3日間に渡って、新宿、下北沢、渋谷と場所を変えて開催されるサーキットイベント「TOKYO CALLING」。総勢300組ものアーティストが出演するということを考えれば日本最大クラスのイベントである。
3連休中に開催されているこのイベントは初日が新宿、2日目が下北沢、そして3日目が渋谷。近年はこうしたサーキットイベントが増えてきているが、こんなにも広いエリアを使うイベントはそうそうなく、この渋谷は
O-EAST
O-Crest
O-nest
O-WEST
duo music exchange
WWW X
TAKE OFF 7
WWW
CLUB QUATTRO
Star Lounge
GAME
Milky Way
CHELSEA HOTEL
という、結構遠くない?というくらいにエリアが分かれており、バンドからシンガーソングライターなど様々なアーティストが集結。
12:00〜 魔法少女になり隊 [WWW X]
WWW Xのトップバッターは魔法少女になり隊。ロッキンなどの大型フェスにも出演しているだけにこの会場は今のこのバンドにとってはかなり狭いと言ってもいい規模だ。
しかし天井が高いWWW Xの特性を生かすように巨大なスクリーンがセッティングされているのはこのバンドのスタイルに合わせてのこの会場だったのだろうか、という気もしてくる中でVJのGARIが先頭でステージに登場してそのスクリーンに映像が映し出されると、早くも客席から大歓声が起き、最後にステージに現れた火寺バジルがトレードマークの革命のマスクを外して
「TOKYO CALLING 今日は何が起こるかな?」
と書かれたスケッチブックを観客に見せると(バジルは魔女の呪いによって喋れないという設定なだけにこうして筆談でコミュニケーションを取る)、和の要素を取り入れた「ヒメサマスピリッツ」でスタートし、いきなりモッシュやダイブ、さらにはバンドのライブではあまり見ないようなアイドルやアニソンのライブのようなコーラスが起こるのもラウドロックを軸にそうした様々な音楽を取り入れてきたこのバンドならではであるし、それは「おジャ魔女カーニバル!!」でダイブが起きまくるというカオスな状況が物語っている。
バジルとGARIが懐かしのパラパラのようなダンスを踊るダンスチューン「RE-BI-TE-TO」、かと思えばじっくり聴かせるような「周回とセイレーン」と実に音楽の幅は広いのだが、そんな中でリリースが迫った新作に収録される新曲はワルツのリズムを取り入れてバジルとGARIがフォークダンスのように手を取り合って踊るといういろんな意味で新境地的な曲。この曲を聴いているとこのバンドの軸はやはりメロディにあるんだなと思えるし、これだけ設定などがあるバンドであってもそこだけが際立つ色モノみたいなバンドにはならないのはその軸がしっかりしているからである。
そして冒険の始まり=このイベントの始まりを感じさせるような「完全無敵のぶっとバスターX」から、ラストはスクリーンに
「冒険の書は消えてしまいました」
というファミコン、スーパーファミコン世代のドラクエユーザーにとってはトラウマ的な画面とイントロの音が鳴ってから始まる「冒険の書1」。しかしそんなトラウマをかき消すくらいの熱量をこのバンドのパフォーマンスは感じさせてくれるし、最後の
「魔法少女になりたい!」
の大合唱はどこか感動的ですらあった。
ラウドロックバンドのライブを見るのが好きなのは、ものすごく激しい音楽をやっているのに体が震えるくらいに感動するような瞬間があるから。それはドラムがいないという編成のこのバンドからも確かに感じることであるが、そこにはどんな魔法をこのバンドがかけているのだろうか。
1.ヒメサマスピリッツ
2.おジャ魔女カーニバル!!
3.RE-BI-TE-TO
4.周回とセイレーン
5.新曲
6.完全無敵のぶっとバスターX
7.冒険の書1
12:20〜 ユレニワ [WWW]
WWW Xのすぐ隣のWWWはスペースシャワー列伝とのコラボステージになっており、これまでに列伝ライブに出演してきたバンドや今スペシャイチオシのバンドが登場する。
そのWWWのトップバッターはユレニワ。千葉出身の4人組バンドである。
タイムテーブルの都合上、中に入った時にはすでにライブが始まっていたのだが、踊れるような要素はほとんどないような、じっくりと歌詞を聞き取りながらその情景を頭に浮かべるようなサウンドに、どこかircleの河内健悟を彷彿とさせるようなシロナカムラのやさぐれたボーカルは現状の流行というか、よく耳にするようなハイトーンなタイプのボーカルとは対極にあるもの。その何かに合わせるようなことをしないというバンドのスタイル自体がメッセージになっているというか。
配信限定で新曲をリリースすることも発表されたが、メンバーの演奏も実にうまい。特にドラムのRENJUのシンプルなドラムセットながら手数と強さにメリハリをつけるスタイルは、前述のとおりに情景を想像させながら音に浸るスタイルなのかと思いきや、いきなりテンポが急激に速くなってそれに伴ってサウンドも一気に轟音化するという予想通りの展開を一切しないバンドの一筋縄ではいかない音楽を生み出す最大の原動力になっていると思う。
それによって種谷佳輝(ギター)と宮下レジナルド(ベース)の両サイドの2人も暴れるかのように演奏し、ナカムラは宮下にぶつかりながらという激しいステージングになっていく。これは会場に入って最初の曲を聴いていた時には全く想像しなかった光景であるし、これからそれこそスペシャ列伝などの場でライブを見れる機会も増えてくると思う。
