/ 2020/10/23
本作『だから僕は音楽を辞めた』は、音楽を辞めることになった青年“エイミー”が、“エルマ”という人物に向けて作った楽曲である、というコンセプトのアルバム。だから『だから僕は音楽を辞めた』と『エルマ』は対である、らしい。
でも、『だから僕は音楽を辞めた』というタイトルは、n-bunaの叫びでもあったのだと思う。
本作と『エイミー』は、オスカー・ワイルドの「人生は芸術を模倣する」という言葉に影響を受けて作り上げた作品だという。
自分の好きなものから受けた影響で曲を作る、そういったやり方で作り上げたアルバムだとn-bunaはインタビューで述べている。
言ってしまえば、それはn-bunaが100のアルバムではない。他者がn-bunaに憑依して作られたアルバムである。
だから、『だから僕は音楽を辞めた』とn-bunaは言い切ってしまったのだろう。
だが結果として本作は、n-bunaの力だけで作り上げる世界を越えて、
それがポジティブな要素として音楽に反映されているように思う。
これまでn-buna自身が閉じ込められていた音楽という概念の檻から解き放たれた、素晴らしいアルバム。
関連記事
こんなところに居たのかやっと見つけたよ クリープハイプ
クリープハイプは自分たちでそうした活動が合わないと口にしているように、配信でガンガンシングルをリリースしまくるようなバンドじゃない。だからこそこうしてアルバムが出ることによって初めて聴ける曲がたくさん …続きを見る
サーフ ブンガク カマクラ ASIAN KUNG-FU GENERATION
アジカンのフロントマン、後藤正文氏がインタビューで「一番好きなアルバム」と語っている本作。
「江ノ電」という明確なコンセプトがあり、江ノ電を藤沢から鎌倉まで乗 …続きを見る
続 B面画報 Plastic Tree
いわゆるカップリング曲、レコード時代はB面曲と言われていた曲が良いアーティストが好きだ。Oasis「The Masterplan」やチャットモンチー「表情」など、そうしたアーティストのカップリング曲を …続きを見る