「ついに!」というか「やっと!」というか、アルバムを出す出すといい続けて早6年、ようやく完成したサカナクション6年ぶりのアルバムです。待たされた分だけ感慨もひとしおで、サカナクションがアルバムを出したという事実だけでもう100点みたいなもんなんですが、冷静にこの一枚を評価すると完璧とはいいがたい部分があるのも事実。まず、アルバムのコンセプトやまとまり感を大事にするサカナクションなのに、本作は曲ごとにぶつ切りな印象を受けます。その理由は、2枚組である本作をそれぞれ≪札幌盤≫・≪東京盤≫というコンセプトでまとめた点にあります。「札幌の曲を詰め込みました!」「東京の曲まとめました!」という、お菓子のバラエティパックみたいな感じ。「チョコもあればクッキーもあるしキャンディもあるじゃん」みたいな。でも無理やりこの形にしないとこのタイミングで出せなかったんだろうなとも思う。まとまりに欠けるんだけど、札幌盤・東京盤とすることでサカナクション自身も無理やり自分たちを納得させたというようなやりとりが見えます。インタビューではこんなこと一切言ってなかったけどね。
曲の流れが完璧じゃないから、減点法になっちゃうんだけど、どうしても100点はつけられない。
「2位じゃだめなんですか?」は有名な議員の言葉だけど、2位は時代に埋もれていくんだよ。完成度を極めるには6年では全然足りなかったなあ。もっと期間が必要だったなあ。個人的にはもっと時間がかかってもいいから、完璧な作品を聴きたかった。6年も8年もそう変わらない。
文 高橋数菜
決して沈黙していたわけではないし、フェスなどに出演しながらちょくちょくツアーを回ったりもしていただけに、6年ぶりのアルバムと言われるとビックリしてしまうが、それだけ待たされた甲斐のある2枚組というボリュームと内容。
それだけ期間が空くとどうしても既発シングル曲がたくさん入って…というものになりがちであるし、確かに既発曲も多く収録されているが、山口一郎出演のソフトバンクのCM曲として起用された「忘れられないの」をはじめとして、アルバムの新曲群のクオリティの高さ、そしてサウンドはバラバラでありながらもサカナクションでしかないそれらの曲たちはなぜこのバンドが日本を代表する立ち位置にまで到達できたのかということ、サカナクションというバンドの凄さそのものを改めて感じさせてくれる。
そしてリリースが延期されたが故にリリースに先駆けて行われたツアーによって、そのサカナクションの凄さに改めて打ちのめされた。あんなサカナクションでしかできない音楽と芸術の融合的な凄いライブはやっぱり観てしまったら、忘れられないの。
文 ソノダマン