コレサワと「名前が似ていて紛らわしい」という理由で対バンするというセンスも含めて、千葉出身ということを差し引いてもこれから注目したいバンド。
1.重罪
2.Hello Glow
3.缶詰
4.Bianca
5.バージン輿論
6.PLAY
13:30〜 東京カランコロン [CLUB QUATTRO]
O-EASTの次に大きいステージであるQUATTROにはさすがにいろんな大型フェスに出演経験のあるアーティストたちが次々に登場する。このステージ2番手の東京カランコロンもまたそういう存在のバンドである。
やたらとキューティクルさを感じるようになった佐藤全部は相変わらずベースを構える位置が異様に高くて目を惹くが、かみむー氏のリズミカルなスネアドラムの連打から始まったのはバンド最大の代表曲の一つである「少女ジャンプ」。男性ボーカルにしては実にハイトーンないちろーと、少し顔に丸みを感じるようになったせんせいのボーカル、そのせんせいのキーボードのサウンドが絡むことによってきらめくような極上のポップさを感じさせてくれるが、この「TOKYO CALLING」という名前に実に合うバンドであり、これまでにも出演経験があるということでいちろーはこうして今年も出演できることに涙を見せるような演技をしていた。つまりは嘘泣きであったのだが。
今月に最新ミニアルバム「Melodrive」をリリースしたばかりであり、その中からリード曲の「リトルミスサンシャイン」を披露。跳ねるようなかみむー氏と佐藤のループするようなビートはこのバンドが新しいことに挑戦しながら自分たちのポップを磨き続けていることがわかるし、ダンサブルな「ビビディバビディ」、さらに最新作からもう1曲演奏された、タイトルフレーズのリフレインが印象的な聴かせるタイプの「ALL OVER」と、最新作からの曲も含めて近作の曲を中盤に据えてきたことからもそれは伺える。いちろーのマイクがやたらとハウっていたのはもったいないところであったが。
そのビートに合わせて手拍子が鳴る「16のビート」からはポップさを強く感じるこのバンドの持つロックさを放出していき、最後に演奏されたのは観客からの愛や感謝に応えるような「どういたしまして」。「ありがとう」と歌ってきたバンドは数多くおれど、「どういたしまして」と歌っているバンドはいるだろうか、と思いながら、その少し視点が斜めになっているスタイルこそが東京カランコロンらしいと思った。
帰り際にもいちろーは嘘泣きをしていたが、ついちょっと前まではこのバンドはZeppクラスでワンマンをやっていたし、COUNTDOWN JAPANではGALAXY STAGEに出演したこともあった。その時から考えると状況としては落ち着いてきた感じもあるが、QUATTROは満員だった。それはこのバンドの持つ、ポップだけれどとびきりの熱量を放出するライブの良さが全く失われていないということであるし、レーベルや状況が変わってもメンバーが誰も変わっていないという安心感によるものだな、と思った。その楽曲とライブのクオリティの高さは今でも見ていて、心臓飛び出してしまう。
リハ.トーキョーダイブ
1.少女ジャンプ
2.リトルミスサンシャイン
3.ビビディバビディ
4.ALL OVER
5.16のビート
6.どういたしまして
14:10〜 Shift Control [O-Crest]
実は自分はこの日のこのイベントのチケットを取るときに、1年前のタイムテーブルを見てチケットを取ってしまっていた。それに気付いたのは開催の前日であったために、この日何を見るのかをあまりちゃんと決めてなかった。(あまりに会場の範囲が広い&出演者が多すぎるということもあったが)
なのでツイッターでフォロワーさんにオススメの出演者を教えてもらったりしていたのだが、オススメされたアーティストが見たいやつの合間に上手いこと挟まるような時間にいたら見ようと考えていて、それにピッタリとハマったのがこの時間のO-CrestのShift Controlである。
正直、どんなバンドなのかも知らないままで見たのだが、ステージには4人のメンバーが登場し、至ってシンプルな編成のロックバンド。サウンドはエモーショナルなギターロックバンドという感じだが、演奏が非常に上手いのはめちゃくちゃ若いとは言えない見た目による経験によるものだろうか。
「岐阜から来ました、Shift Controlです。今日は東京のサーキットに勝負をしに来ました」
という挨拶の通りに東京のサーキットイベントに参加するのは初めての様子だが、そうは感じないのはやはりその演奏の完成度の高さ。
タッピングまでこなすギタリストと一打一打が激しいドラムがその完成度の高さを引っ張っているが、後で調べたらその2人はサポートであり、正式メンバーは澄んだボーカルを響かせる浅野暢之(ボーカル&ギター)と髪の長いベーシスト宮崎良太の2人だけということを知ってビックリ。こんなにも「この4人だからこそ」という音の溶け合いっぷりは調べなければ確実にサポートメンバーだとは思わなかっただろう。
聴かせるような曲とのメリハリもつけながらも、やはり主軸はギターが轟音で鳴るようなロックサウンド。まだ世に出ている曲の数は少ないが、THE PINBALLSの所属するレーベルにいることもあり、これからの伸びしろは十分だと思う。何よりも
「最後に、1番の武器を持ってきました」
