忘れらんねえよにとっては本当に念願の千葉LOOKでのライブであることと思う。
コロナ禍になった2020年からこの会場で予定されていたライブはことごとく延期→中止を繰り返してきたからだ。それはそもそものキャパが少なすぎる会場の動員数として予定していたものと定められた動員数とでなかなか折り合いがつかなかったのだろうとも思うけれど、そんな千葉LOOKに忘れらんねえよがついにやってくることになった。
そもそもスペシャ主催のスペシャ列伝ツアーから全く声がかからないことから、それなら自分たちで対バンツアーをやろうと思って企画した「ツレ伝」の歴史もずいぶん長いものになり、初回にツレとして出演したKEYTALKなど、今になるとよく出ていたな…と思うようなバンドも多数輩出してきたという意味ではスペシャ列伝に通じるところもある…のかもしれない。
・I’s
この日のツレはI’s。昨年の新木場STUDIO COASTでのBAYCAMPでも忘れらんねえよの前に出演していた、あのちゃんがボーカルを務めるバンドである。その際に柴田は「話しかけられない」という可愛い女の子コンプレックスを発揮していたが、果たしてどうやってこのツアーへの出演に至ったのかという意味でも気になる存在である。
千葉LOOKの名物店長であるサイトウ氏の諸注意を含めた前説から、キャップを被った畝鋏怜汰(ドラム)、サングラスをかけたキッチン前田(ベース)、髪色が金から黒に戻ったナカヤマ(ギター)が登場してそれぞれ楽器を手にして音を鳴らし始めると、ジャージ姿で黒髪ボブカットのあのちゃん(ボーカル&ギター)が最後にステージに現れて、ジャンプを繰り返しながら叫びまくるように歌い始める。サウンドはツービートで轟音、完全にパンクバンドのそれである。
あのちゃんがギターを持つと、対照的にナカヤマはキーボードを弾くのだが、そのキーボードのサウンドがメロディをよりキャッチーに引き立てている。元々、愛しておくれというバンドのボーカルであるナカヤマとはルーツが同じだということはわかっていたが、轟音パンクサウンドにキャッチーなメロディというスタイルは自分が最も好きなタイプであり、「やっぱりこれだよなぁ」と思うものである、ということをこのバンドの音楽とライブは改めて実感させてくれる。それは今まさに自身のバンドでもそうした音楽をやっているナカヤマの手腕によるところも大きいのだろうけれど。
序盤はひたすらに曲を連発していくだけに、これはそうしたライブのスタイルなのだろうか?と思ってもいたのだが、あのちゃんが歌唱時と変わることのない少し舌足らずかつ甘い声で
「前にI’sがツアーをやった時に大阪に忘れらんねえよが出てくれて。今度はこうやってツレ伝に呼んでくれてありがとうございます」
と挨拶をすると、ナカヤマは
「このツアーが始まる前にも男子メンバー3人でツアー始まる前の対談みたいなやつに出してもらって。そこで「I’sの男子メンバーだからGuys」って言ったら柴田さんに「キモっ!」て言われて(笑)俺、柴田さんの「キモっ!」が好きなんですよね。すぐに飛んでくる感じが(笑)」
と、自身らが柴田と同じ匂い、同じタイプの人間であることを口にすると、あのちゃんは
「ぼくたちも忘れらんねえよも皆さんもキモい同士、キモくてナンボってことで」
と、やはり同類同種であることを口にするのだが、いや、そんなルックスでそう言われても絶対同じじゃないんですけど、とツッコミたくなってしまう。
そのあのちゃんのボーカルはおそらくは人によって好き嫌いが分かれそうなタイプであると思うのだが、8〜9割の曲で弾いているギターは普通に上手い。よくある、ほとんど弾けないのにとりあえずギター持たしとくみたいな感じでは全くない。それはギターを弾くこと、こうした激しいパンクサウンドであることに自分自身で意味を感じていて、この音楽を鳴らしているということがよくわかる。本当にやりたいことをやるためにこうしてライブハウスのステージにバンドとしてギターを持って立っているのもよくわかる。
