このアルバムも筆者が生まれる何年も前の作品だし、ましてや当時のライブでの演奏は映像でしか観たことがない。
しかし、現在の最前線の新譜に刺激を受けることと同様に、数十年前の作品を改めて聴き、新鮮味や衝撃を受けることが大いにあるのだ。
とくにこのバンドにおいては、『Made in Heaven』以外はすべて後追いながら、ある種の新しさをどのアルバムにも感じながら聴いている。
QUEENとしては3枚目の作品で『ボヘミアン·ラプソディ』以前の、まだ未完成の勢いや手探り感がギリギリ残っている印象がある。
全体としては前2作のプログレッシヴロック的アプローチを抑え、ブライアンメイ中心のハードロックサウンド主体の曲を軸として、その間を他メンバー作のバラエティ豊かな曲たちが埋めていっている。
ハードロックバンドとしてのQUEENはこの作品でひとつのピークに到達しているだろう。
スラッシュメタルのプロトタイプといえるSTONE COLD CRAZYや、ブライアンメイの津軽じょんがらギターが聴けるBrighton Rock、ライブの勢いをそのまま音源にしたような誘惑のロックンロールなどなど、同時期のどのバンドよりもヘヴィかつラウドな音を出しており、ハードロックバンドとしてのQUEENがここにある。
また、プレイリストで『News of the World』収録の楽曲の方のSheer Heart Attackをこのアルバムの2曲目くらいに追加して個人的”完全版”を作るのもおススメする。
メタル愛好家であれば点数はプラス20点!