19位に選出した、佐々木亮介と青木テツによるSATETSUのアルバムは明確に「対コロナ」を意識したアルバムであるということを書いた。タイトルだけ見たらそれ以上に対コロナを意識したように見える本隊のa flood of circleのアルバムであるが、亮介本人も口にしているように、このアルバムからはそうした今の世の中を覆うムードのようなものは漂って来ない。それはフラッドがいつだって「今」を歌いながらも普遍性を持つロックンロールバンドであるということだ。
自分は昨年の「CENTER OF THE EARTH」も1位に選出しているため、2年連続での戴冠であるが、その昨年のアルバムから定ったと思うものがある。佐々木亮介のソロやSATETSUやTHE KEBABSと、アウトプットが増えていくにつれて、フラッド本隊はよりストレートなロックンロールとブルースを鳴らすバンドになったということだ。だからフラッドでは世界の最先端の音楽を取り入れる必要がない。ただただこの4人の中から生まれてきたものをギターとベースとドラムだけで鳴らせばいい。それが最強のa flood of circleの音楽になる。今のフラッドはそれを意識せずともできるような境地に達している。
フラッドはこのコロナ禍であっても何度かライブを行った。そのライブを見るたびにフラッドも、フラッドのロックンロールを信じ続けてきた我々も「間違ってないぜ」と思ってきた。2020年にリリースされた数々の名作アルバムを改めて聴き直しても、このアルバムを1位に選んだのは「間違ってないぜ」って思える。誰が何と言おうとこれをロックンロールと呼ぼう。
/ 2021/01/03