとORANGE RANGEという同世代のリスペクトする2バンドを迎えて開催するはずだった、the telephonesの新木場STUDIO COAST。
しかしながら昨年のライブはやはり開催することができなくなり、1年越しのリベンジとなるのが、結果的には3月から始まったツアーのファイナルであり、15周年イヤーのファイナルとなるこの日のワンマンである。
雨が降る中でも検温と消毒を終えて客席に入ると、床には「SOCIAL DISCO!!! STANCE」と書かれた紙が貼られている。そこがそれぞれの立ち位置になるという、立ち位置指定のスタンディングの形態であるが、さすがtelephones、ただ場所をバミるだけでも遊び心に富んでいる。
開演時間の19時を少し過ぎたところで場内が暗転すると、おなじみのSEである「Happiness, Happiness, Happiness」が流れてこないので、あれ?と思っていたらステージ背面に迫り上がってきたスクリーンには電波が入った後のZepp Tokyoでのワンマンで本格的に活動再開を宣言した際の映像が流れるのだが、新作アルバム「NEW!!!」のリリースとそれに伴うツアーがコロナ禍によって延期されたというこの日までの道のりが簡潔に紹介されるのだが、そのいわゆる昨年春以降の自粛期間にそれぞれ、
石毛輝(ボーカル&ギター):より良い曲を作るための制作活動
ノブ(シンセ):最強のゲーマー
長島涼平:埼玉県北本市で野菜の栽培
松本誠治:大宮にオープンした自身の店「まぜそば誠治」の営業
という形で己の技術を研ぎ澄ませていたことを明かす。これはかつてのワンマンでも良くあった類の、実にtelephonesらしいライブのオープニングである。かつては年末の恒例ワンマンでは誠治の髪型が変わる導入映像が作られていたことも思い出す。
映像が終わると「Happiness, Happiness, Happiness」が流れてステージ上のミラーボールが輝く中でようやくメンバーが登場。ついに15周年最後の日の始まりである。
昨年リリースの活動再開後初となるアルバム「NEW!!!」のオープニング曲である「Here We Go!!!」でまさにここからライブが始まるという期待を最大限に昂らせてくれる。ノブはいつものようにステージ上で踊りまくりながらコーラスをし、
「Put your fuckin hands up」
というフレーズに合わせて観客も両腕を掲げる。これまでにもキラーチューンから始めたり、あらゆるライブのスタート方法を我々に提示してきてくれたtelephonesだが、15年目にしてこれ以上ないくらいにオープニングにふさわしい曲を生み出したのである。
登場時から装着していた唇サングラスを石毛が外すと、観客がコーラスフレーズを叫ぶことができない中での「D.E.N.W.A.」へ。
実はツアー初日のさいたま新都心HEAVEN’S ROCKではこの2曲目に「Love & DISCO」を演奏するという、パターン化されることを自ら拒むような変化球的なセトリを組んできたのだが、やはりファイナルということでそうしたセトリにも変化が伺えるし、この状況下であってもツアーを回ってきたからこそのバンドの演奏のキレと石毛のおなじみのハイトーンボイスの伸び。やはりtelephonesはライブハウスで生きるライブハウスバンドであるということがその音から伝わってくる。
石毛(自分も紛れもなくその経験がある)がパンクに出会った時の衝撃を、今telephonesに出会うことによって体験させるようなディスコパンクな「Changes!!!」はフェスなどでも演奏されてきたことによって「NEW!!!」の中でも完全にライブ定番曲になったと言ってもいいだろう。
そうした最新作の曲の後に、
「あそこ(客席真上)とステージにある、あのミラーボールを…ぶっ壊せ!」
と、深夜にはクラブageHaとしても営業してきたSTUDIO COASTの象徴であり、ダンスロックバンドtelephonesの象徴でもあるミラーボールを破壊するという衝動もまたパンクである「crashed mirror ball」という初期曲へ繋がるという流れはtelephonesの不変にして普遍っぷりを感じさせる。一体何回このCOASTでミラーボールをぶっ壊してきたんだろうか。そう思うくらいにこの会場のtelephonesのライブで聴いてきた曲だ。
「中止にならなくて本当に良かった!こんな状況の中で来てくれてマジでありがとう!」
