/ 2019/12/31
2010年から4年に及ぶ活動休止を経て復帰後2枚目、通算8枚目のスタジオ・アルバム。初期のストレートなロックンロールに戻った前作からの流れを汲んだ一枚。前作ではまだ様子見感のあった、BYBらしい王道のロックンロールを、1曲目の「Good Morning Midnight」から炸裂させている。The Hellacoptersのニッケ・アンダーソンが曲作りに参加した「44 Undead」は、ドレゲンがヴォーカルをとっていることもあり、「Minus Celsius」を彷彿とさせるような哀愁を帯びたメロディが印象的な1曲。最後の「Laugh Now Cry Later」は、ピアノとアコースティック・ギターのバラードで、30年メンバー・チェンジをすることなく続けてきたバンドにしか出せない落ち着きというか、貫禄がある。彼らのこれまでの音楽スタイルも、どちらかというとパンクやポップスに寄った感のある活動中盤の『People Like People Like People Like Us』や『Backyard Babies』では少しロックンロール感は薄らいだものの、スタジオ・アルバムすべてに一定の統一感がある点は、同じメンバーで長く続いてきたバンドならではだ。出会った頃の初期衝動を、結成30年を迎えた今も持ち続けている類い稀なバンドだからこそ出せる音がここにある。
関連記事
君繋ファイブエム ASIAN KUNG-FU GENERATION
AKGのメジャーデビュー1stアルバムであり00年代を代表する名盤。CMでゴッチは「生活がかかってるんだよおーーー!!!」という熱い咆哮を響かせていた。
その …続きを見る
2020 a flood of circle
19位に選出した、佐々木亮介と青木テツによるSATETSUのアルバムは明確に「対コロナ」を意識したアルバムであるということを書いた。タイトルだけ見たらそれ以上に対コロナを意識したように見える本隊のa …続きを見る
The Nothing KOЯN
ここ最近は3年単位で新譜を出しているKOЯNの13枚目のアルバム。バグパイプで始まる「The End Begins」をはじめ、そこかしこに初期のサウンドを感じさせる。同曲のラストに挿入されたジョナサン …続きを見る
UP YOUR ASS GRIMPLE
スカコアじゃないOperation Ivyと言うか初期Rancidを更に激しくした感じと言うか。ハードコア視点で聴くと結構ポップで、ポップ視点で聴くと結構ハードコア。だみ声ボーカルと激速ドラムのリズム …続きを見る
THE KEBABS THE KEBABS
19位のSATETSUに続き、佐々木亮介がボーカルを務めるバンド、THE KEBABSのファーストアルバムである。
そうなるとただ単に佐々木亮介のファンだからという視点が入りがちであるが、そもそもア …続きを見る
ファンクラブ ASIAN KUNG-FU GENERATION
今までのポップなアルバムとは一転。内向的で陰鬱な雰囲気に面食らうと思う。しかし、聞けば聞くほどにただ内向的なだけではないことがわかっていく。
私もこのアルバムの真の良さが理解でき …続きを見る