/ 2021/02/25
前作『盗作』でボーカルの表現をがらっと変えたヨルシカですが、今作では作品内でボーカリストが何人もいるような錯覚を覚えるほど、さまざまな表現のボーカルが収録されており、改めてsuisのボーカリストとしての才能と努力に脱帽。
私だけの感覚かもしれませんが、アルバム一枚、同じボーカルが続くのってきついんです。飽きてしまうというか……。
また同じ声だよ……、みたいな。
そんな飽きに対するカウンターが洋楽によく見られるゲストボーカルだったり、グループアイドルのような多人数ボーカルだったりするのですが、
本作はゲストボーカルを呼ぶまでもないほどに一枚のアルバムの中でが様々な色の声を見せるから、BGMのように24時間流れていてもまったく違和感のないほどに心地いいです。
これまでヨルシカは現実の世界にありそうでないような、現実の世界とちょっとだけ違うifの世界を曲でもMVでも描き続けてきたのですが、
“風を食む”の≪値引きのシールを貼って/閉店時間を待った≫といった現実的な描写を表現をしたことから、
ヨルシカにとって創作とは「現在に即したもの」なのだろうなあと思いました。
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