/ 2019/12/27
ここ最近は3年単位で新譜を出しているKOЯNの13枚目のアルバム。バグパイプで始まる「The End Begins」をはじめ、そこかしこに初期のサウンドを感じさせる。同曲のラストに挿入されたジョナサンの嗚咽に続く「Cold」は、KOЯNらしい不協和音に満ちたイントロ〜ヴァースのラップ、バキバキのベース音に続く、切なくエモーショナルなサビのメロディに胸が締め付けられる。本作には、アルバム完成の約1年前に亡くなった愛妻の死の影響があるそうで、アルバム全体に漂う悲痛なほどの嘆き、怒り、そして静寂…これらはすべて、彼女の死に直面し、受け入れるまでのジョナサンの苦悩そのものではないかと思うほどだ。実際、中盤の「Finally Free」は、彼女が死によって、長き薬物中毒との戦いから解放された安堵と悲痛を込めた葬送歌であるとマンキーが言及している。曲タイトルだけ見ても、「Can You Hear Me」「This Loss」など、行き場のない悲しみ、虚無を感じながらも光を求めてもがくジョナサンの姿が容易に想像できる。今回は、アートワークにも日本盤ブックレットにも歌詞は掲載されていないが、文字に起こすことで一度昇華させた苦悩が再び襲ってくるのを避けたかったのではないか、とすら感じてしまう。本作は、ジョナサンが虚無(The Nothing)と対峙し、昇華させるまでの物語だ。聴後には、どこか神々しいまでの爽快感が残る。
関連記事
ホームタウン ASIAN KUNG-FU GENERATION
どんなに安いスピーカーやイヤホンでも、一聴すると音質の良さにびっくりすると思う。「日本の録音技術の伝道」や「海外との録音技術の差を埋める」といったゴッチの使命感のようなものが産んだ、音質の化け物みたい …続きを見る
SUCK MY WORLD THE ORAL CIGARETTES
かっこいいバンドであるということはデビューミニアルバムの「オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証」リリース時からわかっていたが、ことフルアルバムとなるとこれまでどこか物足りないような印象をTHE ORA …続きを見る
Sweetie Sweetie ボンジュール鈴木
ボンジュール鈴木さん、ベストアルバムも出たし、引退するのかなあ……と思っていました。あの素敵な歌声が聴けなくなるのは残念だなあ……って。そしたらふっとこの作品が配信リリースされました。ボンジュール鈴木 …続きを見る
GORDON GANO’S ARMY GORDON GANO'S ARMY
B級ポップパンク好きにはたまらないUKのトリオバンド!奏でる音がとにかく素朴!演奏が凄く上手いとか、なにか新しいことをやってるとか、ボーカルが上手いとか、そんなものは一切ないけど、一聴しただけで心に染 …続きを見る
demonstration サカナクション, ダッチマン
サカナクションの前身バンド・ダッチマンが2001年に発売したアルバムです。サカナクション結成の4年前ですね。
“セントレイ”、“アルクアラウンド”、“アイデンティティ”のもとになった曲や“セプテンバ …続きを見る