と言って演奏された「InTheDebris」は間違いなく今のこのバンド最大のキラーチューン。正直、観客の数はまばらだったが、それはこれから変わっていくと思う。こうした新たな出会いがサーキットイベントの楽しいところだし、全然知らないバンドだとしてもライブを見るのが楽しい。やっぱりライブが好きなんだよな、と改めて思った。バンドの轟音で体が震えるようなこの感覚も。
1.不可解な景色
2.アウトライン
3.BLIND GIRL
4.fractal world
5.ペトリコール
6.InTheDebris
15:00〜 Ivy to Fraudulent Game [O-EAST]
渋谷のサーキットイベントでは1番大きいステージになる、O-EAST。この日もこのステージに登場するのはこれ以上のキャパでのライブを経験しているバンドばかりだが、このIvy to Fraudulent GameもすでにZeppでのワンマンを経験しているし、様々なフェスにも出演している。なのでライブを観れる機会はあったはずなのだが、なぜか今までライブを観たことがなかった。
メンバー4人が登場すると、柄シャツを着た寺口宣明(ボーカル&ギター)の長身痩躯っぷりに目がいくが、その寺口のハイトーンかつ儚さを含んだボーカルが響く「無色の声帯」からスタート。じっくりとそのボーカルとバンドのサウンドに向き合うようなライブのスタイルはこうしたフェスやイベントのような盛り上がるバンドが強い、というところとは全く違う進化を果たしてきた結果、大きなステージまでたどり着いたことを示している。
デビュー当時はLEGO BIG MORLなどを引き合いに出されたこともあったが、高い演奏力を生かした端正なギターロックバンドというスタイルは確かに通じるところがあると言っていいだろう。
しかしメンバーそれぞれを見ると長髪で寡黙そうなイメージでギターを弾く大島知起、金髪に大きなピアスの穴がライブキッズのようで、メンバーの中で1番表情豊かというか笑顔が見えるカワイリョウタロウ、ほとんどの曲の作詞作曲を手がけるだけにただのドラマーではないオーラを放っている福島由也と割と見た目がバラバラだし、歌わない立場でありながら作詞を手がける福島の歌詞は文学的な、感覚で書いているというよりも知性を強く感じさせる死生観を描いていて、その言葉を発することを任された寺口の歌を聴きながら言葉を追うように聴いてしまう。決して歪みが大きいわけではないサウンドはそうした言葉や歌詞をしっかり伝えるためのものであるとも思う。
劇的に世界そのものを変えるというよりは己の精神を変えるためのものだと思われる歌詞の「革命」と曲が続くごとに寺口も時折煽るようなシャウトを発していくと、このイベントへの思いを口にしてから最後に演奏されたのは「Mement Mori」。
最も有名なのはミスチルだが、これまでも様々なアーティストが曲にしてきた「死を想え」というテーマ。
「いつかは死んでしまうなら 大した事など無いから
あらゆる不安や畏怖の意味の無さに 笑ってみせるがいい 想えいつかの死」
という歌詞はどこか前向きな諦念さを感じさせるが、それこそがこのバンドがずっと歌ってきた死生観の結晶であり、この曲はこれからもこのバンドにとって大事な曲になっていくはずだ。
1.無色の声帯
2.青写真
3.blue blue blue
4.革命
5.Mement Mori
15:30〜 SAKANAMON [duo MUSIC EXCHANGE]
こちらはO-EASTの下にあるduo MUSIC EXCHANGEだが、この時間帯にこの会場に出演するSAKANAMONもまたZeppでワンマンをやった経験があり、ロッキンやCDJという大型フェスでもおなじみのバンドである。
そう考えるとこの会場はかなり狭いと言ってもいいし、実際にSEのSUPER BUTTER DOG「コミュニケーション・ブレイクダンス」が流れてメンバーが登場する時には超満員となっていた。
登場した時に明らかに違和感を感じていたのはベースの森野光晴が金髪になっていたからだが、その森野がいきなりステージ前まで出てきて客席の様子を覗きながら演奏する「ミュージックプランクトン」からスタート。
「やいやいやい!」「わぁわぁわぁ!」
というコール&レスポンスが楽しい「幼気な少女」と同期のデジタルサウンドこそ取り入れてはいるものの、スタイルとしてはソリッドなスリーピースギターロックバンドというものだろう。
そんなオーソドックスなイメージを覆すのは、天才にして変態な藤森元生(ボーカル&ギター)が
「世の中にはたくさんの良い歌がありますが、ただ鬼が怖いと歌うだけの歌をやります!」
という「鬼」は本当に
「鬼怖い 鬼怖い」
と歌うだけの曲なのだが、それがなぜか
「鰐怖い 鰐怖い」「でも意外と美味い 鰐美味い」
に変化し、さらには
「蟹は滅茶苦茶美味い」「蟹美味い」
に変化していって爆笑を巻き起こす。さすが藤森という予測不可能な展開をみせる歌詞だが、そのせいで蟹が食べたくなるし空腹さを刺激されてしまう。
その「鬼」は今年リリースされた曲であるが、森野がウッドベース、藤森がアコギというフェスやイベントの短い時間でこの編成になるのか、という古文的な文法によるラブソング「矢文」も今年リリースの新しい曲。その編成を含めてSAKANAMONにはまだまだ音楽で自分たちがやりたいことややってみたいことがたくさんあるんだろうな、と思うしそれはこれまでに重ねてきた経験や技術があるからこそできることだとも思う。(SAKANAMONは元から非常に演奏が上手いバンドだったが)
