a flood of circle presents A FLOOD OF CIRCUS 2021 in NAMBA なんばHatch 2021.10.8 a flood of circle, A FLOOD OF CIRCUS
6月には東京の渋谷O-EASTで開催された、a flood of circleの主催フェス「A FLOOD OF CIRCUS」が大阪でも開催。そもそもは毎回各地を対バンで回るツアーを行い、その集大成として東京へ、という形で行われてきたが、それもなかなか厳しい情勢であるためにこのような形になったのだろうと思われる。
今回のゲストはthe pillowsとハンブレッダーズという、先輩と後輩1組ずつ。新木場での15周年記念ライブもそうだったが、こうしたライブを平日にやるとは、という感じもする。
なんばHatchの客席には椅子が置いてあり、その椅子の間隔も新木場の時よりもはるかに広いという意味では、検温と消毒も含めて緊急事態宣言が解除されてもライブの形式は変わることはない。それはドリンクにアルコールがないということも含めて。
FM802のパーソナリティである中島ヒロトのMCを含めた注意喚起からは、フラッドというか亮介との関係性の深さ(フラッドに合わせて革ジャンを着てこようとしたけど持ってないから精一杯の合わせとしてGジャンを着てきたという点も含めて)を感じさせるが、関東圏の人間としてはなかなかFM802に馴染みがないというところが寂しいところでもある。
・ハンブレッダーズ
トップバッターはハンブレッダーズ。今やZeppクラスでワンマンをやっているくらいのバンドであるが、こうしてフラッドとthe pillowsの前にこのバンドが出るというのも少し不思議な感覚である。
昔のアニメ主題歌のSEが鳴ってメンバーが登場すると、大阪が地元というバンドであるからか、先輩2組の前でも全く緊張感を感じさせない表情で登場し、ムツムロアキラ(ボーカル&ギター)が
「スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました、ハンブレッダーズです」
と言う自己紹介からしてフラッドの音楽や歌っていることとはかなり飛距離がある感じもするが、そこで歌われている「DAY DREAM BEAT」から始まる曲たちの歌詞はどうしようもないくらいに音楽しかない人間の歌。それは同じようにどうしようもないくらいにロックンロールとライブハウスを愛してきたフラッドの精神性と確かに交わるものを感じる。それはもちろんこの状況の中でもライブハウスに来ることをやめない我々にも。
金髪のでらし(ベース)がステージを動き回りながら演奏する姿も、間近で見ると案外顔が幼く見えるサポートギターのうきが全くサポート感ないくらいに弾きまくっている姿も、木島(ドラム)が長くなった髪を靡かせながら叩く姿も実にキラキラしている(でらしの金髪が光っているというのも含めて)のだが、それはイケてる人間たちということではなく、この音楽を、このバンドをやっていて、この音楽を鳴らしているからこそそう思えるし、それは「ユースレスマシン」の歌詞からも感じるものだ。
「クラスの誰もが自分の好きな曲を好きになったら、僕はその曲を嫌いになってしまうかもしれない」
と、フラッドやピロウズを学生時代に聴いていた、あるいはまさに今ハンブレッダーズを聴いている学生が抱いているかもしれない複雑な感情を歌う「フェイバリットソング」ではでらしとうきが向かい合ってちょっかいをかけあったり、あるいはでらしが木島のドラムセットの後ろまで走って行って、木島も立ち上がってドラムを叩くという
「今日1番年齢が若いバンドなので、若さを感じさせるようなライブをしたい」
という言葉通りのパフォーマンスを展開するのだが、その姿は実に楽しそうであり、自分なんかがピロウズの前にステージに出なきゃいけないとなったらめちゃくちゃに緊張すると思うのだが、もしかしたらハンブレッダーズは物凄く精神力が強いバンドなのかもしれない。
「もちろんa flood of circleは学生時代から知っていたバンドなわけなんですが、初めて佐々木さんと会ったのは札幌のラジオ局にプロモーションに行った時で。僕らと同じ日に佐々木さんがラジオ局に来ていたんで、CDを渡して「よろしくお願いします」って言ったら、マヌカハニーっていう喉に良い成分がめちゃくちゃ入った飴を初対面の僕にくれたんですよ。その時からずっと、カッコいい大人っていうイメージを佐々木さんに持ってます」
