/ 2020/03/01
tetoというバンドのイメージ。早口で言葉数の多い歌詞と焦燥感すら感じるテンポの速いロックサウンド。それは2018年の個人的年間ベストの1位に選出した「手」からわずか1年で届いたこの「超現実至上主義宣言」にも確かに息づいている要素である。
しかしこのアルバムを聴いて最も驚いたのは、ポップなシンセの音が鳴っている曲が多数あるということ。しかもクレジットを見るとそのシンセを弾いているのは小池貞利(ボーカル&ギター)。紛れもなく小池自身がそのtetoというバンドの持つイメージの刷新に最も意欲的だ。
ライブではもはやアンセム化している「光るまち」の待望のバンドバージョン(シングルのカップリングに収録されていたのは弾き語りだった)から始まるという先頭打者ホームランで幕を開けるこのアルバムは、tetoのライブにおけるはちゃめちゃと言っていいような衝動を感じさせるパフォーマンスもあってか、どこか人生に確かに限りがあって、終わりがくることと向き合わされる。それは紛れもない現実である。それまでにあと何回このアルバムを聴けるだろうか。あと何回tetoのライブを観れるだろうか。いずれ朽ちて無くなってしまうまで。
関連記事
沈香学 ずっと真夜中でいいのに。
マジで今のずっと真夜中でいいのに。のライブは今までにも増してとんでもないことになっている。それは「チェンソーマン」のエンディングの1曲として話題になった「残機」や、VtuberラッパーのMori Ca …続きを見る
Bee side Sea side ~B-side Collection Album~ UNISON SQUARE GARDEN
近年、アーティストが周年イヤーを迎えるとほぼ確実にベスト的なアルバムがリリースされる。今年結成15周年のUNISON SQUARE GARDENも例に漏れず記念アイテムがリリースされたが、かつての企画 …続きを見る
So kakkoii 宇宙 小沢健二
2010年代の後半って、コーネリアスだったり、岡村靖幸だったり、寡作なアーティストが久しぶりにアルバムを出したりして。そんななかに小沢健二ですよ。皆さん共通して、この時代にアルバムを出すべきだ! と感 …続きを見る
COMINATCHA!! WANIMA
フルアルバムも3枚目となるとどうしても聴いていて既視感を感じてしまうこともあるし、それがパンクというある意味ではサウンドやスタイルが決まり切っているバンドならば尚更。
WANIMAのこの「COMIN …続きを見る
Battle Hymns The Suicide Machines
スカ色が薄まりハードコア寄りになったThe Suicide Machinesの2nd。
1stのような音を期待すると「あれ?」っと思ってしまうかも知れませんが、スカを欲しなければメロディックなハード …続きを見る
SUCK MY WORLD THE ORAL CIGARETTES
かっこいいバンドであるということはデビューミニアルバムの「オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証」リリース時からわかっていたが、ことフルアルバムとなるとこれまでどこか物足りないような印象をTHE ORA …続きを見る