/ 2019/06/20
令和元年、活動30周年を迎えた人間椅子が満を持してリリースした、通算21枚目となるオリジナル・アルバム。平成元年に、ねずみ男に扮した鈴木(b)がベースをかき鳴らし歌った「平成名物TVイカすバンド天国」での演奏が世間をザワつかせてから今日まで、平成とともに時代を歩んできたバンドだからこそ生み出すことができた作品と言っても過言ではない。これまで、江戸川乱歩の作品名をそのまま曲やアルバムのタイトルにすることの多かった彼らだが、本作のタイトルは、乱歩がデビューを果たし、その後いくつもの代表作を発表した雑誌を由来としており、彼らのこれまでの音の歩みを包括する作品として、最適なネーミングだ。ひとつひとつの楽曲は、プログレッシヴな展開の多い曲やドゥーミーな曲、ストレートなハード・ロックなどバラエティに富んでいるが、全体を通して聴くと、いつもの津軽色はほとんど感じられないものの、どれも不変の人間椅子らしさを失わない。本人たちによると、聴く者を恐怖のどん底に陥れるような楽曲になるよう心がけたとのことだが、「鏡地獄」や「屋根裏の散歩者」での独特なギター・エフェクトのかかったリフを聴いて生まれるのは、恐怖というより、不安や焦りといった感情だ。それは、大人になりきれない“新青年”期に感じる、仄暗い苛立ちのような感情にも似ている。そんな、えも言われぬ気持ちを通して、初心に返ることのできる一枚。そんなところも人間椅子らしい。
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