先日のBAYCAMP「DOORS」に出演した際もこの世の中の状況でも全く変わらないバンド名通りの初期衝動っぷりを炸裂させていた、東京初期衝動。
今月には待望の3rd EP「Second Kill Virgin」をリリースしているという状況であり、そのEPのリリースツアーの初日となるのがこの日の千葉LOOK。
なかなかにこのご時世の中では物騒なライブタイトルとなっているが、それはこの日の対バンがリアルにアル中のメンバーが率いるPK Shampooだからであり、ディズニーランドがある千葉県でのライブをドブネズミランドと評するのは実にイメージに似合っている。
・PK Shampoo
そんな治安が悪いバンド、PK Shampooのライブを見るのは昨年2月の渋谷CLUB QUATTROでのイベント以来。その時はイベントのトリとしてCRYAMYや時速36kmのメンバーが次々にステージから客席にダイブするというラスボスっぷりだったが、そんな景色が遠い昔のことのように思える。
開演前にはBAYCAMP主催者でもあるP青木が前説に登場し、ガイドラインやルール説明をするのだが、東京初期衝動のメンバーがMCをやらないからという理由で今回のツアーやリリースされたばかりのEPの告知をするも、その途中で
「………電話かかってきちゃった(笑)」
という事態に。前にもこんなことがあった(確か去年の夏のリキッドルームワンマンの時)のだが、なぜ東京初期衝動のライブの時だけこうなるのだろうか。
そんな前説の後にすぐさま客席が暗転すると、ニシオカケンタロウ(ベース)が狭いステージであっても走って先頭で登場すると、ヤマトパンクス(ボーカル&ギター)はメガネをかけてadidasのジャージを着用している。どこか伸びた後ろ髪を微妙に結んでいるようにも見える。
そのヤマトパンクスがギターを掻き鳴らし、「夜間通用口」からスタートすると、そのヤマトパンクスの抒情性を強く帯びた、歌謡曲やフォークの影響を感じさせるボーカルが響く。
Twitterではやたらとバズることも多いし、その内容も「この人はどうやって生きているんだろうか」と思ってしまうくらいに破滅的な、昔ながらのロックスターというタイプを体現している人間であるが、そうした言動を見るとやっている音楽もそうした破滅的なパンクなのかと思うけれど(名前もパンクスだし)、確かにバンドの鳴らすサウンドはパンクの影響も感じさせるものではあるけれど、そうしたイメージからは想像できないくらいに歌とメロディのバンドである。
そのヤマトパンクスは歌いながら観客の方を指差したりし、続く「奇跡」では早くもメガネを外すのだが、叩きながら笑顔を浮かべて歌を口ずさんでいるカズキ(ドラム)とニシオカのリズムはシンプルではあるけれど、イントロなどではセッション的な演奏も挟んだりというあたりはライブでさらに曲を練り上げていくバンドの姿と言えるだろう。
しかしながら歌う際の挙動は横を向いたり後ろを向きながらマイクスタンドを引き寄せたりとなかなか落ち着かないし、だからこそマイクに声が乗ってこないタイミングすらあるヤマトパンクスだが、前述の通りに歌謡曲やフォークという要素が強い音楽性上、そうでないと成立しないというのはわかっていながらも、歌が非常に上手いということに久しぶりに見るライブ、しかもこのステージと客席の距離が非常に近い千葉LOOKだとより強くそれを感じることができる。
アルコール依存症と診断されたことを(しかも割と最近)インタビューなどでも口にしている、ガチのアル中であるけれど、元々持っている音楽的な素養や能力の高さを伺わせる。それだけに100%クリーンになったらどんなライブをやるんだろうか、とも思うけれどもそうなったらもうヤマトパンクスらしくなくなるかもしれない。
そのヤマトパンクスは
「暑い!」
と言いながらトレードマークとも言えるadidasのジャージを脱ぐと、
「しーなちゃんから直接LINEでツアーの千葉LOOKに出て欲しいと連絡が来まして。我々、大阪と京都のバンドなんで、千葉は遠いからどうしようかなぁと思っていたんですけど、迷っている間に勝手に出演するって発表されてた(笑)」
