「DAY DREAM BEAT」や「スクールマジシャンガール」を聴いた時、良いバンドだと思いつつも、曲から浮かんでくる情景はどうしたって学校や教室や登下校という自分がすでに過ぎ去ってしまっていたものであり、自分が10代だったらハマっていたかもしれないな…と思うに止まっていたのが、去年までのハンブレッダーズである。
しかしながら今年になってからのライブを観た時に、「これはもしかして自分みたいなやつのための音楽なんじゃないだろうか?」と思い始め、それが確信に変わったのがこの「ギター」である。
ムツムロアキラも「タイトルを「ギター」にするか「ロック」にするかで迷った」というくらいに、このアルバムで歌われているのは制服を着たあの娘への想いではなくて、ひたすらに音楽への、ロックへの愛。それをド派手なエレキギターを全開にして鳴らす。
「ギター歪ませずに、聴き心地のいいBGMになるための音楽を作ってるけど、今本当に孤独になってる人に必要なものって、その真逆なんじゃないかって」
というムツムロのリリース時のインタビューが全てを言い表しているくらいに、このアルバムは聴かせたい相手がハッキリしている。それはかつてのムツムロや自分のような奴である。そんな奴らの救いになるような、ロックでしかないアルバムには、メンバーによる1曲1曲の解説的なライナーノーツが封入されている。ボーナストラックと言ってもいいラストの「ライブハウスで会おうぜ」の部分では
「早くこの曲が特別に聴こえないような世の中になって欲しい」
とムツムロは言葉にしていた。今はまだ、ライブでこの曲を聴くと泣いてしまうくらいに、特別に響いてしまう状況だ。だけど、涙を流したってここじゃきっとバレないんだろう。
/ 2022/04/07