the telephones 「SUPER DISCO Hits 12!!! 〜COUNTER DISCO!!! FINAL〜」 よみうりランド日テレらんらんホール 2021.12.4 the telephones
the telephonesが毎年開催してきた年末のワンマンライブシリーズ「SUPER DISCO Hits!!!」も今回で12回目。昨年は渋谷duoでの3daysで各日でセトリをガラッと変えるというコンセプトであったが、今年は東名阪を回るツアー「COUNTER DISCO!!!」のファイナルという位置付けであり、会場はよみうりランド内にある「日テレらんらんホール」。この普段絶対にライブで行かない会場でのワンマンというのが、かつてラフォーレミュージアムなどでこの「SUPER DISCO Hits!!!」を開催していた時のことを思い出させてくれる。
しかしながらよみうりランドを「巨人の2軍の球場の近くにある遊園地」くらいのイメージしか持っていなかった自分は完全にナメていた。夕方くらいに着いてもたくさんの人が入場券を買うために並んでおり、園内にも家族連れやカップルなどのたくさんの人がいたからである。今回のチケットには入園料も含まれており、チケット画面を見せればすぐに入れるというのは実に助かったところであるが、遊園地に来ても特に乗り物に乗りたいとか全く思わないので、入園料が含まれていても園内で何もしていない。
会場のらんらんホールはどうやら普段はアシカショーなどが行われていたりする園内のホールであり、確かにそうしたショーをするための会場であろう客席などの作りである。そこにBGMとして海外のダンスミュージックが流れているというのはなんだかシュールである。
開演時間の18時を少し過ぎた頃にステージに現れたのはこの日のアナウンス役を任された、あぷりこっと*で、注意喚起をしながら会場を温めるために
「the telephonesの曲をカラオケで歌う人!?」
などで観客の手拍子を起こす。自身も影アナの経験があるノブからは「凄い」と言われるくらいに完全にこの会場のショーのアナウンスを普段から担当しているんじゃないかと思うくらいに完全になり切っていた。
そのあぷりこっと*が、
「よみうりランドのスタッフさんたちを紹介します!」
と言うと、おなじみの「Happiness, Happiness, Happiness」が流れるのだが、
「まずは運営担当のスタッフ!」
と紹介されて、ジャンパーを着た松本誠治(ドラム)が、
「事務担当スタッフ!」
とスーツ姿の長島涼平(ベース)、
「駐車場案内スタッフ!」
と、帽子を被った爽やかな色合いの警備員風のノブ(シンセ)、
「アトラクションスタッフ!」
とファミレスの店員のようにも見える石毛輝(ボーカル&ギター)と、それぞれが本物のよみうりランドのスタッフの制服を着て登場するという、この日ならではの服装に。涼平だけはいつもとあまり変わらないと自分でも言っていたが、この服装でのthe telephonesのライブが見れるというのは実にレアである。
そんな服装のメンバーが楽器を手にしている姿も実にシュールであるのだが、ステージには完全に手作りであろう観覧車やサーカス小屋などのセットが置かれており、これもまたこのよみうりランドでのSUPER DISCO Hits!!!ならではである中、石毛は
「らんらんホール!」
と叫んでメンバーで音を鳴らす。この会場の名前を呼ぶのはこの日は「日テレ」「よみうりランド」など数パターンがあったようであり、その時々で使い分けていたのか、あるいは口から出たのがその単語だったのかは本人のみぞ知ることである。
「最初から、バカみたいに踊ろうぜー!」
と「A.B.C.DISCO」のノブによるキャッチーなシンセのサウンドで早くも観客はノブと涼平の高音コーラスに合わせて腕を左右に振りながら、指定席とはいえ、左右の席が空いていることによって広いスペースで踊りまくる。このtelephonesの音が流れていて、それで踊りまくれるというそれだけでやっぱり本当に楽しいと、この1曲目の段階で心から思う。
早くもノブがカウベルを手に持って叩きまくる「Baby, Baby, Baby」ではやはり客席に突入したりできないこのコロナ禍という状況もあってか、唇サングラスをかけた犬が描かれたパネルの間から顔を出すというくらいのおとなしいものかと思っていたのだが、やはりノブはそんな我々の予想をはるかに超える男であり、ステージから消えるといつの間にか誰もいない2階席に姿を表してそこでカウベルを叩き、自身も叫ぶ
「one more time」
のフレーズでは客席に身を乗り出しながらも飛沫が飛ばないように口を手で押さえながら叫ぶという、めちゃくちゃやってるように見えて実は物凄く配慮していることがわかるパフォーマンスを見せてくれる。その姿に我々観客もメンバーもついつい笑ってしまうのだけれど。