と、このツアーに出ることになった経緯を語る。東京初期衝動は前回のツアーもワンマンだったし、今回のツアーはゲストがいるのはこの日だけ。それだけにPK Shampooというバンドへの強い思いを感じさせるのだが、ヤマトパンクスはサングラスをかけるギタリストの福島カイトに
「ギャルと一緒ってどう?」
と聞く。福島の答えは
「ドキドキするわ(笑)」
といういたって普通なものであるが、ライブ前に楽屋ではジャージを着ているヤマトパンクスがエアコンの温度を下げると、タンクトップのしーなちゃんが温度を上げるという小競り合いも発生していたようなのだが、そうしている最中も東京初期衝動のドラムのなおは一切笑っていなかったらしく、
「なおちゃんは怖いよな(笑)」
というのが2人の共通の認識らしい。
するとここで
「なかなか曲を作らないから無名なんだけど、久しぶりに新曲を作った」
ということで2曲の新曲を披露。
1曲目はやはり決して性急というわけではないけれど、バンドの中ではショートチューンと言えるような曲で、2曲目は逆にどっしりとした歌モノから一気に演奏が加速するという展開の曲。
見た目からもこんなにチャラそうな感じなのにそれが音楽には一切入り込まない、なんなら「洗濯機」などの、まさに昭和歌謡やフォークのような歌詞すらも入っているあたりは、むしろそれこそがヤマトパンクスやこのバンドの人間性を示しているのだろう。
「関西屈指の難関大学と言われている関西大学の軽音楽部の出身でして…」
と、初見の人が多いであろうこの日だからこそ丁寧に、しかし
ヤマトパンクス「春になると軽音楽部に新入生が入ってきます。そうすると新歓コンパと称した花見を川沿いでやるわけなんですね。でもカイトが入って来た時の花見はめちゃ雨が降ってて(笑)」
福島「俺の友達、川の下流まで流されてたもん(笑)」
ヤマトパンクス「○○(人物名)な(笑)」
と、やはりユーモラスに自分たちのことを紹介すると、その花見をしていた川のことを歌った「神崎川」へ。
生々しい歌詞も登場するし、自分はその場所がどんなところなのかは全く知らないけれど、それでもこうしてバンドでこの曲を演奏しているのを聴いていると、頭の中で自分にとっての「神崎川」の情景が浮かび上がってくる。それはメンバーにとっては今でも楽しかったと思える、美しい思い出なのだろうし、それをこうして曲として封じ込めているからこそ、こうしてバンドをやっている原動力になっているのかもしれない。
そして最後に演奏された「星」の壮大なメロディとヤマトパンクスの歌声は、確かにアウェーだったかもしれないこの場でもたくさんの観客が腕を上げるものになっていた。ヤマトパンクスのギターを振り回すような演奏からは、もしかしたらこのバンドがパンクとフォークを融合させた、新しいバンドの形を見せてくれる存在になるんじゃないかという気すらしていた。
この日もヤマトパンクスは缶チューハイを飲んでいたが、昨年ライブを見た時は瓶ビールをラッパ飲みしており、それをCRYAMYのメンバーらが回し飲みしたりしていた。それは今の状況ではまずやってはいけないことであるが、その時のライブをこのバンドのことをあまり知らないような人が見たら、ただ仲間たちと酒飲んで騒いでいるだけに見えるかもしれないな、とも思った。
しかしそうしたノリが出来なくなった、ただひたすら音楽を鳴らすことしかできない状況でのPK Shampooのライブは、去年よりもはるかにバンドの本質が見えた。
ボカロなどのパソコンだけで完結できるような音楽とは対極にいる、鳴らしている人の人間性が滲み出ている音楽。ストイックに音楽や人生に向き合うしーなちゃんと破滅型ロックンローラーのヤマトパンクスがこんなに意気投合するなんて全く想像していなかったが、それはこのバンドの音楽から感じることができる彼の純粋さをきっとしーなちゃんはわかっているんだろうなと思う。
1.夜間通用口
2.奇跡
3.君の秘密になりたい
4.新曲
5.新曲
6.神崎川
7.星
・東京初期衝動