という亮介との初対面時のエピソードを詳細に語るのだが、後で亮介はまさかのこの時のことを全く覚えていないということを口にしていた。知らない後輩からの挨拶というのはそういうものなのかもしれないが。
そうして笑わせてくれた後に披露されたのは、11月にリリースされることが決定しているニューアルバム「ギター」収録の新曲「プロポーズ」。まさにタイトル通りのプロポーズの状況を歌った曲であることは間違いないのだが、そこは若手バンドマン屈指の捻くれ者であるムツムロが描く曲なだけに、じっくりと歌詞を見ながら聴いたら全く違うイメージになるのかもしれない。サビで4人全員が歌うというアレンジにこのバンドが持つポップさが炸裂している。
そんなこのバンドが持つポップさがこのバンドならではの視点を持った甘酸っぱい歌詞で疾走する「スクールマジシャンガール」、
「the pillowsがそうだったように、a flood of circleがそうだったように、今日は僕たちがロックを鳴らします」
と言って演奏された「弱者の為の騒音を」まで聴いていて、切り取る情景や状況、設定は違うけれど、やはりハンブレッダーズはフラッドと通じている部分が確かにあると感じた。それはロックバンドというものの力を信じてロックバンドをやっているということだ。
それは
「a flood of circleは新しいアルバムで「まだ世界は君のもの」と歌った。僕らも僕らでそれを歌います」
と言った「ワールドイズマイン」に最も顕著だった。ムツムロの言葉によって、確かに同じことを歌っているバンドであると気付いた。間奏でギターソロを弾くうきの膝の上に足を乗せながら自身もギターを弾いたムツムロが
「最後のサビを歌って終わります。ありがとうございました!」
と言うと、最後のサビではさらにロックバンドとして熱量が高く感じられた。それはこのバンドがフラッドやピロウズに通じるものを持っているロックバンドであるということであり、青春を歌っていても、学生だけに響くバンドではない、ロックバンドを、音楽を、ライブを愛する全ての人に響くバンドであることの証明だった。
1.DAY DREAM BEAT
2.ユースレスマシン
3.フェイバリットソング
4.プロポーズ
5.スクールマジシャンガール
6.弱者の為の騒音を
7.ワールドイズマイン
・the pillows
今やフラッドの主催ライブではレギュラーと言ってもいいくらいの存在になりつつある、the pillows。8月に行われたフラッドの15周年ライブに出たばかりなのに、こうして大阪にも出てくれるし、もはや先輩後輩という枠を通り越した存在同士なのかもしれない。
なので2ヶ月前に見たばかりという、年齢的にもそのスパンでガラッと変わることがない4人が登場し、
「聴こえてくるのはキミの声」
と山中さわお(ボーカル&ギター)がギターを弾きながら歌い始める「この世の果てまで」からスタートし、真鍋吉明もギターを弾きながら人差し指を掲げたりすると、観客も腕を上げて応える。亮介、フラッドとの関係性の深さはファンならほとんどの人が知るところであるだけに、ゲスト側ではあれどアウェー感は一切ない。
ピロウズが何よりもフラッドというバンドのこと、フラッドのファンのことを考えてフラッド主催のライブに臨んでくれているのがわかるのが、決して自身のライブでは定番曲ではない、イントロで山中、真鍋、有江嘉典(ベース)の3人が佐藤シンイチロウのドラムセットの方を向いてキメを連発して始まる「Blues Drive Monster」という、かつてフラッドがカバーした曲=フラッドのファンがみんな知っている曲を毎回のように演奏してくれるからだ。そこには自分たちのトリビュートに参加してくれて、この曲をカバーしてくれてありがとうという感謝の気持ちがあるからなのかもしれないが。
そしてピロウズの名曲たちは普遍的な輝きを放っている曲であるだけに、今の世の中の状況で聞くと、まるでこの世の中の状況に合わせて作った曲であるかのように思える歌詞の曲が多い。
「No Surrender
Baby うつむくなよ
立ち止まった足元に
絶望しかない日々を
いつかは潜り抜けて
元通り笑ってよ
未来にだけ吹く風を感じながら」