観客のテンションをさらに上げるために、藤森がたどたどしい感じで木村浩大(ドラム)の決め台詞の「アゲ!」を叫ぶも、やはりここは本家にやってもらった方が気合が入るということで木村による全力の「アゲ!」で上がったテンションをさらに上げるのは藤森のビール愛が炸裂するキラーチューン「マジックアワー」。電子音が重なる疾走感のあるギターロックという点ではSAKANAMONの代名詞的な曲と言っていいが、最後には藤森はおなじみの
「愛してるよ…渋谷ー!」
とビールを地名に変えて大歓声を浴びる。
そしてラストは
「つまんねーよ!つまんねーよ!」
の大合唱が響く「TSUMANNE」。ライブの最後に演奏するのがおなじみの曲ではあるが、ライブの締めにそう叫ぶ曲を持ってくるのが実にSAKANAMONらしい捻くれっぷりだし、そう叫ぶのもライブ自体もやっぱり楽しい。最後のアウトロの藤森の暴れっぷりも含めて。
前はツアーや自主企画ライブにも行ったりしていたし、フェスやイベントなどでもよくライブを見ていた。バンドに対する熱量が下がったわけではないけれど、少し最近はライブを見るのがご無沙汰だった。
しかしこうして久しぶりに見たらまだまだ聴きたい曲がある。新作の曲も、前からある曲も。見た目は全然そんな感じじゃないが、ライブを見るとそう思えるくらいにやっぱりこのバンドはライブバンドだ。
1.ミュージックプランクトン
2.幼気な少女
3.鬼
4.矢文
5.マジックアワー
6.TSUMANNE
16:00〜 SIX LOUNGE [O-EAST]
今やこうしたサーキットイベントではメインステージに出るのが当たり前、しかも規制がかかるくらいの超満員である、若きロックンロールの旗手、SIX LOUNGE。このイベントでも当然のようにメインのO-EASTに登場で超満員である。
いつものように革ジャンを着たヤマグチユウモリが
「TOKYO CALLING、ローリング!」
とロックンロールバンドとして転がり続けていく覚悟を口にして「ふたりでこのまま」からスタート。
前半から中盤まではいわゆる代表曲というか定番曲というか、荒々しいロックンロールを叩きつけまくっていくのだが、ワンマンとかではないこうしたフェスやイベントで見るたびに、この一切流行りでもないスタイルのバンドがこのステージを満員にしていて、その満員の観客がみんな曲を知っているということにびっくりしてしまう。我々の世代がa flood of circleやTHE BAWDIESから受けたロックンロールの衝撃を、今の20歳くらいのライブが好きな人たちはこのバンドから受けているのかもしれない。
「このイベントに初出演した時はTAKE OFF 7だった。あの時も別にデカいところを目指してたわけじゃないけど、こうしてデカいステージに出れるようになってもそれは変わらないです」
とユウモリは言っていたし、確かにメンバーからはそうしたデカいステージへ行きたいという野心は全く感じないけれど、このバンドが今置かれている状況は否が応でもさらにデカいステージに立つであろうことを予感させる。ユウモリは何回言うんだ、っていうくらい何度も
「TOKYO CALLING、ローリング!」
と叫んでいたが。
そこからはタイトル通りにスイートなラブソング「SWEET LITTLE SISTER」で少しモードを変えたかと思いきや、ファストなショートチューン「ピアシング」で再びロックンロールに転じ、最後に演奏されたのはリリースされたばかりの最新シングル曲「幻影列車」。そのメロディの美しさを存分に感じられる曲はバンドのさらなる可能性を示しているし、それはこの2日後に見たTHE BAWDIESとの対バンでより一層強く感じることになる。
1.ふたりでこのまま
2.僕を撃て
3.DO DO IN THE BOOM BOOM
4.トラッシュ
5.SWEET LITTLE SISTER
6.ピアシング
7.幻影列車
16:30〜 ウソツキ [duo MUSIC EXCHANGE]
UKFCなどに出演して強者ライブバンドたちと何度となく共演いる、ウソツキ。今年になってからギターの吉田健二が脱退したために、3人での新体制になってからライブを見るのは初めてである。
時には麦わら帽子を被ったりと、ライブによってかなり見た目のイメージが変わる竹田昌和(ボーカル&ギター)はメガネをかけて白シャツに蝶ネクタイと、どこか幼く見えるのは名探偵コナンみたいな出で立ちだからだろうか。
サポートギターを加えた4人という編成は変わらず、ポップな歌モノであれど捻くれまくったこのバンドらしいラブソング「一生分のラブレター」でスタートすると、
「今年の夏は外に出ないでひたすらゲームばっかりしていた」
と竹田がその自堕落的な私生活を明かしてから演奏された「夏の亡霊」はレイドバックした空気を感じる、夏の夜に外を歩いているような情景が想起できるような曲。まだ夏が終わったのか微妙なこの時期に聴くにはピッタリだ。
新しい1日が始まった瞬間のことを日常の些細な男女の心の機微を含めて物語のように描く「0時2分」、
「そうだよ僕は嘘つきだよ
それでも君といたいんだよ」
とウソツキという名前を冠したこのバンドだからこそそのタイトルにマイナスなイメージを全く持たない「偽善者」と近年リリースの、新たにこのバンドの代表曲になっていくであろう曲を続けていくのだが、本当に聴くたびにどうやったらこんな歌詞が書けるのだろうか、と思う。ポップな歌モノというサウンド自体はものすごくわかりやすいバンドだけれど、少し踏み込んで見るとこの音楽は絶対にこの人たちでないと作れないな、ということがよくわかる。