先週にBAYCAMP「DOORS」に出演したばかりで早くもツアーが始まるというスケジュールの東京初期衝動。おなじみのTommy february6「je t’aime ★ je t’aime」のSEのサビが流れるとメンバー4人がステージに登場。ヤマトパンクスが言っていたように、しーなちゃん(ボーカル&ギター)はタンクトップを着用しているのだが、メガネをかけているのはヤマトパンクスへのオマージュだろうか。(BAYCAMPの時も物販にいた時はメガネをかけていたけど)
「黒髪少女のギブソンのギターは…」
としーなちゃんが歌ってから髪色はピンクっぽい明るい色になっている希がギターを鳴らす「BABY DON’T CRY」から、メロディは超絶キャッチーな爆音パンクロックが響く。ダイブやモッシュこそできないけれど、その風景を見て、ああ、自分がずっと昔からこうして足を運んでいる千葉LOOKでのロックバンドのライブだなと思う。それは椅子がない、立ち位置に目印が貼られた形でのスタンディング形式のライブというのもあるかもしれない。
しーなちゃんがあさか(ベース)の方を指さすと、歌い出しの重いベース音を鳴らす「再生ボタン」が早くもこの序盤で演奏される。しーなちゃんは登場時にかけていたメガネを外しているが、続く「高円寺ブス集合」ではギターを下ろしてハンドマイクになると、客席最前列前の柵に足をかけて、今にも客席内に突入していきそうな雰囲気すら感じるのだが、そうしたタイミングですかさずP青木がしーなちゃんのすぐ後ろにスタンバイするという連携っぷりはお互いへの信頼感があるからこそ為せる、この状況下でのギリギリを攻めるパフォーマンスであろう。
その「高円寺ブス集合」の「バニラの求人」の大合唱(観客は歌えないけど)も、1st EP収録の元カノへの恨みを炸裂させる怨念ソング「うちのカレピに手を出すな」も、バンドの演奏もしーなちゃんのボーカルも音自体がグッと整理されたような印象だ。それでいてもそうしたパフォーマンスによってもともと持ち合わせている、こうした曲を演奏するときに最も大事な要素である衝動が失われることはない。バンドの大事な部分は残しながらもしっかりとバンド自体が進化しているのである。
そうしたバンドの進化は小さいライブハウスゆえにミラーボールが回ることのない「流星」というロマンチックなメロディを前面に押し出した曲においてこそ顕著であるが、さらにそれを強く実感させてくれるのが「Second Kill Virgin」収録の、まだギリギリ5月はこの曲の情景の中に我々がいることができていると思う「春」、タイトル通りに青い照明がステージを包み込むというのが新規軸な、静謐なサウンドと名フレーズが盛り込まれた歌詞の「blue moon」という2曲である。
ともにパンクというよりもポップなメロディを打ち出した曲であるが(「春」はギターのサウンド自体はノイジーであるが)、だからこそ歌の要素が重要になる曲だ。それをしーなちゃんはより艶を増した歌い方で見事にモノにしている。それは見事な肉体を作っているトレーニングによる成果もあるのかもしれない。細美武士もTAKUYA∞もロックバンド界を代表する力量のボーカリストたちはみんなストイックに体を鍛えたり、走ったりしているだけに。
その2曲は先日のBAYCAMPでもともに演奏されていたので、すでにバンドにとって自信のあるキラーチューンであるということがわかるのだが、そうした曲がフェスやイベントでセトリに入ることによって逆にセトリから漏れてしまう、しーなちゃんの弾き語りからバンドの演奏に展開するという、我々の愛する銀杏BOYZ「人間」に通じるアレンジの「中央線」という曲が聴けるのは持ち時間が長いツアーならではと言えるだろう。
「殺しておけばよかった」
というメジャーフィールドではまず聴けないであろうフレーズをこんなにもキャッチーに響かせることができるのかとすら思う「Because あいらぶゆー」では曲の入りが合わなくてやり直すという場面もあったが、自分がこの曲に強い思い入れを持っているのは、
「ハロー、素晴らしい世界なんて見えないよ」
「私は幻なんかじゃなかった」
という、銀杏BOYZへのオマージュ的な歌詞が盛り込まれているからだ。