という歌詞の「No Surrender」はまさにそんな曲の筆頭と言える曲であるだけに、その歌詞が強く胸に響く。それはきっとこれから先の未来にどんな困難や辛いことがあったとしても、今と同じように「今の状況」を歌っているかのように響くはずだ。
シンプルな佐藤のリズムと実際にライブで見ると意外なくらいにうねりまくっている有江のベースによって始まる、ピロウズ最大の代表曲「Funny Bunny」の持つメッセージも間違いなくそうしたものであるが、山中の歌声もバンドの演奏も経験からくる安定感を確かに感じさせながらも、年齢を感じさせない瑞々しさに満ちている。歌詞の通り、山中が歌う通りに、まだまだ夢を叶えようとしていて、僕らはそれができると信じているような。
「ハンブレッダーズの30歳年上です(笑)」
という挨拶には客席からついつい笑い声が漏れていたし、本人もどこか恥ずかしそうにしていたのだが、
「フラッドは今年で15周年。ちょうどいいくらいだ(笑)
俺たちは9月で33周年を迎えて、今が34年目に入ったところ。長くやってるからえらいなんてことは全くないけれど、長くやっているからこそ言えるのは、フラッドもハンブレッダーズも、バンドだけでなく、そのバンドのことが世界一好きな君たちにも、これからもっともっと楽しいことが待ってるっていうこと。
あんなに楽しくバンドをやっていて、みんなを楽しくしてくれるバンドなんだからきっと大丈夫だ。後ろを見てみなよ。(佐藤の方を振り向く)
お疲れ様です、先輩!」
と完全に見た目がおじいちゃんと言えるものである佐藤をいじって笑わせるが、このMC自体は15周年の新木場の時にも言っていたものであり、その後にデビュー時の曲である「ぼくは かけら」というピロウズのロックンロールな面を強く感じさせてくれる曲を演奏するというのも同じ流れである。
「俺たちにも若い時はあったんだよ(笑)」
と、MCはよりユーモア度を強めているけれど。
真鍋が深く腰を落としながらギターを弾いたりという「バビロン天使の詩」ではそのピロウズが持つロックンロールさと山中の文学性が実に見事に融合していると思えるのだが、ここまでは新木場の時と全く同じ流れだっただけに、やはりこうしてすぐにフラッドのイベントに出ると、抑えなきゃいけない曲もいくつもあるだけに内容は変わらないよなぁと思っていたのだが、最後に演奏された「Ritalin 202」だけは新木場ではやっていない曲であり、その曲もやはりポップな曲やメロディを前面に押し出した曲もたくさんあるピロウズのロックンロールバンドっぷりを示すものになっていた。そういう部分を見せてくれるのもまた、フラッドのイベントに出てくれているからなのかもしれない。
1.この世の果てまで
2.Blues Drive Monster
3.No Surrender
4.Funny Bunny
5.ぼくは かけら
6.バビロン天使の詩
7.Ritalin 202
・a flood of circle
そしてこのライブの主催であり、こうして各地のライブハウスでライブをやることによって、止まらずに転がり続けるロックンロールバンドであることを示す、a flood of circleがトリとして登場。
おなじみのSEでさっぱりした髪型継続中の渡邊一丘(ドラム)といつものように黒の衣装のHISAYO(ベース)は腕を高く掲げてステージに現れ、客席を見渡すようにしてからギターを頭上に掲げるという、対バン形式のライブではわかりやすく気合いが感じられる、最年長なのに今のチバユウスケ(The Birthday)のようにすら見える老成した青木テツ(ギター)に続いて、最後にこの日は白い革ジャンを着た佐々木亮介(ボーカル&ギター)がステージに登場すると、亮介とテツがギターを刻みながらコーラスを歌い出す「Beast Mode」でバンド自身と我々観客にいきなり火をつける。観客が声を出すことができなくてもフラッドのライブの凄さは全く変わることはないけれど、それでもコーラスを我々観客がライブ録音した曲であるだけに、やはりまたこの曲を思いっきり歌える日が来てくれることを願ってしまう。テツは早くも間奏で前に出てきてこれでもかというくらいにギターを弾きまくる。
HISAYOがゴリゴリのベースのイントロを弾くと、テツのギターも一気にロックンロールバンドのギターとはかくあるべしというようにさらに激しさを増すのは、こうしてライブで演奏されるのが久しぶりであるような気もする「ロックンロールバンド」。