早くも「HABANERO」が投下されてアッパーに踊らせまくるというのも、後半にさらなるキラーチューンが控えていることがこの時点でわかる「SUPER DISCO Hits!!!」ならではであるが、石毛は間奏でステージが広い故か、いつも以上に見事に見えるロンダートを決めて観客から盛大な拍手を受ける。ノブだけならず、telephonesのメンバーのこのフィジカルの若さはこれからもずっと変わらない、なんなら50代になってもこうしたパフォーマンスを見せてくれるようにすら見えている。
さらにさすがに天井がめちゃくちゃ高いこの会場で上に上に飛び上がらせる「Yeah Yeah Yeah」もまたディファ有明で開催されて以降の「SUPER DISCO Hits!!!」には欠かせない曲であるのだが、イントロの何の曲が演奏されるのかわかるようなわからないようなライブアレンジは数え切れないくらいにこの曲を演奏してきた今だからこそであると感じさせてくれる。
ここで挨拶も兼ねてメンバーの設定と衣装を説明するのだが、その際にノブが
「駐車場誘導スタッフのタカハシマモルです。趣味は盆栽です」
と新たなペルソナを勝手に生み出してまたも笑わせてくれるのだが、やはりそれぞれの衣装は本物のスタッフ衣装であることがここで明かされ、よみうりランドがこのライブに好意的に協力してくれていることが実によくわかる。
そんなMCから、このツアーの物販で新曲が販売されていることを紹介し、すでにこの3日前に出演したイベントでも披露されていたその新曲「Get Stupid」を演奏。ノブのピアノの音が印象的な、実にtelephonesらしいダンスロックであるのだが、「バカになれ」的なタイトルを最も実践しているのはアウトロのノブの意味不明な叫びであり、この日は会場のすぐ近くにジャイアンツ球場があるからか、
「ジャイアンツ!松井!松井秀喜!」
と引退を発表した時に9mmの卓郎とともに悲しんだという自身にとってのヒーローである松井秀喜の名前を出して叫びまくる。どれだけの人がピンと来ていたのかはわからないけれど、この曲は間違いなくこれからのtelephonesのライブにおける定番曲になっていくのがわかるくらいにすでに完全にセトリにも観客にも馴染んでいるくらいのキャッチーさを持っている。
誠治のラジオDJ的なイントロから始まるのは、こちらは去年からライブ会場限定で販売されている「Caribbean」で、完全に真冬と言っていいこの時期すらもこの曲のタイトル通りに南国の風を感じさせるサウンドと、石毛、ノブ、涼平の3人が重なるようなステップを踏む姿からはこの瞬間は夏に戻ったかのように感じる。(客席はTシャツのみという出で立ちの人も多いし)
しかしながらこのあたりの曲を聴いていると、今やまぜそば屋の店主としてもメディアなどに出るようになっている誠治のドラムが本当に上手くて強いビートを叩き出していることがよくわかる。telephonesはパブリックイメージ以上に間違いなく演奏がちゃんと上手いバンドであるのだが、そのバンドの技術があるからこそ我々を踊らせることができるのだし、telephones以外の場所で培ってきた経験がさらにそれぞれの技術を向上させ、そのそれぞれの技術の向上が合わさってバンド自体のレベルがより上がっていることがこうしてライブを見ているとよくわかる。
それこそこの「Caribbean」に関してはラジオDJ的なボーカルの技術までも確実に向上している。それは去年からいろんなライブでこの曲を演奏し続けてきたからであろう。
久しぶりにやる曲と言って演奏された「DISCO AGE MONSTERS」はこうして「Caribbean」に続けて演奏されることによって、リリース当時はDISCOシリーズでこうしてトロピカルなサウンドを取り入れるとは、と新鮮な気持ちを抱いたことを思い出す。間奏ではノブが段ボールの小道具のギターをどこからか取り出して、リアルなギターソロを弾く石毛と背中を合わせて段ボールのギターを弾く。石毛もノリノリでそれに応えているあたり、本当にメンバーが今telephonesとしてのライブと活動を楽しんでいることがよくわかる。
すると意表をつく選曲だったのはディズニーカバーシリーズ収録の「Heigh-Ho」であるが、この会場も遊園地であるということや、この曲のおもちゃの音を思わせるようなキラキラとしたサウンドは実にこの日にふさわしいものであると気づく。だからか、ノブのハイトーンコーラスも非常に力が入っているように聞こえるし、何よりも観客がこの曲を聴けたことを本当に喜んでいる。それはなかなかライブで聴けない曲であることをわかっているからである。