元々は同じように客席から銀杏BOYZのライブを見ていて、あの時のライブで演奏されたあの曲や、あの時の峯田和伸のあのMCに涙して…という経験を共有していると思っているからこそ、今でもこの曲を聴くとバンドを始める前のしーなちゃんの姿を思い出す。それはもしかしたら忘れて欲しい場面もあるかもしれないけれど、そうした記憶があるからこそ自分はこのバンドを他のバンドとはまた違う、特別な存在のバンドとして捉えている。そしてそんな人がバンドを始めて、こうして自分が学生の頃から何度もライブを見に来ている千葉のライブハウスにライブをしに来てくれているのだ。そこにはやはり特別な感情がないとは言えないのである。
昨年リリースの、パンクに止まらない新しい音像に挑んだ「愛のむきだし」もこの4人での経験を重ねて来たからこそより映えるというか、聴かせながらも乗らせるというところまで達することができるようになったと思うし、それはなおとあさかのリズム隊の安定感に加えて希のギターのキレの向上という要素も大きいはず。
そうしたバンドの進化は演奏だけではなくコーラスにも顕著であると思えるのは、コーラスがもはや一つのメロディの主役的な部分すら担う「STAND BY ME」。
「ここでつまづくなよ、東京初期衝動!」
と歌詞を変えて叫んだしーなちゃんは次の「黒ギャルのケツは煮卵に似てる」ではハンドマイクになるとやはり客席前の柵の上に立って歌い、P青木がすぐ側にスタンバイすることに。あまりにもその手際が良いだけに、こういうところはポンコツとは言えない仕事っぷりである。
さらには「兆楽」では曲のテンポが速いこともあってかさらに客席に飛び込んでいきそうな雰囲気や、自身の着ているタンクトップを腹の部分までめくったりというパフォーマンスすら見せ、最後にはあさかの方へ走っていって1つのマイクでお互いに歌う。しーなちゃんはもちろん、あさかの表情も実に楽しそうだ。このバンドに後から加入するというのはあらゆる意味で本当に大変なことばかりだったと思うが、こうしてそんな姿を見ていると、あさかに加入してくれて本当にありがとうと思う。
そんなライブの本編は明滅する照明が轟音ギターサウンドも相まってメンバーの姿をより神聖に映し出す「ロックン・ロール」でその秘めたる衝動を音にしてぶち撒け、やはりMC一切なしというストイックの極みのようなライブをやり切ってみせたのだった。
アンコールで再びメンバーが登場すると、最初に鳴らされたのはまさかのこの日2回目の「再生ボタン」。確かにかつても1回のライブで2回演奏されることも多かったけれど、持ち曲が増えてきた今になってもこうして2回も演奏するなんて思わなかった。それだけにビックリして声が出てしまいそうになったけれど、やはり1回目の演奏よりも2回目の演奏の方が、たくさんの曲を演奏してきた上でのこの曲なだけに音がさらに漲っている感じがあるし、だからこそ
「自分の居場所は自分で守れよ」
というフレーズがより一層響く。
自分の居場所は紛れもなくライブハウスやライブ会場だ。それこそコロナ禍になる前は年に130本とかライブを見に行っていたのだから。その中でもこの千葉LOOKが大切な場所の一つなのは、千葉県民として最もライブを観に行く機会が多いライブハウスがこの会場だからである。
それこそMONOEYESや10-FEETという、動員力や収益だけを考えたらここでやる必要のないバンドたちが今でもライブをしに千葉に来てくれるし、先日はBLUE ENCOUNTもこのご時世の中でもライブをしに来た。(チケットが取れるわけもないけれど)
この日、PK Shampooのヤマトパンクスも
「遠いけど、ずっと来たかった場所」
と口にしていた。「千葉のライブハウス」と言われて多くのバンドが真っ先に名前を挙げるのはここだろう。そんな、10代の頃からいろんなバンドの、それこそ「まさかこのバンドをここで見れるなんて」と思うようなライブを見たり、まだブレイク前のバンドを近くで見ることができた場所でもある。ツアー初日にライブをすると巨大なポスターを貼ってくれるというバンドの慣例をこの日、東京初期衝動でも見ることができた。これから先、何度でもそんな景色をここで見ることができるように、自分の居場所を自分で守っていきたい。