と石毛が観客に感謝を告げると、このツアーの会場限定CDとして販売されている新曲「Caribbean」は、誠治によるラジオDJが曲紹介をするかのようなラップから始まるという、タイトル通りにトロピカルな、新しいtelephonesの一面を見せてくれる曲だ。夏には野外フェスでこの曲を聴きたくなってしまうが、そうした意図や側面も込められてこそのこのサウンドなんだろうか。ノブのロボットダンスも本当に見ているだけで笑ってしまうくらいに面白い。
「oh my DISCO!!!」が演奏されているのを見ると、かつてのライブでの狂騒を思い出す。じわじわと高まってサビで爆発し、みんなで叫んで踊りまくるあの空間のことを。今はそれとははるかに遠い世界になってしまったけれど、だからこそああいう場所や楽しみ方を取り戻すということに絶望ばかりしてはいられないと思う。
DISCOシリーズの中ではそこまで演奏頻度が高いわけではないこの曲においてすらそう思うくらいに、これまでのtelephonesのライブの景色が自分の脳内には刻み込まれている。
石毛がこの状況でも踊ることはできるということを観客に改めて語りかけた後に涼平のグルーヴィーなベースのイントロが体も心も踊らせてくれる「electric girl」ではノブのシンセのサウンドが印象的なサビで観客たちが一斉に飛び跳ねるのだが、その飛び跳ねるという楽しみ方によってこの日のライブが一気に解き放たれたような感覚があった。観客側が「この状況でもこの曲でこうやって踊るのってめちゃくちゃ楽しいじゃん!」っていうことがわかったかのような。そうしてくれたのはこれまでにも数え切れないくらいに我々を踊らせまくってきたこの曲の力と、今のtelephonesのバンドの力である。
15周年を迎えたtelephonesの歴史の中で個人的に最も大きかったのはやはり2015年の活動休止である。その活動休止発表後のライブで毎回最後に演奏されることによって、終わりに向かっていくことと向き合わざるを得なかった「Something Good」が今でも尚聴いていて泣けてきてしまうのは、やはりその頃のことを思い出してしまうからであるし、それを経て今こうしてtelephonesのライブを見ることができているからである。だからあの頃に溢れてきた涙とは意味が全く違う。telephonesというバンドも、音楽やライブそのものも心からSomething Goodと呼べるものだと思う。
しかしながらMCになるとやたらと空気が緩くなるのもまたこの4人の関係性を感じさせるのだが、涼平が切り出した話が全く他のメンバーと噛み合わなかったり、最も話が噛み合わない男であるノブは
「telephonesっていう名前でずっとやってるから携帯会社と仕事したいね。ソフトバンクの孫正義さんにライブ見に来て欲しい(笑)」
と言って、ライブ中に客席にいる孫正義にステージから呼びかけるという妄想も自身で再現させ、さらには
「今日携帯会社に勤めてる人来てない?」
とマジで関係性を構築しようとし始める。実際に手を挙げていた人が3人ほどいたが、それはtelephonesのライブだからなのだろうか。
そんなやり取りの後には「NEW!!!」のモードへ。ループするメロディとフレーズ、サウンドがどんどん激しくなっていくという、文字通りに新しいダンスミュージックの形を追求した「New Phase」では石毛のエフェクトボーカルも聴きどころであり、ノブのロボットダンスも見所である。
さらに「Tequila, Tequila, Tequila」でじっくりと、でもしっかりと踊らせるというのは少し大人のダンスロック。だからこそまたこうしてライブハウスでアルコールを摂取しながら(今は新木場STUDIO COASTでもアルコールを販売していない)踊ってライブが見れる日が来ることを願って止まない。活動再開後、かなり早くからライブでも演奏されてきた曲であるが、この曲で踊ることの心地良さが好きな人もたくさんいるはずだ。
サビで観客が飛び跳ねるというのは「electric girl」とも、単語を3つ連ねるというのとサウンドからは「Tequila, Tequila, Tequila」とも連なるような「Yeah Yeah Yeah」もまたそのタイトルを歌えないというのはなかなかに湧き上がるものや出てきてしまうものに我慢をしないといけないのだが、そんな中でノブが観客にその場で自身のように踊ることを指南し、観客に後ろを向かせて踊らせると、
「あそこにいるのがPAや照明などのスタッフさんだー!」