すると、この日ステージに設置された観覧車やサーカス小屋などは段ボールで作られていることが明かされ、それを作ったのが四星球のまさゆきであることが明かされる。毎回自分たちのライブの小道具を作るのすら大変そうであるのに、まさか他のバンドのセットまで作っているとは。確かにノブが使ったギターも含めて、そのクオリティはまさゆき作と言われると納得せざるを得ない。そんな両者は来月に埼玉県深谷市のホールで2マンを行うのだが、ゆるキャラのふっかちゃんや深谷ネギ以外で、ましてやライブで深谷市の名前を聞くとは全く思っていなかった。
「ズブズブ踊ろうぜ」
と石毛が口にすると、これは久々の「Jabberwocky」か?と思ってしまうのは、かつてその言葉の後によく演奏されていたからであるが、現在のその枠の曲である、アッパーなディスコパンクではなくてゆらゆらと体を揺らすように曲に浸るタイプなのは「Tequila, Tequila, Tequila」であるが、そうしたタイプの曲にもダンスロックとしての肉体性、衝動を感じさせてくれるのがさすがtelephonesである。ホールなだけにテキーラはもちろん、アルコールすら飲みながらライブを見ることはできないが、どんなライブハウスでもそうした楽しみ方が早く戻ってきて欲しいと、この状況になってからこの曲を聴くたびに思う。
telephonesのダンス要素、我々を踊らせる最大の原動力でもある涼平のうねるベースによるイントロが流れるだけでこちらの体も心も踊る「electric girl」はやはりtelephonesの演奏技術の高さ、とりわけリズムの強さを感じさせてくれるし、だからこそサビのシンセのサウンドに合わせてこんなにも飛び跳ねることができるのである。
そうした初期曲に入るであろうライブ代表曲の後にはさらに初期へと遡るのは「I and I」であり、2サビでは涼平がボーカルを取るのも含めてこの曲を演奏していると活動休止もあったし、もうリリースから15年近く経っているけれど、telephonesは変わらないんだなって思える。もちろん前述のように演奏はさらに上手くなっているけれど、バンドが纏う空気感は全く変わっていないと思う。それは最初期のものであるこの曲だからこそより強く感じる。telephonesがダンスとリズムのバンドであると同時に、メロディのバンドであるということも。
さらには誠治の独特なリズムのイントロからして何の曲かわかった客席からは拍手が起きたのは「kiss me, love me, kiss me」。これぞtelephonesのメロディという部分の素晴らしさを感じさせてくれる曲であると思っているのだが、それは当時バンドにとっては明らかに新境地だったこのマーチング的なリズムのポップなサウンドに挑んだことによるものが大きかったのだろうなと今になるとより強く思う。最後に一気にリズムが速くなり、サウンドが激しくなるのもライブで聴くとMVでのメンバーのように走り出したくなるくらいに本当に楽しい。
そしてここから後半戦に入っていくことが告げられるのだが、「SUPER DISCO Hits!!!」における後半戦でありクライマックスは、ライブタイトル通りにDISCO曲が連発されるということで、まずはやはりこれからDISCOすることを示すような「Do the DISCO」を演奏し、マスクをした観客は声を出すことなく心の中でDISCOを叫ぶのだが、「Keep Your DISCO!!!」では石毛がステージ前に出る際につまづいてしまい、ギターとアンプを繋ぐシールドが抜けてしまったのか、ギターの音が出なくなってしまう。
石毛はやり直しを求めるかのような仕草も見せていたのだが、イントロ中にギターの音が出るようになったのでそのまま演奏を続けるも、焦ってしまったのかまだ歌わなくてもいいところで歌い出してしまい、恥ずかしそうに涼平と顔を見合わせて再度歌の始まりを確認して歌い始めるのだが、この曲の歌い出しが
「Oh my god」
でという神に助けを求めるものであるというのはあまりに出来過ぎている気がするし、この曲でそうしたハプニングが起こるというのは、かつてZepp Tokyoでのライブ時にこの曲を演奏した際に石毛が過呼吸になってステージ上で倒れて場内が騒然としたことなんかを思い出させる。翌年のZepp Tokyoのライブではそれをネタにした演技というかコントめいたものをやったことも。それくらいにずっと見てきたバンドだからこそ、こうしてライブで聴いて何かあるたびにそうした今までの思い出が蘇ってくるし、また何年か後にこの曲をライブで演奏してハプニングがあったときにはこの日のことを思い出すんだろうなと思う。
