2016年の銀杏BOYZの「きれいなひとりぼっちたち」もそうだったが、トリビュートアルバムをこうしたランキングに入れるのはやや反則かもしれない。それはある意味ではベストアルバム的な選曲になるのが当たり前なアルバムだからである。
このサンボマスターのトリビュートアルバムも選曲はベストアルバムと言ってもいいような曲が揃っている。しかしそれを耳に馴染みまくって脳内に焼き付いてる曲ではなく、新たな曲として聴くことができるのは参加したアーティストたちのサンボマスターへの愛と、ただ原曲をそのままなぞるようなカバーにするのではなく、自分たちの曲として解釈するという姿勢あってこそのものだ。
トリビュートの話が持ち上がるはるか前からライブで対バンした時に披露されていた銀杏BOYZ「夜汽車でやってきたアイツ」、男女ツインボーカルという編成はこの曲をカバーするためかのようなハマりっぷりのヤバイTシャツ屋さん「光のロック」など、日本のロックの金字塔とも言える名曲たちに新たな命が吹き込まれているが、とりわけオープニングを飾るSUPER BEAVER「ロックンロール イズ ノットデッド」がまるで打ちのめされてきたバンドの歴史を歌ったオリジナル曲かのような説得力を持っており、これまでにあまり交わることがなかったように見えるサンボマスターとSUPER BEAVERが同じ人間への愛情と熱量を持っていることが伝わる。
ちなみに特典映像ディスクにはサンボマスターと参加アーティストたちが各地のライブハウスで対バンした際のドキュメントが収録されている。彼らが何を見て何を共有していたのか。それがわかる映像集。
/ 2021/01/03