「僕はコーラが好きでいつもコンビニに行って買ってるんですけど、いちいち1本ずつ買うのがめんどくさくて、箱で買ったんですね。そしたらそれはそれでなんか違うな、っていうか…」
というオチも特にないような話からつながるように演奏されたのはそうしたオチもないような話の経験をした時のような心情を描いた「名もなき感情」。巨漢ドラマー林山拓斗と指弾きでリズムに細かい変化をつけるベーシスト藤井浩太によるリズム隊の演奏もバンドのサウンドゆえに地味に見えるけれど、しっかりと歌を支えている。
「世界を救えるような メロディもいらない
君にだけ届いてくれるような歌が歌いたい
ラブソングは無力だ」
というただ1人だけに向けたような、普通の人なら一言で言ってしまいそうなことを自身の持つ語彙をフル動員して1曲の歌詞にした「ラブソングは無力だ」で終了。
かつてライブ定番だった「新木場発、銀河鉄道」や「旗揚げ運動」という曲はやらなかったが、それとはまた違う、今の私小説的な世界観を強く打ち出したモードの新しい曲たちがこれから定番になっていきそうな気配を感じた。
ウソツキは歌詞は難解というか決してわかりやすくはないけれど、サウンド的には老若男女どんな人でも聴けるくらいにポップな音楽のバンドである。だからこそもっと多くの人に聞かれたり、こうしたイベントでメインステージに立っていたとしてもおかしくはないとも思うのだけれど、かつて同じように感じていたメレンゲやOverTheDogsも大きくブレイクはしなかった。それが本当に悔しかっただけに、せめてもう少しでいいから多くの人の耳に届くようなキッカケが欲しい。
1.一生分のラブレター
2.夏の亡霊
3.0時2分
4.偽善者
5.名もなき感情
6.ラブソングは無力だ
17:10〜 爆弾ジョニー [TAKE OFF 7]
QUATTROのビルのすぐ隣のビルの地下にあるTAKE OFF 7は始まる前から入場規制レベルの超満員。それもそのはず、このキャパには見合わないバンドである爆弾ジョニーが登場するからである。
開演前のサウンドチェックから開始ギリギリまで好き放題に曲を演奏しまくるのだが、最近は忘れらんねえよのサポートメンバーも務めるタイチ(ドラム)とロマンチック☆安田(キーボード)にりょーめー(ボーカル)が
「忘れらんねえよのサポートばっかりやってて爆弾ジョニーの曲忘れてない?(笑)」
といじりながら、本番では「なぁ〜んにも」からスタートしていきなり大合唱を生み出す。超満員ということもあるが、この会場にいた人たちはみんなこのバンドの曲を歌える人ばかりのようである。
「唯一人」ではりょーめーが客席にダイブしながらも、
「全然一人じゃなかった!」
と曲途中で叫ぶ。一時期はりょーめーの精神面の不調によって活動休止をしたバンドが今も変わらぬメンバーで活動を続けていて、この会場に入りきれないくらいにたくさんの人に支えられている。りょーめーのその言葉は決して大げさなものではない。
安田のキーボードが切ない空気を醸し出す、下ネタギリギリというかギリギリのラインを超えているような「キミハキミドリ」ではこの曲の中盤に登場する呪文部分でタイチがハリーポッターの登場人物を交えたセリフで爆笑を巻き起こすのだが、元ネタを知らないためによくわからなかった。みんなが知っているということは自分が世間からズレているのかもしれないが。
「イタイケBOY イケナイGIRL」ではキョウスケが最も目立つべきギターソロ部分でりょーめーが
「俺はギターソロより目立ちたいんだ!」
と言って客席にダイブしまくるという超接近戦と言ってもいいこのキャパならではのパフォーマンスを見せるが、続く「終わりなき午後の冒険者」ではキョウスケがいきなり客席から見えなくなる。どうやらギターのストラップを留める場所が破損したらしく、その部分をかばうようにしてステージ上に座りながら演奏していたのだが、結局直ることはなくガムテープで補修する。
「そんなガムテープなんか、イミナシ!」
とそんなアクシデントすらも曲につなげるための要素として使ってしまうりょーめーは実に見事だが、それ以上にストラップで肩にギターをかけられなくなってしまったキョウスケが床にギターを置いて寝転がるようにして弾いている(当然客席からはその姿はほとんど見えない)のを見た安田が自身が座ってキーボードを弾くための椅子をキョウスケに差し出し、キョウスケはそれに座ることによって観客の目の前でギターを弾けるようになる。りょーめーの
「全然一人じゃなかった!」
という発言はこの瞬間にも素直に客席に響き渡る。個性的なメンバーたちだけど、だからこそそこには絶妙なバランス感覚があるのかもしれない。
そしてラストは観客の大合唱を煽る「ユメノウタ」。ここまではわかりやすすぎるくらいの代表曲=初期の曲が続いてきたが、そもそもはライブでは新曲を連発しまくるようなバンドであり、その意識は確かに感じられた。
りょーめーがライブ後に腰にコルセットみたいなものを巻いているのを見たのは少し心配だけれど、このバンドのロックの神が力を与えているかのようなライブの素晴らしさはやっぱり唯一無二だし、観客が大合唱している姿を見ると感動してしまう。安田は髭を生やしていることによって若干誰なのかわからなくなっていたけど。
1.なぁ〜んにも
2.唯一人
3.キミハキミドリ
4.いたいけBOY イケナイGIRL
5.終わりなき午後の冒険者
6.イミナシ!