とはいえ、続く「I Hate DISCOOOOOOO!!!」もそうであるが、こうしてDISCO曲を連発されるのはある意味ではキツくもある。それはコロナ禍になる前はスタンディングのモッシュもダイブもアリなライブの体力的な意味だったが、コロナ禍になった今は声が出せないということが。telephonesの曲、とりわけDISCO曲はもう人生において何回聴いてきたか、何回DISCOを叫んできたかわからないくらいにもはや体に染み付いている。
だからこそ、我々が叫ぶフレーズ、歌うフレーズを完璧に体や脳が覚えていて、油断するとそれがひとりでに口から出てしまいそうになってしまう。何よりも音楽を、ライブを愛する者として、またライブやライブハウスが悪く言われてしまうのは見たくないけれど、それでもやはり今まで通りに何も気にすることなく、telephonesのライブでみんなでDISCOを叫びたい。それが我々telephones peopleがこの世知辛い世の中を耐えて生き延びていくための最大の原動力になっていたということが、今になると本当によくわかる。モッシュもダイブも出来なくても、せめて声だけはと思う。それが一番感染対策においてリスクが高いことなのかもしれないけれど。
「ロックに行こうぜー!」
と石毛が言うと、このDISCOシリーズの中に入ってくる強さを持った「sick rocks」が演奏され、カウベルを叩くためのスティックを床に叩きつけてバウンドさせてキャッチするという技能を習得したノブは上半身裸にジャケットという出で立ちで叫びまくり、それに呼応してか石毛も最後には思いっきり叫ぶように歌う。その姿は紛れもなくロックそのものであったし、またここからさらに1段階ギアが上がったような、そんな気さえしていた。
そんな状態のバンドが向かう先はもちろんこれまでも何度となく到達してきた「ディスコの向こう側」であり、もはやディスコは音楽のジャンルやサウンドの一つというよりはもっと大きな概念のようなものという感じすらしてくるのであるが、そこに到達するために「Monkey Discoooooo」を演奏し、石毛は
「日テレPeople」
と文字数に上手いこと合う単語を選んで歌詞を変える。確かに「らんらんホール」や「よみうりランド」では文字数が多過ぎて入りきらないが、石毛は間奏で魂のブリッジギターを炸裂させ、声は出せなくても観客はみんな腕を振り上げて猿のように踊りまくる。完全にこのらんらんホールがディスコの向こう側に行っている。そんな、これまでに何度となく感じてきた、telephonesのワンマンでの「Monkey Discooooooo」での感覚が確かにあった。
そしてラストは来てくれた観客とこの会場への愛を曲で捧げる「Love & DISCO」。3日前のイベントでも最後に演奏されていたけれど、やっぱり「SUPER DISCO Hits!!!」でのこの曲はやっぱり普段聴くのとは全く違うのは、2014年のTOKYO DOME CITY HALLでの「SUPER DISCO Hits!!!」で活動休止を宣言した直後にこの曲を演奏し、それまで楽しそうに踊っていた誰もが全く踊ることなく立ち尽くしながらこの曲が流れていた光景が今でも頭の中にあるから。
でもあの記憶があるからこそ、こうして今また「SUPER DISCO Hits!!!」が開催されていて、昔みたいに今までに行ったことのない場所に行ってライブを見れて、この曲が最後に演奏されてtelephonesを愛する人たちみんな(マジでいつもいる人がたくさんいる)で踊ることができているというのがどれだけ幸せなことなのかということを噛み締めることができる。telephonesも強くなったけれど、そうした経験を経て我々も少しは強くなれたのかもしれない。だから石毛が
「telephones people」
と歌詞を変えて歌ったのがより一層グッと来た。また今年も一生忘れることのない「SUPER DISCO Hits!!!」になった。それを毎年毎年こうやって増やしていけるようにと心から思う。
アンコールでは衣装から今回のツアーTシャツやついに販売されたコーチジャケットに着替えてメンバーが登場すると、このツアーでノブがSNS上で行っている、あいうえお作文とその謎解きの説明をするのだが、説明をしても全くわからないという実にノブでしかない意味不明な状況になると、翌週配信リリースを控えた新曲「Yellow Panda」を披露。
ステージには確かにまさゆき作の黄色いパンダ像もあり、一つだけよみうりランドらしからぬ創作物があったのはこの曲に合わせてのものだったことがわかるのだが、「Get Stupid」とは対照的にポップかつハッピーなサウンドの曲で、サビのタイトルフレーズ歌唱では石毛に合わせて観客も手を左右に振る。
