自分は佐々木亮介の作る音楽が好きである。それはa flood of circleというカッコ良いロックンロールバンドのボーカルでありメインソングライターであるというのが1番大きな理由なのは間違いない。その一方で今の世界のスタンダードになりつつある、R&Bやトラップのサウンドがどうにも好きになることができない。
しかしながら佐々木亮介がソロとしてリリースしたこの「RAINBOW PIZZA」はそうしたR&Bやトラップのリズムやサウンドを取り入れたものになった。そもそもがありとあらゆる時代や世界の音楽を掘りまくっている(おそらくMUSICAでレビューを書いている人のうち、ミュージシャンであれだけ数多く書いてる人は他にいない)タイプのアーティストだけに世界の主流であるサウンドに興味を持つのは当然のことだ。
そんな、「好きなアーティスト」が「好きじゃないサウンド」のアルバムを作った結果はどうなったか。多くのアーティストを抑えてのこの順位である。もちろんサウンドはそうしたR&Bやトラップ、ヒップホップをメインとはしているが、これまでの弾き語りやバンドでのカバーを聴いていてもわかるように(前作のソロアルバムリリース時のライブでは海外のアーティストのカバーをやりまくっていた)、亮介のあの独特のしゃがれた声で歌うとどんな曲でも亮介の曲に、そしてロックンロールになる。
そしてどこまでそうしたサウンドに寄せたとしても、スピッツに多大な影響を受けているメロディメーカーとしての部分が強く感じられる。ただ海外のサウンドをそのままやるのではなく、日本人だからこそ作るものに昇華する。この国でそうした音楽を取り入れている人はみなやっていることかもしれないけれど、このアルバムにこそ最もそうしたサウンドを日本でやることの意味や意義を感じる。