もはやコーラスというよりは歌に被るシャウトというくらいに、タイトル通りに衝動が炸裂するセルフタイトルの「東京初期衝動」も今やなかなかツアーでないと聴けない曲だが、バンド名の通りに東京初期衝動はずっとバンドを始めた時の初期衝動に突き動かされているようなバンドだ。だから今でもこうしてライブを見るたびにドキドキする。予想がつかないことを起こしてくれるから。それはこのコロナ禍じゃなければもっと楽しめるものになったはずだったのだが。
そして「Second Kill Virgin」の1曲目に収録の、希のギターのサウンドが青い空と青い海を連想させるようなはっちゃけ夏ソング「さまらぶ♡」では間奏で希とあさかがしーなちゃんの方に寄って行って、3人が楽器を合わせるように演奏する場面があり、希とあさかが演奏中に走って立ち位置を移動する場面もあり。つい1週間前のBAYCAMPの時はこんなことはやっていなかった。あれからの1週間で、どうすればこの曲の魅力をより伝えることができるのか、どうすればこの曲を観客がより楽しんでくれるのか、ということに対する答えを出した。それはどこかストイック過ぎてメンバーの表情が固い時も多く感じるこのバンドだからこそ、メンバーの笑顔を見ることができる、楽しんでいることがわかる瞬間になっていたし、普段はライブ中に全く喋らないしーなちゃんがこの曲の演奏後に、
「最後はこの曲で締めさせていただきます!」
と口にして、再び「ロックン・ロール」を演奏した。「再生ボタン」だけではなく、この曲すらも本編とアンコールの締めに2回演奏する。東京初期衝動はBAYCAMPからわずか1週間という短い期間で、自分たちだからこそできるライブのスタイルを作ることができた。
「ロックンロールを鳴らしているとき
きみを待ってる ここで鳴ってる いつかきっと」
自分にとって「ここ」は紛れもなく千葉LOOKだった。全国にはそれぞれの人が住んでいる場所のライブハウスを「ここ」だと思っている人がたくさんいる。それを実感するために、実感してもらうためにこれから東京初期衝動はツアーを回る。そのスタートの場所がこの千葉LOOKで良かったと思ってくれたのなら、千葉県民としてそんなに嬉しいことはない。
演奏が終わるとしーなちゃんは客席に向かって投げキスをし、最前列で見ていたギャル達(しーなちゃんいわく)にピックやセトリの紙やタオルなんかを次々に手渡していた。それだけでは終わりきれず、終演BGMの森田童子「ぼくたちのしっぱい」を歌うために再度ステージに登場。その全てが本当に楽しそうな表情だった。
しかし、しーなちゃんはライブ前にTwitterで誹謗中傷のDMがよく来るとツイートしていた。そうしたことで命を絶ってしまった人のニュースから何にも学んでいない可哀想な人がたくさんいるんだな、と思うし、それを意に介さないしーなちゃんのメンタルの強さは凄まじいとも思うけれど、去年まではしーなちゃんはライブでもそうした見えざるものと戦っているようだった。だから笑顔を見れる機会はほとんどなかったように思う。
でも今はこうしてライブをしているのが本当に楽しそうだ。それはしーなちゃんにとってライブが戦いの場ではなくて、自身を解放させてくれる場になったのかもしれないし、そこには自分たちが一緒にライブをやりたいと思えるバンドがいてくれているということも大きいのだと思う。そうした楽しそうな姿を見ているだけで今は泣きそうになってしまうから、いつかはその姿が普通だと思えるものになっていて欲しいし、そうして変わったバンドが1年ぶりに立つツアーファイナルの恵比寿リキッドルームでのライブも去年のものとは全く違うものになるはず。その頃にはどこかの夏の野外フェスで「さまらぶ♡」が聴けるようになっていたらいいな。
1.BABY DON’T CRY
2.再生ボタン
3.高円寺ブス集合
4.うちのカレピに手を出すな
5.流星
6.春
7.blue moon
8.中央線
9.Because あいらぶゆー
10.愛のむきだし
11.STAND BY ME
12.黒ギャルのケツは煮卵に似てる
13.兆楽
14.ロックン・ロール
encore
15.再生ボタン
16.東京初期衝動
17.さまらぶ♡
18.ロックン・ロール
文 ソノダマン