/ 2022/04/07
今年の夏にZepp Tokyoで初めて日食なつこのライブを見た。広いZeppのステージにピアノ1台、本人1人だけ。曲と曲の間に口にされる曲の物語の解説も含めた30分間の全てが音楽だった。そのライブで演奏されていた曲のほとんどがこの今年リリースの「アンチ・フリーズ」に収録されている曲であった。
それまではどこかアングラなイメージも持っていた日食なつこがポップなシンガーソングライターであり、稀代のストーリーテラーであるということがこのアルバムを聴けばすぐに理解できるのだが、このアルバムの最後に収録されている「音楽のすゝめ」は曲の歌詞を全て書き記したいくらいに、今この状況の世の中であっても音楽の力を少しでも信じている、音楽が人生に必要だと思っている全ての人に届いて欲しい曲である。その中で絞って記すとすれば、
「九つ、即ち音楽これ人の心
絶やしちゃいけない人の命 そのものなんだよ」
ということになるだろう。
「短い夢を 朝が来れば幻と化す夢を
後先もなくかき集めてしまう 馬鹿な僕らでいようぜ」
そう、この曲があれば、この音楽があればどんなに馬鹿と言われても構わない。そう思える、2021年に生まれるべくして生まれた大名曲。そして、馬鹿な僕らで会おうぜ。
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