とびきり愛とディスコに包まれるこの幸せな「SUPER DISCO Hits!!!」に合わせて作られたんじゃないかと思うような曲であるし、だからこそ毎年この日にこうして演奏されていく曲になるような予感がしている。まだ歌詞の全貌を全て読めないだけに、なぜ「黄色いパンダ」にこのハッピーなサウンドに託したのかというのはリリース後に歌詞やMVが公開されてからじっくり考えたいところだ。
そして石毛はこの1〜2年のコロナ禍になったことについて触れ、
「もちろん医療従事者の方々へのリスペクトはあります。でも音楽やライブやライブハウスが不要不急だって言われることもあって、それに対して「音楽は必要だ」っていうことすら言いにくいみたいな空気も感じていたけど、俺はやっぱり音楽は不要なんかじゃない、必要だと思っています!」
とハッキリと口にした。コロナ禍になる前、活動休止する前からずっと「音楽が大好きです」と言い続け、その音楽への愛情を自分たちの音楽に昇華してきたtelephonesの姿を見てきたからこそ、その言葉には本当に強い説得力と、どこか覚悟のようなものを感じさせた。もちろん自分自身もそう思っているからこそ、その音楽が必要だっていうことをどうにかして自分なりに証明してやりたいと思って生きている。そのためにできることをtelephonesはこれから我々にきっと提示してくれるはずだ。
そんな言葉の後に最後に演奏されたのはやはりまだこの日演奏されていなかった「urban disco」。イントロで石毛のギターが鳴ると、メンバーが「1,2!」とカウントして客席から手拍子が起こり、「ハイ!」のコールに合わせて観客は一斉にジャンプする。メンバーの体力も運動能力も変わらないけれど、こうしてこの曲をこの形で演奏してくれている限りは、自分もどこまでも高く飛べるんじゃないかと今でも思える。
そんな感慨に浸っていると、ノブはステージ袖からアシカショーなんかで使うであろう階段を引っ張り出してきてその上に立って、やはり飛沫が飛ばないように口を押さえながら
「I am disco」
を叫び、さらには涼平も一緒にその階段に立たせてポーズを決めたりするというあまりの自由っぷり、しかしルールの範囲はしっかり守るという姿に誠治は爆笑しながらドラムを叩き、石毛も吹き出しそうになりながら歌っていた。いつも聴いている曲でも毎回こんなに新鮮なメンバーの姿やリアクションを見ることができて、毎回本当に楽しい。telephonesのライブに行き続けている理由が凝縮されたような、本当に幸せな瞬間だった。
演奏後にノブが律儀にその階段を片付けようとするのを誠治が「いいからいいから!」となだめるようにしてメンバーがステージから去ると、何やらスクリーンが上から降りてきて、「Yellow Panda」のリリースの告知とともに、来年アルバムがリリースされることも発表された。
まだ内容は公開されていないが、現状リリースされている「Caribbean」「Get Stupid」「Yellow Panda」もどれも全くサウンドは違いながらも、すでにライブには欠かせなかったり、やっぱりtelephonesは良い曲を作るバンドだなと感じさせてくれる曲ばかりだ。昨年リリースの前作アルバム「NEW!」が新たなtelephonesのデビューアルバムというくらいに素晴らしい作品だっただけに、アルバムも期待しかないし、アルバムが出るということはまたツアーも間違いなくやるということ。telephonesはこれからも走り続けるということ。その映像を見ながら、今までも「SUPER DISCO Hits!!!」はライブ前やライブ後にもこういう映像があったな、ということを思い出していた。
来年の年末はどんな場所でどんなライブを見せてくれるのだろうか。年末にはいろんなフェスも定着してきているけれど、その前にtelephonesの「SUPER DISCO Hits!!!」があるからこそ、こうして12月になったこと、1年が終わっていくことを感じられる。それをこれからもずっと重ね続けられますように。
1.A.B.C.DISCO
2.Baby, Baby, Baby
3.HABANERO
4.Yeah Yeah Yeah
5.Get Stupid
6.Caribbean
7.DISCO AGE MONSTERS
8.Heigh-Ho
9.Tequila, Tequila, Tequila
10.electric girl
11.I and I
12.kiss me, love me, kiss me
13.Do the DISCO
14.Keep Your DISCO!!!
15.I Hate DISCOOOOOOO!!!
16.sick rocks
17.Monkey Discooooooo
18.Love & DISCO
encore
19.Yellow Panda
20.urban disco
文 ソノダマン