「歌ってくれ ロックンロールバンド 今日が最後かも知れない
聴かせてくれ ロックンロールバンド だから今日を生きていく」
という歌詞は今もそのままフラッドというバンドの生き様を示しているのだが、この曲がこの日こうして演奏されたのは続けて「GIFT ROCKS」に収録されたピロウズのカバー「About A Rock’N’Roll Band」に繋げるためであり、それはフラッドサイドからのピロウズがロックンロールバンドであるということの回答でもある。だからか、ピロウズの曲は誰がどうカバーしても滲み出るピロウズサウンドやリズム、メロディというものがあるのだが、フラッドのカバーはそこに全く違和感を感じることがない。
そうしてピロウズのカバーをやったということは、もう1組のカバーも、ということで、先程本人たちのライブの際にフラッドとの意外な親和性を見せた、ハンブレッダーズの曲から選んだのはもちろんフラッドに通じる「ワールドイズマイン」。特徴的なギターリフをテツがすでに自分の曲かのように弾きこなし、HISAYOと一丘は目を合わせながら笑い合っている。まるで高校の学祭でライブをやる軽音のバンドが好きな曲をカバーしているかのような、そんな楽しさと初々しさに満ちている。もちろんその曲を自分のものにしてしまう亮介の独自のロックンロールボーカルも健在である。
「この世界はきっと僕らのものなのさ」
という、まるでフラッドの曲の歌詞としか思えないフレーズは、それに続いて
「まだ世界は君のもの!」
と言って演奏された、その「まだ世界は君のもの」の前編的なものであるかのように響く。もちろんこの曲はフラッドに「世界は君のもの」という曲があることによって、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也が作ったフラッドへのリスペクトソングであるのだが、佐々木亮介、田淵智也、ムツムロアキラという3人のソングライターの存在が一直線で繋がっていく。間奏でテツとともに前に出てきて肩を組みながらギターを弾いていた亮介は最後に
「世界は君のもの」
という、そのきっかけとなった曲のフレーズも歌う。
亮介はその後に例のムツムロと札幌で初めて会って飴を渡した時のことを忘れており、逆にその後に会った時にムツムロからマヌカハニー濃度がめちゃくちゃ低い飴を貰ったというエピソードとともに、
「ムツムロは良い奴だけど、良い子ちゃんじゃない。あと目つきが悪いのが最高(笑)」
と評し、ピロウズに関しては
「もう言うことないんだけど(笑)、こんなに世の中にブレないものがあるのかっていう」
と評していたが、こうした言葉は当然としても、それぞれのカバーやその曲に合わせたセトリを作るというのは誰しもができることじゃない。それはフラッドなりの対バンへの最大限の敬意と最低限の礼儀によるものだ。それを対バンツアーの際は各地に出演する全バンドに向けてやっている。その対バンライブにおけるカバー曲の映像が去年まとめて公開されたりもしたが、そうした「絶対にこの日、この対バンでしか見れないもの」が見れるからこうしてしょっちゅう関東圏でライブを見ているにも関わらず大阪まで来てしまうのだし、対バンツアーに全通したくなってしまうのだ。一丘は亮介が話している最中にシンバルを倒してしまい、「やっべぇ!」という顔をしていたけれど。
「今日は俺にとっては凄いプレゼントみたいなもんなんだけど、さわおさんに最高のプレゼントを貰った」
という「GIFT ROCKS」収録の山中さわお提供曲である「夕暮れのフランツ 凋まない風船」という選曲もピロウズとの対バンだから。貰ったプレゼントをこんなに立派なものにすることができました、ということを提供者の前で演奏することで示しているのだ。それはピロウズのメロディを感じさせながらも、もう完全にフラッドの曲に昇華されているから。
亮介がギターを降ろしてハンドマイクになる曲は最近では「GIFT ROCKS」の「I’M ALIVE」だったが、この日はこれまた実に久しぶりの「Black Eye Blues」。無観客の配信では演奏していたはずだが、今の状況下で有観客でのライブで演奏することによって、亮介がステージを歩き回りながら歌う=客席に突入してこないようになったということを実感せざるを得ないのだが、それでもフラッドのライブのカッコ良さ、素晴らしさは普遍であるし、