大阪で対バンして以来に柴田と急速に仲良くなったというナカヤマは大晦日にも柴田に誘われて、最近柴田がハマっているという朝倉未来のRIZINの試合を観にさいたまスーパーアリーナに行ったという仲良しエピソードを話すのだが、それまではナカヤマは全く朝倉未来に興味がなかったというあたりに、柴田が一緒に格闘技を観に行く友達がいないということがわかる。ちなみにナカヤマはクリスマスも柴田と一緒に飲んでいたらしいが、
「その日に俺でいいんですか!?(笑)」
と驚いたと言い、あのちゃんは意外にも大晦日には紅白歌合戦ではなくてRIZINの朝倉未来の試合を観ていたというので、その辺りも柴田に通じるものがあるのかもしれないが、
「今日の対バンも朝倉未来と斎藤裕の試合のような…」
という例えはナカヤマと前田に全力で否定されていた。
BAYCAMPで観た時よりも持ち時間が長いだけに、その時はやっていなかった曲をやっているのもわかるが、後半には明らかに「この曲はBAYCAMPでもやってたな」という曲が何曲もあった。それはそれくらいにメロディがキャッチーであるが故に自分の脳内に残っていたということでもあるが、そのBAYCAMPの時の「あのちゃんがボーカルのバンド」というイメージから、明らかに「この4人のバンド」というイメージに変わっている。それはこの4人それぞれがこうしたパンクなサウンドとキャッチーなメロディのバンドをやりたいという意思の元にこうやって集まっているのがわかるからこそであり、最後に前田はベースを抱えて高くジャンプした姿がまさにそれを示していた。
そしてそこに、このライブに「実はこれは結構凄いことになるんじゃないだろうか?」という可能性を感じた。もしかしたら数年後には「I’s」という文字を見た時には少年ジャンプで連載していた桂正和の漫画ではなくて、多くの人がこのバンドのことを思い浮かべているようになってるんじゃないかと思うくらいに。
・忘れらんねえよ
そして観客やスタッフ含めて、本当にここにいた誰もが待ち望んでいた、忘れらんねえよの千葉LOOKでのライブである。
忘れらんねえよのライブと言えば柴田隆浩(ボーカル&ギター)がその時にハマっていたり、なりたいと思っているアーティストの曲をSEとして流すので、これまでは[Alexandros]や菅田将暉の曲だったりしたのだが、この日は誰もがよくわからない曲で柴田がシャドーボクシングをしながらステージに登場。I’sがMCで言っていたように、これは朝倉未来の登場曲であるらしいが、今までの忘れらんねえよのMCでこんなに無反応な客席があっただろうかと思うくらいの沈黙っぷりであった。
見るたびに爽やかなイケメン風にキャラが変化してきているドラムのタイチ(爆弾ジョニー)、いつもと何ら変わることのないベースのイガラシ(ヒトリエ)、髭が立派な感じで生えているのはともかく、何故かスーツ姿で全く突っ込まれないギターのロマンチック☆安田(爆弾ジョニー)というおなじみのサポートメンバーたちもステージに現れると、
「ロッキン民になる千葉の皆さん、朝倉未来です!」
とホットな話題とともに嘘でしかない自己紹介を行い、柴田の日常というか暮らしの風景をそのまま感じさせるとともにどこか切なさをも感じる「歌詞書けなすぎて、朝」から始まり、最後の
「好きなんだ 好きなんだ 君のこと」
という歌詞を
「好きなんだ 好きなんだ お前らのこと」
と変えて歌って客席からは大きな拍手が起こる。この時点で柴田の千葉への募りまくった思いが伝わってくるのだが、早くもここで公開されたばかりの最新曲「夢に出てくんな」が演奏される。タイトルから察せられるように、柴田の女々しさが炸裂している曲なのだが、そうした曲のサウンドが完全にストレートなパンクになっているというあたりに、今の忘れらんねえよがこの閉塞した世の中の状況をそうしたサウンドで切り開いていこうとしている意識が感じられる。
かつて柴田が飲みの席で
「この曲を銀杏BOYZがリリースしていたら100万枚売れていた」
と言っていたのを聴いた時は「歌詞的にどうだろうな…」と思っていたのだが、こうして久しぶりに「セイエス」のフレーズで一斉にジャンプする観客の姿を見ていると、案外それは間違いではなかったのだろうかと思えてくる「僕らチェンジザワールド」は確かにかなり聴き手を選んでしまう歌詞ではあると思われるが、それでも柴田のメロディセンスが炸裂している曲でもあると思える。
