/ 2023/12/28
2021年のミニアルバム3部作をまとめた配信限定アルバム「Fresh Cheese Delivery」からも顕著であったが、メジャーデビューして以降はパンク以外のサウンドを取り入れてもっと広いフィールドへ向かうことを模索していたように見えたWANIMAは今、完全に定まっている。それを音として、作品として示すのがこの「Catch Up」である。
それは何が定まったかというと、完全に「パンクである」ということ。だからこのアルバムにはもちろん聴かせるような曲もありながらも、サウンドとしては力強いパンク、ロックを感じさせるものになっている。それは今まではアルバムに1〜2曲はあったエロさをテーマにした曲が今作には収録されていないところからも感じられるのであるが、それによって今までは誤解されたり、ナメられたりすることもあったであろうWANIMAの芯の強さと、ソングライターであるKENTAを中心とした3人の実直な人間性を感じさせるようになっている。
つまりは軽い兄ちゃんたちがやってるパリピな音楽というものとは対極にある、自分自身と深く向き合うようなサウンドこそが今のWANIMAの軸であるということ。そこにはPIZZA OF DEATHからデビューした頃の圧倒的なメロディの力、氣志團の綾小路翔をして「誰が勝てるんだ」と言わしめたオーラがさらに強く存在している。
関連記事
Just A Boy LONGMAN
愛媛県のスリーピースパンクバンド、LONGMANのメジャーデビューアルバム。パンクバンドのメジャーデビューは割とインディーズで早い段階から話題になってそのままメジャーへ、というパターンも多いが、このバ …続きを見る
ANTENNA Mrs. GREEN APPLE
2014年に「Progressive」がリリースされた時に新代田FEVERにリリース記念主催イベントを観に行った。まだほとんどのメンバーが10代であり、表情には幼さを残しながらも、その楽曲とライブの完 …続きを見る
Life Is a D.A.N.C.E. the telephones
再始動後も傑作アルバムを連発してきたthe telephonesだが、ある意味ではこのアルバムこそが最大の再始動アルバムと言えるだろう。メンバー脱退によって3人体制になり、バンドの形もサウンドも大きく …続きを見る
Battle Hymns The Suicide Machines
スカ色が薄まりハードコア寄りになったThe Suicide Machinesの2nd。
1stのような音を期待すると「あれ?」っと思ってしまうかも知れませんが、スカを欲しなければメロディックなハード …続きを見る