「全ての街を回ってもまだ
全ての歌を歌ってもまだ
この国にブルースを流し込んでく
Black Eye Blues」
という、かつて全都道府県ツアー、全曲演奏ライブを経た後に生まれたブルースを今なおこうして歌うということは、フラッドの中に今も変わらずその気持ちがあるということであり、それはこれ以上ないくらいのさらなる全力前進宣言である。心なしか一丘だけではなくテツのコーラスの声量も非常に大きい気がする。
そして亮介、テツ、HISAYOの3人は一丘のドラムの方を向く。その瞬間に客席からは腕が上がるとともに拍手も起こる。それはその光景が観客の待ち望んだものだったからだ。そうして4人がリズムを合わせるようにして始まったのは「プシケ」。曲中の
「2021年10月8日。なんばHatchにお集まりの親愛なる皆さんに俺の大事なメンバー紹介します!」
と言ってのメンバーの音が重なっていく様は、こうしてこの日なんばHatchという場所で「A FLOOD OF CIRCUS」をこの4人で開催できているということをここに刻み込もうとしているかのようだった。
さらには
「俺たちとあんたたちの明日に捧げる!」
と言って演奏された「シーガル」では亮介の「Yeah!」という叫びに合わせて観客が一斉に跳ぶ。それは自分たちの頭上に到来しようとしている明日に向かって手を伸ばすように。もう人生においてこれまでに何回ライブで聴いてきたかわからないくらいに聴いた曲であり、基本的には毎回ライブで演奏される曲であるが、それでも飽きることが全くないのは、我々が手を伸ばす明日がそれぞれ全く違うように、どの日、どの場所で聴く「シーガル」も全く違うものだからである。だからいつだってこの曲は最高に我々を昂らせてくれるのだ。
本来ならばこの「シーガル」でライブは終わる予定だったらしい。しかしHISAYOがライブ後にツイッターで上げていたように、時間が巻き気味だったことによって、一丘がリズミカルなビートを刻み始め、予定にはなかったという「I LOVE YOU」が演奏された。間奏では亮介の合図によって一丘のビートが何倍速にもなり、メンバーもそれに合わせるように演奏してはテツもHISAYOも一丘の方を見て笑っていたのだが、この曲が追加されたというのは亮介が
「I love you, ピロウズ、ハンブレッダーズ、中島ヒロト、大阪、なんばHatch!」
と最後に「I LOVE YOU」という言葉の先にいる人と場所を口にするためでもあると思うが、
「未来は君のもんなのさ」
というフレーズを持つ曲だからでもあると思う。それは「ワールドイズマイン」「まだ世界は君のもの」と通じるメッセージであるだけに。我々が「I LOVE YOU」の言葉の先に付けたかったのは、間違いなくa flood of circleというバンド名だった。
演奏後には中島ヒロトが登場して終演を告げるMC。そこには翌日以降も会場近くでは関西を代表するサーキットフェスであるミナミホイールが開催されることを告知していたりと、FM802が関西の音楽シーンにとって本当に大きな存在であることを実感するとともに、
「人間、好きな人、良い奴と仕事がしたいじゃないですか」
という言葉の後に真っ先にフラッドの、亮介の名前を挙げてくれたのが本当に嬉しかったし、そんな言葉があったからこそ、観客はもうアンコールがないのをわかっていながらも、MCが終わった後もアンコールを求める手拍子をしていた。
そうした全てがこの日、この場所に来ないと見ることが出来なかったもの。やっぱりここまで来て良かったし、近い未来にはまたいろんな場所でいろんなバンドと対バンライブを行って、時には会場近くに泊まったりして、ライブの余韻に浸りながらその地域の美味しいものや酒を嗜む。そんなツアーの楽しみ方が早くできるようになりますように、と願わざるを得ない、A FLOOD OF CIRCUS in NAMBAだった。
1.Beast Mode
2.ロックンロールバンド
3.About A Rock’N’Roll Band
4.ワールドイズマイン
5.まだ世界は君のもの
6.夕暮れのフランツ 凋まない風船
7.Black Eye Blues
8.プシケ
9.シーガル
10.I LOVE YOU
文 ソノダマン