そんな柴田はようやくこの千葉LOOKに来ることができたことを感謝しつつも、
「もうコロナとか飽きたし、「ライブを守るために〜」みたいなMCするのも飽きた!退屈でしかない!」
と言っていたが、昨年は柴田自身がそうしたMCをしていただけに、そういうことを考えていないのではなくて、今のモードとしてそういう心境だということであるのだが、朝倉未来を知っているかを観客に聞くと、全くと言っていいくらいに誰も手を挙げなかったことによって、何を喋っていいかわからなくなるという事態に陥ってしまうのだが、そんな逆境というか逆風の中でさえもこれまた久々である「僕らパンクロックで生きていくんだ」というサウンド的にはパンクロックではない曲で無理矢理そんな状況の中に挑んでいくバンド自身にパンク精神を宿らせる。この曲の歌詞に今なおリアリティを感じるのは、忘れらんねえよが今ならパンクバンドであり続ける曲を生み出しているからである。
すると柴田は
「今日、I’sに出てもらったけど、I’sのツアーで大阪に出た時にイガラシが
「俺、このバンドめちゃ好きです」
ってライブ見て言ってて。そりゃあそうだよな、あのさん…俺は目の前にいる時はちゃん付けで呼んでるけど、いない時はさん付けで呼んでる(笑)
あのさんも他の3人も、言いたいことややりたいことがあるからバンドやってんだもん。そりゃあそう言うよ」
とI’sについて話すと、先日電車に乗っていた時の
「電車空いていたから優先席に座ってたんですよ。40歳にもなると最近すぐ疲れるから(笑)そしたら70〜80歳くらいのおじいちゃんが電車に乗ってきて、目の前に立って。一駅はやり過ごしたんだけど、さすがにそれ以上は、と思って席を譲ろうとしたら、そのおじいちゃんが「大丈夫だよ、すぐ降りるから」って言ったんだけど、全然すぐ降りなくて(笑)
結局、俺と同じ駅で降りたんだけど、その時にそのおじいちゃんが俺に「ありがとうね!」って言ったのね。その時にもう「老害」とか言うのやめようと思った。年齢も性別も、その人に合うものであればなんだっていいじゃんっていうか、何歳になってもカッコいい人っているんだなって」
というエピソードの後に「これだから最近の若者は最高なんだ」を歌おうとするのだが、入りの歌詞から完全に飛んでおり、せっかくカッコいい流れで入ろうとしたのに台無しになるというあたりがカッコよく決まりきらない忘れらんねえよらしさを示していると言える。
安田に歌い出しのフレーズを教えてもらってから歌い直すのだが、直前のエピソードと相反しているような感じもするけれど実際はそうではないというのは、40代になった柴田がそう歌うことによって、若者だけが最高なのではなくて、生きとし生ける全ての年齢の人が最高であるということを示すものになっているからである。「最近の若い奴らの考えてることなんてわかんねぇよ」とは決して言わない。それは音楽の世界でこれからも生きていく上でも本当に大切なことだと思うし、このテーマでこうしたメロディの良さが際立つ曲を作れているということが、
「まとめると最近の我々は最強なんだ
ねえもしも愛してくれるなら
どこまでもゆけるぜ
いつまでも踊るぜ
死ぬまで歌うぜ」
というフレーズにこれ以上ないくらいの説得力を持たせている。これだから最近の忘れらんねえよは最強なんだ。
さらに爆裂サウンドに自身の情けなさを逆噴射させてみせる「俺よ届け」と、こうしてライブという場で改めて目の前で歌っている、鳴らされているのを聴いていると、忘れらんねえよは本当に良い曲ばかりだなと思う。そしてストレートであるようでやはり捻くれているというか、誰でも投げれそうなボールに見えてオリジナル変化球を投げているというめちゃくちゃ難しいことを曲で成し遂げているということにも気付く。
「わけなんて
なんにもないのに寂しくなって もういいよ 布団にもぐった
なんにもない夜 なんにもない部屋 どうしようもない俺よ届け」