7.ユメノウタ
19:00〜 KEYTALK [O-EAST]
本来ならばこの前の時間にO-WESTでclimbgrowを見ようと思っていたのだが、O-EASTの前には入場を待つ長蛇の列ができており、これは並んでいないとマズイな、と思ってその列に参加することに。
そんなにも長い列ができていたのはO-EASTにはこの前の時間が打首獄門同好会、この時間がKEYTALKというおよそEASTのキャパでも狭すぎるレベルのバンドが並んでいるからである。
そのKEYTALKはいつものようにサウンドチェックでメンバーが登場すると、首藤義勝(ベース&ボーカル)が米米CLUBの「浪漫飛行」をなんのチェックなのかは全くわからないながらも歌い始め、それに続くように巨匠(ボーカル&ギター)は忍たま乱太郎のオープニングテーマとしておなじみの光GENJI「勇気100%」を歌い始め、八木優樹(ドラム)と小野武正(ギター)もそのメロディに合わせるように音を乗せていく。
その後のサウンドチェックはいつものように本番さながらの演奏で「今日はこれ本編ではやらないのか」と思うような曲を続け、本番では最近おなじみの(千葉LOOKでのTOTALFATとの対バンは違っていたが)、メンバーのイメージカラーの服を着て登場。
するといきなり初期の「blue moon light」でスタートして観客に驚きを与える。先月のヤバイTシャツ屋さんとのリキッドルームでの対バンの際にも演奏されていたとはいえ、こうしたフェスやイベントで演奏されるような曲ではないからだ。全英語歌詞なのも当時のメンバーの趣向性が感じられて今になると新鮮だ。
レーベル移籍第1弾シングルとしてリリースされた「BUBBLE-GUM MAGIC」は大人のKEYTALKを感じさせる曲であるが、武正の弾きまくりなギターは大人のという形容を無効化するくらいにロックだし、それは「旋律の迷宮」においてもそうだが、いつにも増して武正は跳ねまくり、動きまくりながらギターを弾いている。その理由は
「下痢でお腹が痛い」
という意味がよくわからないものであったが。
数々のシングル曲や人気曲を押しのけて、ここでも演奏された「桜花爛漫」からは「コースター」「パラレル」というメジャーデビュー期の曲を連発。まだthe band apartに強い影響を受けていたということが武正のギターサウンドから伺える。
しかしながらこの日はやたらとメンバーのテンションが高いように見えた。何度も響いていたスタッフによる
「まだまだたくさんのお客様がいらっしゃいますので、前に詰めてください!」
というアナウンス(気持ちはわかるけどあんまりMC中には聞きたくない)を巨匠がステージ上で繰り返したかと思えば、義勝のスラップベースが目を惹く「MATSURI BAYASHI」、そして巨匠も義勝も時折叫ぶようにして歌う、客席総ダンスフロア化した「MONSTER DANCE」と最後はやはりアンセム2連発となったのだが、この日のKEYTALKのライブは何かいつもよりもノっていた。それは武正の腹痛によるテンションの高さなのかもしれないが、そうだとすると毎回腹痛になって欲しくすらなってしまう。
正直、KEYTALKがこのイベントに出るメリットはほとんどない。基本的にこの規模のサーキットイベントはまだまだこれからという立ち位置の若手バンドたちのアピールの場であり、このイベントに参加している人のほとんどはKEYTALKがどういうバンドなのかというのを知っているからである。(JAPAN’S NEXTがサーキットイベントなのもそういう理由である)
だから幕張メッセでワンマンをやっているバンドがサーキットイベントに出るというのは異例中の異例だ。でもKEYTALKは出る。きっとどこのどんなライブであろうと、KEYTALKはオファーさえ来れば出るだろう。今までもそうやってひたすらにライブをやって生きてきたバンドだから。この2ヶ月で6〜7回このバンドのライブを見たが、見るたびにそう感じるようになってきている。
リハ.勇気100%
リハ.Love me
リハ.YURAMEKI SUMMER
リハ.太陽系リフレイン
1.blue moon light
2.BUBBLE-GUM MAGIC
3.旋律の迷宮
4.桜花爛漫
5.コースター
6.パラレル
7.MATSURI BAYASHI
8.MONSTER DANCE
20:10〜 夜の本気ダンス [O-EAST]
KEYTALKほどにワンマンの規模は大きくないが、こちらもありとあらゆるライブに出まくっている、夜の本気ダンス。同じように渋谷で開催されているJAPAN’S NEXTも毎回出演し、毎回このEASTのステージに立っているだけに、近年のEASTのイメージはこのバンドになりつつある。
おなじみ「ロシアのビッグマフ」のSEでメンバーが登場すると、
