この手のオムニバスものカバーアルバムは、一時期は闇雲に数がリリースされ、コンセプトにより同じような人選でクオリティ的にもあまり面白みが無いものが多かったが、近年は企画もしっかりして内容も良いものが世に出ている印象だ。
その一つがこの作品。原曲が超名曲ばかりなので、単にスーパーのBGM的になぞるだけでもそれなりに聴ける作品になるはずだが、それぞれのプレイヤーの表現力によりディズニー楽曲の、またギターという楽器の良さを存分に引き出せている。一部少し80’s的テクニカルに寄りすぎな部分もあるがご愛嬌の範囲だろう。
特に#2、Under the Seaのポールギルバートの”水中”を意識したエフェクティブな演奏は、テクニックを極め、エレキギターの特性を知り尽くしている彼ならではのアイディア。#6 Hellfireのジョージリンチのスリリングさも、楽曲の緊張感とあいまって、この曲のディズニーらしからぬダークな魅力を存分に引き出している。
また、”日本代表”として参加の松本孝弘の#3 When You Wish Upon A Starは、B’zファンでなくとも一聴すれば彼のものとわかる、どこか日本的な雅さをも感じさせるトーンが素晴らしい。
なんとプロデュースが元ラウドネス、イングヴェイマルムスティーンのマイク・ヴェセーラのようなのだがどのように関わったのかは不明。
様々なスーパーギタリストに触れてきたことが、彼がこのような素晴らしい作品を仕上られた理由の一つなのは間違いない。
ギターの持つ未知の可能性を感じる一枚。