というCメロ部分のメロディの美しさなんて、劇中歌(「何者」劇中歌)なんかもったいない、映画のエンディング曲としてフルに流れていて欲しいくらいだ。
そんな柴田は冒頭で「退屈だ」と言っていたが、
「俺はみんなに求められたいし、みんなを、喜ばせたいんです」
と言って、いつの間にかキーボードの前に座っていた安田が流麗なメロディを奏でる(そもそも安田は爆弾ジョニーではキーボード担当である)「喜ばせたいんです」を柴田はハンドマイクで歌唱。そのアレンジがメロディを際立たせるのはもちろん、柴田が実は非常に歌が上手いシンガーであるということを改めて感じさせてくれるものになっている。忘れらんねえよは無茶苦茶にやっているように見えて、自分で歌ってみたりすると実に難しい曲ばかりだったりする。それを歌いこなせているのは凄いことなんだな、というのはファンはすでにわかっているけれど、何となくのイメージで捉えている人にも少しくらいは忘れらんねえよの実力の高さを知ってもらいたいとも思う。
そんな一面も見せながらも、
「朝倉未来の話をしようと思ってたのに、観客みんな知らないから話ができない(笑)」
ということで、MCをやめてメンバーと曲を増やす相談をその場でするのだが、安田のアドバイスを聞いたりした結果、柴田が思い付いたように演奏したのは、
「千葉の!」
と言ってから歌い始めた「この街には君がいない」でさらにパンクに突っ走り、観客も立ち位置が決まっている中でも飛び跳ねまくっている。こうして忘れらんねえよが千葉のライブハウスに来てくれているということを楽しんでいる。
さらには「Cから始まるABC」では
「あの娘は彼氏候補の男と
グループでVIVA LA ROCKに言った」
と歌詞を変えて喝采を浴びるのだが、それは埼玉で開催されているVIVA LA ROCKからは全く声がかからない(他のバンドのように何かあったのだろうか)中でも、今年から千葉で開催されるロッキンのフェスには毎回出演しており、今年も千葉で開催されるロッキンで千葉に戻ってくるという、柴田の千葉への愛情が感じられて、千葉県民として嬉しくなった。今までと同じとはいかなくても複数ステージで開催できれば、春のJAPAN JAM、夏のロッキン、冬のCDJと、年に3回も千葉で忘れらんねえよのライブが見れるのだし、柴田もそれを望んでいるのだから。
それは
「明日には名曲が千葉LOOKに生まれんだ」
とやはり歌詞を変えて歌い始めた「この高鳴りをなんと呼ぶ」でも千葉への愛を感じさせてくれるのだが、1サビが終わった後の間奏でイガラシのメロディを弾くようなベースラインに合わせて柴田がハミングすると、イガラシがニヤリとする。そんな姿を見ていると、忘れらんねえよは柴田1人になってしまったけれど、この4人でのバンドにもなれたんだなとも思う。サポートとして自分たちのバンドの活動と並行しながらも身も心も忘れらんねえよになってくれている3人には本当に感謝しかない。
そんな千葉への愛を、
「ロッキン、去年は出れなかったっていうか、そもそも中止になっちゃったし、CDJは打首獄門同好会が出てるし、バックドロップシンデレラもそうなりつつあるし…。
でも夏にロッキンが千葉で開催される時には戻ってくるから!まだ呼ばれてるわけじゃないけど(笑)、スッと忍び込むくらいの感じで来るから(笑)」
と、千葉に変わったロッキンでの帰還という意志で示す。千葉県民としてもロッキンがひたちなかではなくなってしまったのは複雑な心境だ。それこそ忘れらんねえよだって、初めて規模が拡大してセカンドステージになったPARK STAGEに出演できるようになった時に柴田は本当に喜んでいたし、LAKE STAGEのトリという、かつてRADWIMPS、マキシマム ザ ホルモン、サカナクション、SEKAI NO OWARIなどの錚々たる面々が伝説を作ってきた場所と時間で見た忘れらんねえよのライブでスマホライトが光って全員で大合唱した光景は絶対に忘れないと思う。そんな場所で現状、見ることができない、そもそも開催されないというのはずっと行き続けてきたからこそ複雑だ。千葉県民として近くなるというのは嬉しくもあるけれど。