「TOKYO CALLINGー!踊る準備はできてるかー!」
と鈴鹿秋斗(ドラム)が叫び、米田貴紀(ボーカル&ギター)がギターを持たずにマイクスタンドに向かって両手を上下させながら歌う「Ain’t no magic」からスタートし、個人的にこのバンドの中で最大のキラーチューンだなと一聴しただけで確信した疾走感溢れるギターロック・ダンスチューン「Sweet Revolution」と、今年リリースのアルバム「Fetish」の曲を連発するという最新モードで幕を開ける。
するとそのまま、曲間をつなげるようなアレンジの「本気ダンスタイム」に突入。踊りまくるというよりも体を揺らすような「BIAS」から始まると、米田がネクタイを解いて自身も踊りながら歌う「fuckin’ so tired」、鈴鹿の軽快なリズムとスネアの乾いた音の連打が心地よい「Take it back」と新旧の曲を自在につないでいく。その曲と曲の間のアレンジはどの曲とどの曲をつなぐかによって変わっていく。そういう意味ではその日にしか体験できないものだ。
「MCは夜の本気トークっていうことでね、KEYTALKで踊りすぎて気ぃ遠くなってませんか?今日は忘れられない夜に夜にしましょうね!これは忘れらんねえよと対バンしたバンドがみんな言うやつやけど(笑)」
という前後にこのステージに出演するバンドの名前を交えた鈴鹿のMCは実に見事であるが、その様子を袖で見ていたKEYTALKの武正がステージに現れ、鈴鹿のマイクでおなじみの「ぺーい」のコール&レスポンスをするも、鈴鹿がなまじコール&レスポンスに合わせてリズムを刻み始めてしまっただけに、2人して
「この流れのやめ方がわからない」
という事態になってしまう。それくらいに唐突なコラボだったのだ。
武正がステージから去ると「WHERE?」でさらに踊りまくらせながらも、「Fetish」収録の「Forever Young」では踊るという部分だけでなくこのバンドの持つメロディの良さを味あわせてくれる。「Sweet Revolution」もそうだが、「Fetish」はそうしたこのバンドの魅力を実感させてくれるような名盤だ。
そして最後に演奏されたのはドラマのタイアップによってこのバンドの存在を広く世に知らしめた「TAKE MY HAND」。でもこの曲も毎回フェスとかでやるというわけではない。それくらいにその後にリリースしてきた曲のクオリティが高いということ。だからこそこれからがもっと楽しみになる。
リハ.LOVE CONNECTION
1.Ain’t no magic
2.Sweet Revolution
3.BIAS
4.fuckin’ so tired
5.Take it back
6.WHERE?
7.Forever Young
8.TAKE MY HAND
21:20〜 忘れらんねえよ [O-EAST]
各会場ともに豪華な面々が最後を飾るトリ。解散を発表しているアカシックや大型フェスにも出演している、2、PELLICAN FUNCLUB、世代的には活動を続けているのが嬉しいSTANCE PUNKSなど。
そんな中でメインステージであるEASTのトリを務めるのは、忘れらんねえよ。3日間で総勢400組近いアーティストが出演したイベントの1番最後に音を鳴らすバンドとなった。
オープニングは意外なくらいに静か、というか普通だった。SEもなしに柴田隆浩を中心に、この日2ステージ目となるロマンチック☆安田とタイチの爆弾ジョニーの2人と、去年はバンドで出演していたヒトリエのイガラシ(ベース)が登場。
いきなりの「この高鳴りをなんと呼ぶ」という完全にマジなモードで始まると、こうしたフェスやイベントでやるのは実に久しぶりな「夜間飛行」と忘れらんねえよの真っ当な名曲モードが続く。
かと思えば自己紹介では
「菅田将暉と米津玄師とあいみょんと山崎賢人によるスペシャルユニットです!」
とうそぶいてみせる柴田。ちなみにサウンドチェックでは菅田将暉の「まちがいさがし」を歌っていた。歌詞はまちがいだらけだったけれど。
柴田と安田のギターが爆音で炸裂する「俺よ届け」からは「だっせー恋ばっかしやがって」と新しい忘れらんねえよの姿を見せていく。どれも柴田ならではの目線でしか書けないような、忘れらんねえよらしい曲だ。
ヤケクソさすら感じるダンスナンバー「踊れ引きこもり」では間奏の西野カナみたいな女性ボーカルパートでLEGO BIG MORLのボーカルのカナタが登場。そのままそのハイトーンな歌声で歌うという実に贅沢なというかもったいないというかよくわからない使い方。最後には柴田がカナタとキスをするという場面も。
以前はLEGO BIG MORLのタナカヒロキが忘れらんねえよのサポートギターとして参加していたし、今でも柴田とタナカはユニットを組んで活動している。イケメンに対するコンプレックスを持つ柴田にとってはカナタもタナカもこんなに仲良くなるとは思っていなかった。でも音楽を愛する、ともに泥水をすすりながらも進み続けるバンドマン同士。いつのまにかそこには揺るぎない友情が芽生えていた。
