/ 2023/06/16
リーガルリリーには初期から「リッケンバッカー」という蔦谷好位置も大絶賛していた名曲があって、本人たちもそれをわかっているのだろう、ライブでは必ず演奏するし、それをライブで研ぎ澄ませまくっている。でも今に至るまでリーガルリリーはその「リッケンバッカー」のような曲を量産することはしなかった。そうすれば今よりも売れているかもしれないし、ファンが喜ぶであろうことだってわかっているはず。でもそれを作ることなく、ただただ自分たちのインスピレーションの向かう方へ、自分たちが今本当にやりたいことの方へ向かい続けてきたバンドなのである。
それが今作「Cとし生けるもの」でも全く変わっていないというのは「東京」というタイトルの曲が
「ナイジェリアの風が」
というフレーズで始まるという支離滅裂にすら感じさせる歌詞で描かれていることからもわかるが、そんな自分たちを変えないままで「リッケンバッカー」的ではない名曲たちが揃ったのがこのアルバムだ。そこには今や化け物じみていると言っていいくらいに凄まじい迫力を誇る海とゆきやまのリズムの強さもしっかり封じ込められている。つまりは誰になんと言われようと自分たちの進んできた道が正しかったこと、これからもそうやって生きていくということを曲で、音で証明しているアルバム。まだ見たことがない人は一度是非ライブを見て欲しい。マジで意識や価値観が鳴らされている音によってぶっ飛ばされるから。
関連記事
First Album tofubeats
前作『Lost Decade』に比べて、サウンドが鋭利になっていますね。
サウンドもボーカルの加工も、どこか耳に引っかかりますよね。
バッキバキのDJがパーティを高揚させるためのひっかけかたではな …続きを見る
demonstration サカナクション, ダッチマン
サカナクションの前身バンド・ダッチマンが2001年に発売したアルバムです。サカナクション結成の4年前ですね。
“セントレイ”、“アルクアラウンド”、“アイデンティティ”のもとになった曲や“セプテンバ …続きを見る
2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs RADWIMPS
RADWIMPSが毎年3月11日に発表している楽曲を集めたアルバム。3月11日というのはもちろん、東日本大震災。
東日本大震災からちょうど10年が経った。僕は、2011年と2012年の夏に石巻と女川 …続きを見る
花降る空に不滅の歌を a flood of circle
また1位このバンドか、と思われてしまいそうなくらいに、近年はアルバムを出せば毎回1位に選出しているのは決してバンドサイドからの回し者であるわけではなくて、年間180本近くライブに行っている中で最も多く …続きを見る
ファンクラブ ASIAN KUNG-FU GENERATION
今までのポップなアルバムとは一転。内向的で陰鬱な雰囲気に面食らうと思う。しかし、聞けば聞くほどにただ内向的なだけではないことがわかっていく。
私もこのアルバムの真の良さが理解でき …続きを見る