/ 2023/12/28
フィーチャーしてくれるメディアもあまりいないけれど、実はメロコア・パンクバンドとして(ここが結構重要)毎回名盤を生み出し続けているバンドである。それだけにこのランキングにも何度も登場しているスリーピースバンド、LONGMANの今年リリースのフルアルバム「10/4」はそのタイトル通りに「10月4日という1日をアルバム1毎で表現する」というコンセプトアルバムになっている。
しかしコンセプトアルバムと言ってもとっつきづらさみたいなものは全くない。おなじみの「Opening」からスタートし、どれか1曲だけを取り出して聴いても「良い曲だな」とわかるようなLONGMANらしいポップなパンクばかりが収録されている。そのポップさを担っているのは男女ツインボーカルのうちの女性のさわ(ベース&ボーカル)の、いこうと思えばJ-POPのシーンにまで飛び込んでいけるようなキャッチーな声質を持ったボーカルであることがそのコンセプトと流れによってより際立っているのが今作だ。音楽的に決して新しいことをやっているわけではないけれど、今のLONGMANの力と方法論でパンクを進化させようとし、パンクにまだまだ新しいことができる可能性があることを示してくれていて、それを果たしている作品でもある。できればヤバTのファンの顧客たちにも聴いてもらいたいバンド。
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