デビューフルアルバム「THE KEBABS」も昨年のこの企画で18位にランクインさせたくらいに良いアルバムだったが、そのアルバムを聴いた時に少し疑念もあった。それは「即興性の強いロックンロールというスタイルゆえに、今後似たような曲ばかりになってしまうのでは?」というものだったのだが、そこはさすがa flood of circleの佐々木亮介、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也、元serial TV dramaの新井弘毅、元ART-SCHOOLの鈴木浩介によるバンド、THE KEBABSであり、こちらのそうした不安を「セカンド」は見事なまでに払拭してくれている。
その象徴として「てんとう虫の夏」「ジャンケンはグー」にはシンセのサウンドが取り入れられている。それはフラッドやユニゾン(ピアノの音は入れてるけど)では禁じ手と言えるものであるが、ライブではもちろん誰も演奏しないし、同期の音として流すこともしない。つまりはライブでそのまま演奏できるというTHE KEBABSの即興性は、ライブと音源は別物という作り込まれ方に変化したと言える。
そんな中での白眉は「うれしいきもち」「ラビュラ」という、むしろポップフィールドで鳴らされていてもおかしくないような曲。そこには佐々木亮介と田淵智也の2人のメロディメーカーとしての地力の強さと、1stでは感じることのなかった、切なさや感動といった感情を感じることができる。
つまりはこのアルバムをもってTHE KEBABSは「亮介と田淵のもう一つのバンド」から、「このメンバーでしかないバンド」にハッキリと進化を果たしたということだ。そんなアルバムを聴くことができて、うれしいきもち。
/ 2022/04/07