とこうしてライブを作ってくれているスタッフを紹介して拍手を送る。この人たちがいないことにはバンドがいてもライブをすることができないという裏方でありながらも影の主役と言える存在であるが、telephonesがこうしてツアーを回ってきたのはそうした人たちに働ける場所がちゃんとありますように、という思いも込められているはずだ。それはもともとメンバー自身がライブハウスのスタッフとしてライブハウスを愛してきた身でもあるバンドだから。
そのノブのダンス指南によって始まるのはもちろん「Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!」であり、やはりノブ自身が誰よりも自由にステージ上で踊りまくり、立ち位置の反対側からシンセを弾いたりもするのだが、曲中に見せる石毛のアクションも実に気合いのこもっているのが伝わってくるものであり、だからこそコーラス部分のキメに合わせて観客もいつも以上に高くジャンプしようとする。それはこの状況下でも今までと同様にできる、最大限の楽しみ方である。
「活動休止したりもあったけど、今は再開して本当に良かったと思ってる」
というセリフを客席を見渡しながら石毛が言う。だからこそ一層沁み入るものがある。目の前にいる我々に向けて、その景色を見てそう言ってくれているのだから。こちらこそ活動再開してくれて本当に良かったと思っている。
そこからはラストスパートとばかりに、
「こういう状況だからこそ、踊るっていうことが本当に大事なことだと思っている!」
と、その音や曲、ダンスという行為によって、人間が人間らしく生きていくために必要なものがなんであるのか、それを我々が不要不急と割り切ることができないのは何故なのかということを示すように「A.B.C.DISCO」からはただひたすらに楽しいと思える、それはつまり生きているということを実感させてくれるDISCOシリーズの連打による連打となるのだが、
「この曲でメジャーデビューしました!」
と言って演奏された「Monkey Discooooooo」では間奏で石毛が勢いよくステージ前まで出てきておなじみのブリッジギターを決める。石毛はそもそもが「メインボーカルしながら弾くようなギターじゃない」というギターを軽々と弾きこなすギタリストとしての技術を持っているが、ここに来てさらにそれが確実に向上しているのがわかる。つまり、telephonesというバンド自体がまだまだ進化の途上にいるということだ。
DISCOシリーズの最新作である「Do the DISCO」においても
「死ぬまでDISCOし続けようぜー!」
と叫んでいたが、もうこの頃になるとソーシャルディスタンスを取っていたり、声が出せないということを全て忘れるくらい、今目の前で鳴っている音に反応して体が動くことがただただ楽しくなっていた。その感覚を知ってしまっている、わかってしまっているからこそ、やっぱり自分も死ぬまでDISCOし続けたいと思う。telephonesのメンバーはローリング・ストーンズのように60代を超えてもステージ上でDISCOを鳴らし続けていると思うから。
そんなライブのラストは、
「今日来てくれたみんなに、スタッフやライブハウスの人たちに、音楽が大好きな、ライブハウスが大好きな人に愛とディスコを送ります」
と言って演奏された「Love & DISCO」。ツアー初日の2曲目に演奏されるという意外性も好きである。それによってその日のセトリが全く予想がつかないものになるから。
でもやはり15周年の最後の日であるこの日、ツアーファイナルであるこの日、ツアー中のどのタイミングよりもまた厳しい情勢になってしまったこの日だからこそ、最後はこの曲じゃないといけなかった。15年間の中でこの曲が生まれてからは12年ほど。どれだけの愛とディスコを受け取り、どれだけの感謝をバンドに返せてきたのだろうかと思う。それは受け取るものの方が圧倒的にこれからも増えていくだろうけれど、少しでも返せていけるように。そしてまたどこの誰かもわからないような人たちと肩を組んだりしてDISCOを叫べるように。やはり15周年の最後のこの日もこの曲の演奏時には愛とディスコが溢れていた。
やや長めのアンコール待ち中の暗転の後、ステージには再びスクリーンが現れ、ゆかりのあるバンドからのメッセージ動画が流される。涼平も
「バンドの色が出る」
と言っていたその映像は、
9mm Parabellum Bullet 菅原卓郎、中村和彦
「本当だったら今日は対バンしてメンバーを1人ずつ胴上げしたかった」(和彦が終始笑顔なのがDJでtelephonesをかけるほどの愛を感じる)
ORANGE RANGE
「まぜそば誠治へお越しの皆さん、ORANGE RANGEです」から始まる。メンバー全員いるが、コメントを喋るのは全てHIROKIで、YAMATOが相槌役。
