昨年の1stフルアルバム「From DROPOUT」は衝撃的な大名盤だった。昨年のこの企画で2位に挙げ、おそらく再生数では2020年で1番のアルバムだった。
そんな完璧な1stの後に早くも届いた秋山黄色の2ndアルバム「FIZZY POP SYNDROME」は秋山黄色というアーティストの持つサウンドと描く風景の引き出しの広さを示すものになった。
ドラマ、アニメ、映画のタイアップでそれぞれ全く異なるアプローチを見せただけに、どれで出会ったかによってその人なりの秋山黄色像は変わるかもしれないが、そうした多彩な秋山黄色像がそのままこのアルバムには1枚に収められている。
中でも秋山黄色の音楽の原風景が見える「宮の橋アンダーセッション」からレイドバックした「ゴミステーションブルース」、エレクトロなサウンドを取り入れた「ホットバニラ・ホットケーキ」というアルバム終盤は目まぐるしくサウンドも情景も変化しながらも、とっ散らかっているような感覚は全くない。全てが秋山黄色の音楽であるべき姿で鳴っている。
それはこれから先も秋山黄色が様々なタイプの曲と音楽で我々を楽しませてくれるということであるが、そんなアルバムの最後に待ち構えるグランジ的なサウンドの「PAINKILLER」はこの現実(それはコロナ禍関係なく)を生きていくことの辛さと痛みを
「消える前に 終わる前に
辞めてやろう大人なんて
BORDER
消える前に 終わる前に
捨ててやろう優しさも
BORDER」
という歌詞で描きながらも、それから逃げてでも生きていていいという秋山黄色なりの優しさを感じさせる。これからも秋山黄色の音楽を、作品を聴き続けられるように。もがけ僕らの足。
/ 2022/04/07