だからこそドラムのアサカワヒロが脱退することが発表されたLEGO BIG MORLにエールを送っていたが、それとともにこのTOKYO CALLINGの主催者のスガワラ氏について回想。まだデビュー前にスガワラ氏に音源を送ったことがあり、
「電話がかかってきたんだよ。音源送ったらすぐに。
「何お前柴田っていうの?持ち曲何曲くらいあるの?ライブはどんくらいやってるの?じゃあな!」
って言われて切られて(笑)
めちゃくちゃ怖いなこの人!って思ったんだけど、それからスガワラさんはずっとライブを観に来てくれている。しかもその時のことを今でも覚えてくれている」
と出会った時のことを語るのだが、スガワラが柴田のことを覚えているのと同様に、柴田もずっとスガワラと出会った時のことを覚えている。誰も認めてくれなかった時代に自分たちを認めてくれた存在。その嬉しさは忘れようとしても忘れらんねえものなのだろう。
そして
「残された俺たちはTOKYOで飲みました」
とこのイベントに合わせた歌詞に変えて歌われた「Cから始まるABC」から、ラストは柴田が観客に支えられながらバーカウンターにビールを買いに行くというパフォーマンスもある「ばかばっか」。ビールをちょこちょここぼしながらも、観客に支えられながら立ってビールを一気飲みする柴田の姿はどこか神々しさすらあった。
アンコールでは柴田が
「TOKYO CALLING、3日間お疲れ様でしたー!」
と再び主催者と参加者全員への賛辞を口にしながら、
「だってみんな300組も出るフェスのタイムテーブル作ったことある!?めちゃくちゃ大変だよ!?」
と、確かにそう言われるとこのフェスを作るのがどれだけ大変かがわかる言葉を述べた。そして最後は「忘れらんねえよ」の大合唱かと思っていたら(リハでやって本番でもやるパターンもよくある)、この3日間の最後に演奏されたのは「別れの歌」。もともとはドラマーの酒田が脱退するときに作った曲だったが、それが今はありとあらゆる別れの場面へ捧げる曲になっている。それはもちろんこれで今年の3日間が終わるこのフェスへの別れでもあった。
演奏が終わるとこのイベントのトリのアーティスト恒例の「TOKYO CALLING」という看板を持っての写真撮影。下手の袖からは夜の本気ダンスのメンバーも登場する中、上手の袖でずっとライブを見ていた打首獄門同好会の大澤会長も看板を持ってメンバーに近づくのだが、夜ダンの方ばかり見ていたメンバーは全然大澤の存在に気づかず、観客に
「柴田、後ろ!後ろ!」
と言われてようやく気づいていた。前日には氣志團万博に出演して多額の募金を集めて、次の日にはこのイベントに出演して自分のライブが終わった後も仲間のライブをずっと見ている。普段のツイッターの発言からも感じられることだが、大澤会長は本当に良い人なんだなぁと見ていて思う。そして最後にはその大澤会長、さらには主催者のスガワラ氏も含めて写真を撮り、今年のTOKYO CALLINGは大団円を迎えた。
忘れらんねえよはここに来て様々なフェスやイベントでかつてよりはるかに重要な位置を任されるようになってきている。それは柴田が一人きりになっても忘れらんねえよという名前を守り続けてきたからこそだ。そしてバンドとして続けるために力を貸してくれる仲間たちがいる。いろんな転機がありまくったバンドだけれど、CDJのGALAXY STAGEの大トリやロッキンのLAKE STAGEのトリ、そしてこの日の景色を見ていると、それら全ては間違っていなかったんだなと思える。
リハ.バンドやろうぜ
リハ.忘れらんねえよ
1.この高鳴りをなんと呼ぶ
2.夜間飛行
3.俺よ届け
4.だっせー恋ばっかしやがって
5.あの娘に俺が分かってたまるか
6.踊れひきこもり w/ カナタ(LEGO BIG MORL)
7.Cから始まるABC
8.ばかばっか
encore
9.別れの歌
いつもライブを見ているバンドを見るのはもちろん楽しい。でもこういうイベントに来ると、久しぶりにライブを見れるバンドもいる。この日で言うと東京カランコロンやSAKANAMONやウソツキなど。彼らがずっと続けている姿を見たり、こうして「やっぱり良いバンドだよな」って思わせてくれるライブを観ると、またワンマンなどにも足を運びたくなる。
そしてこういうイベントだからこそ初めましてのバンドにも出会える。そうした経験は刺激に満ちているし、やっぱりライブを見るのが好きだなと思える。何よりもまだまだライブを見たことがないバンドのライブをもっと見たいと思う。時期的に様々なフェスと被ってしまっているイベントだけれど、また来年も来ることができて、そう思うことができたら。
文 ソノダマン