THE BAWDIES
ROY「2015年の活動休止の際に「俺たちは10年でも20年でも待ってます!」って言ったのに、体感3日くらいで帰ってきた。あの時結構ウルウルしながら言ってた俺の感動を返して欲しい」
JIM「箱根に泊まりで行って帰ってきたくらいの感じだよね(笑)」
BRADIO
メンバー3人が1単語ずつ分けてコメントを読む。涼平に「あれ毎回やってんな」とコメントするのに慣れていることを見破られる。
the band apart
昨年の自身の主催イベントに出てくれた感謝を荒井が、22年続けてきた先輩バンドとしてのメッセージを木暮が贈る。原は座ってずっと一点を凝視したまま。川崎はマスク着用で直立不動。もちろん喋らない。
Tempalay
3人全員ビールを飲みながら「また対バンしたい」と打ち上げの席で会話しているかのよう。小原、AAAMYYYともにすでに酔っ払ってるかのように上機嫌。
アサノケンジ(TENDOUJI)
狭い家からインスタライブをやっているかのような映像。telephonesはTENDOUJIにとっては
「1個上のサッカー部の、サッカーは全然上手くないけど面白い先輩」
という実に秀逸な例え。
というもの。てっきり9mmとORANGE RANGEだけかと思っていたが、このコメントをくれた面々は元から去年対バンするはずだったバンドたちだ。去年は対バンできなかったし、今もできない。それでもtelephonesが続いていて、他のバンドも続いてくれていれば必ずその日は来る。このメンツでの対バンツアーが実現したら、全部見に行きたいくらいだ。
「telephonesで1番最初に作った曲!」
という15周年ならではのコメントから演奏されたのは同期の音も使った「Used Skin」。非常にレアな選曲であるが、演奏後の解説は
「みんな「fu〜!」って手を挙げてくれてるけど、タイトルは「使用済みコンドーム」って意味だからね(笑)」
というもの。今なお「NEW!!!」の曲たちもそうであるが、telephonesの曲は英語歌詞だし意味がないと思われることも多いけれど、歌詞カードを見ながら聴くとそこに込められた意味やメッセージを感じることができる。この曲に関しては知らなくてもいい意味かもしれないが、このタイトルはThe Marz Voltaのアルバムのブックレットに書いてあった単語をたまたま見つけて使ったという裏話も開陳される。
コメントをくれたバンドたちの映像にツッコミを入れながらも、ここでせっかくの15周年最後の日=誕生日前日ということで、ノブが15年の中で印象的な思い出を語る。
やはり最初にさいたまスーパーアリーナでワンマンをやった時が今でもすごく強く残っているというのはノブにしては実にストレートな思い出である。クロークが混雑し過ぎて開演が遅れたり、アリーナスタンディングこそ満員であったが、左右のスタンド席までは埋まらなかった、真冬なのに灼熱だったあのさいたまスーパーアリーナも2011年なので10年前。ついこの間のことのように覚えているというのに。
しかしその思い出以外にももっともっと浸りたいノブは
「心斎橋QUATTROで8otto、UNISON SQUARE GARDEN、LEGO BIG MORLと対バンした時に石毛が誠治君の弁当に屁を吹きかけていた」
という、誠治いわく
「俺じゃなかったらイジメですよ(笑)」
というエピソードを話す。石毛いわく、誠治に元気になってもらうためのふりかけ的なものをご飯にかけたのだという。
しかしそんなノブ自身もriddim saunterと浜松窓枠で対バンした際にSEが鳴り始めてからトイレに大をしに行き、めちゃくちゃ急いで手を洗ってギリギリ登場に間に合ったものの、急いだことでテンションが上がってそのままトイレ明けの1曲目で客席にダイブしたというエピソードを明かす。
そうした15周年を振り返るトークの後に、今回のツアーではノブが各地の名物お土産をステージに持ってきて食べるというパフォーマンスの新木場バージョンをやるために袖に引っ込むのだが、「新木場の名物お土産…?」という疑問が浮かんでいた中で持ち込んだのは、2日前に誕生日を迎えたダンスグルーヴマイスターの涼平の誕生日ケーキ。
マジでサプライズだったらしく、涼平は本当に驚いていたが、そんな涼平の37歳の抱負は
「これからも野菜を育てて、いつか物販で法外な値段で売る」
というもの。いつも我々を踊らせてくれる独特のベースラインを編み出してきた涼平の誕生日をこうしてメンバー、ファン、スタッフみんなで祝うことができて幸せだし、袖にいたスタッフたちがめちゃくちゃ拍手していたのが、今のtelephonesに関わる人たちの関係性や暖かさを表していた。
