近年、アーティストが周年イヤーを迎えるとほぼ確実にベスト的なアルバムがリリースされる。今年結成15周年のUNISON SQUARE GARDENも例に漏れず記念アイテムがリリースされたが、かつての企画盤「DUGOUT ACCIDENT」に続き、いわゆるベストアルバムではなくてカップリング集。シングルコレクション的なベストアルバムをリリースすれば間違いなく大ヒットが見込めるにもかかわらず、ファンアイテム的なカップリング集という、表を出さずに裏を出すというのは活動原理に「目立ちすぎないように」という意識があるこのバンド(というか田淵智也)ならではだ。
しかしそもそもベストアルバムとはなんなんだろうか。ヒット曲を並べたアルバムならばベストというよりもシングルコレクションだし、今や自由にプレイリストが作れる時代、かつてよりベストの意義は薄れている。ましてやユニゾンはファンそれぞれが自分にとってのベストと言えるような選択肢を与える曲をたくさん作ってきたバンドである。
だがこの「Bee side Sea side ~B-side Collection Album~」は間違いなくベストアルバムと呼んでもいいものだ。カップリングだからこそできる遊び心も見せながら、どれもがその時のバンドのベストを発揮した、ユニゾンだからこそ作れる名曲しか収録されていない。そんな曲が32曲も入ったこのアルバムをベストと呼ばずになんと呼べばいいのだろうか。
ユニゾンは「ガリレオのショーケース」くらいしかこのアルバム収録曲をライブで演奏しないし、田淵は常々「新しくファンになった人は昔のシングルまで掘り起こさなくていい」と言っていたが、何よりもうれしいのはそんな曲たちに光が当たる瞬間がやってきたということだ。
/ 2019/07/24