そして柴田は序盤では
「もうコロナ飽きた!」
と言っていたけれど、最後には
「今日この状況の中でこうやって来てくれたあなたは絶対間違ってないから」
とやはり言うのだけど、その後に「やっぱり言ってしまった!」みたいな顔をするのもやはり柴田らしい。心の中にある本音がついついこうして出てしまっているというのが。
するとタイチの祭囃子からフラワーカンパニーズ「真冬の盆踊り」の「ヨサホイ」が始まるかと思ったらそれを制した柴田がいきなり「ドストエフスキーを読んだと嘘をついた」を歌い始める。これが柴田の朝倉未来MCをやめて曲を増やすことにした結果だと思われるが、
「ああ俺は 嘘をつきそうになってしまう
けど今も 大好きなベンジーが許さねえ」
というフレーズは今なおこうして歌うことによって、柴田自身の背筋を正してくれる感覚もあったりするんだろうなと思う。
そして再度タイチが祭囃子を叩き始めると、コール&レスポンスができないが故に「コール&手拍子」での「ヨサホイ」が行われ、タイチが絶叫すると「ばかばっか」の爆音パンクサウンドが鳴らされるのだが、柴田は明らかに2番の歌詞を1コーラス目で歌ってしまうという間違いをする中で、感想ではI’sの男性メンバー陣をステージに呼んで、柴田も含めた4人でビールを一気飲みする。
この千葉LOOKもアルコールを出せるようになった(千葉LOOKは入場時にアルコールかソフトドリンクかを選べ、それによってドリンク代が変わるシステムなだけにアルコールの収入も大きいと思われる)し、こうやってこのパフォーマンスが見れるようになったのも嬉しいのだけれども、やたらと1人だけ飲むのが遅いキッチン前田を
「酒田(忘れらんねえよの元ドラマー)に似てるな」
と評したり、飲み終わった後にI’sのメンバー3人が肩を組んでサビを合唱していたりと、ああ、本当に良いバンドになってるんだなというのがわかる姿が見られるのも嬉しかった。こうして忘れらんねえよが「ツレ伝」をやっている理由や意味がそこには確かにあったからだ。
アンコールに導かれて再びステージにメンバーが戻ってくると、
「もう言いたいことは全部言ったから、ひとつだけ。バンドやろうぜ」
と言って「バンドやろうぜ」を演奏し始め、
「あいつのバンドが紅白に出てるから」
とやはり歌詞を変えるとそのまま、
「この前1985っていう居酒屋でatagi君にたまたま会ったんだけど、俺がめちゃくちゃ酔っ払ってたから絶対絡んでしまったと思います!」
というエピソードを話し、そのバンドがAwesome City Clubであることがわかるのだが、
「泣いた さあ
あの夜を越えていくんだろ
いつか花咲いたら
みんなでビールでも飲もう」
という歌詞を聴くと、このコロナが本当に終わった時には、またファンが柴田を囲んでビールを飲んだりするような企画をやって欲しいと思うし、あの時に一緒に飲んでいた人たちは今も元気でいるのだろうかと思う。そのためにも、まだまだたくさんの夜を越えていかないといけないと。
演奏が終わると、I’sのメンバー全員を再度呼んで、観客を背にして写真撮影。その際にもやはりキッチン前田が酒田に似ていると言い、
「最近、酒田に会ったっていう人いる?………いないってことはあいつ死んだな」
と、もう脱退してからだいぶ経つのに未だにネタにされる酒田の存在感の強さを思い知らされることになった。
そして柴田は去り際に、
「渋谷も来るっていう人どれくらいいる?」
と観客に問いかけると、
「めちゃくちゃいるじゃん(笑)じゃあセトリ結構変えます!」
と宣言した。「喜ばせたいんです」ということを音楽でもってファンに示そうとしている。これだから最近の忘れらんねえよは最高なんだ。
1.歌詞書けなすぎて、朝
2.夢に出てくんな
3.僕らチェンジザワールド
4.僕らパンクロックで生きていくんだ
5.これだから最近の若者は最高なんだ
6.俺よ届け
7.喜ばせたいんです
8.この街には君がいない
9.Cから始まるABC
10.この高鳴りをなんと呼ぶ
11.ドストエフスキーを読んだと嘘をついた
12.ばかばっか
encore
13.バンドやろうぜ
文 ソノダマン