そして改めて石毛が観客や関係者、そして音楽を好きでいてくれている全ての人への感謝(そういうところがtelephonesであり石毛だ)を告げると、
「telephonesの始まりの曲はやっぱりこれだよね!」
と言って、かつてサカナクションの山口一郎に「発明だと思う」と言わしめた、「I am DISCO」のフレーズを叫ぶ「urban disco」。ノブは客席にダイブすることはできないが、代わりにステージ上で台車に寝そべって滑走し、さらには新木場という地名に合わせて巨大な木材をステージに持ち込んで歩き回り、その様子を自らのスマホで撮影するというあまりにも自由で、あまりにもノブでしかないパフォーマンス。一緒に叫ぶことはできないけれど、違った方法で我々を楽しませてくれて、やっぱりこれが最高だなって思える。この15年の間で自分も心から「I am disco」と思えるような人生になった。
演奏が終わるとツアー中はやっていなかった写真撮影を、ノブは木材を持ったままでセルフィー方式で撮影しようとするのだが、そのままだとうまく撮れないので木材を誠治に預けて観客を背にして4人だけで撮影。
メンバーがステージを去ると翌日からの16年目も止まらないことを示すかのように、埼玉のライブハウスでの3daysワンマンが発表された。それは床に貼ってあった「SOCIAL DISCO!!! STANCE」の紙の裏側にも記載されていた。ライブハウス終わりの名物のフライヤーを配ったりすることもできないご時世に、telephonesならではの形で持って帰れるものを作ってくれた。「SOCIAL DISCO!!! STANCE」にはちゃんとtelephonesとしての意味が込められていたのだ。
the telephonesやTHE BAWDIESらによるイベント「Kings」が最後に開催された場所もここだったし、サカナクション、OGRE YOU ASSHOLEとの「Version 21.1」もここ。夏の風物詩の「UKFC」でも毎年このステージに立つなど、ツアーや対バンも含めてこれまでに数え切れないくらいに新木場STUDIO COASTでのtelephonesのライブを見てきた。
かつては階段下のスタンディングエリアは常にモッシュやサークルが発生し、人入りすぎなんじゃないかと思うくらいの密度だった。
しかし久しぶりの新木場でのtelephonesのライブの光景も変わらざるを得なかった。距離を取り、どれだけ一緒に叫びたくても我慢して、マスクを着用している。
でも景色や楽しみ方がどれだけ変わってしまっても、どんなに仕事で疲弊していたり、雨でずぶ濡れになったり、世の中が鬱屈としていたとしても、telephonesのライブはいつだって自分の気持ちをブチ上がらせてくれる。もちろん15周年のうちの13年くらいを見てきて、楽しいだけではなかった。1人のファンとして悔しかったり、心配になったりすることも多々あった。
でも楽しいだけじゃなかったからこそ、telephonesのライブには様々な感情が渦巻いていて、それを音や曲に預けることができた。それを経ての今はやっぱり心の底から楽しいし、ロックバンドを続けていくことの尊さや儚さのようなものも感じさせてくれる。
きっと、この日会場に来ていた人はみんなそうだ。これからもずっとtelephonesのライブで踊り続ける、リアル「I am disco」な人たちばかりだ。telephonesは今、15年の中で最も、そうした目の前にいる人たちを踊らせるために音楽を鳴らしている。これから先、20周年も30周年も40周年もこうして祝えていますように。そのくらいになっても、telephonesも我々もずっと変わっていないような気がするのだ。
1.Here We Go
2.D.E.N.W.A.
3.Changes!!!
4.crashed mirror ball
5.Caribbean
6.oh my DISCO!!!
7.electric girl
8.Something Good
9.New Phase
10.Tequila, Tequila, Tequila
11.Yeah Yeah Yeah
12.Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!
13.A.B.C.DISCO
14.Monkey Discooooooo
15.Do the DISCO
16.Love & DISCO
encore
17.Used Skin
18.urban disco
文 ソノダマン