おそらくはこのアルバムを引っ提げたツアー「NON-REM WALK TOUR」に参加したかどうかによってかなり評価が変わるアルバムだと思っている。もちろんツアーに行ってない人からしても良いアルバムだとは思うだろうけれど、そのツアーに行ってこの曲たちを聴いた人からしたら間違いなく特別な作品になるような。それはこれまでのライブにはなかったくらいに秋山黄色がそのツアーをアルバムの内容に紐づけたコンセプチュアルなものとして表現していたからである。
それはそのくらいにこのアルバムを伝えたいという思いと、こうすれば伝わるというアイデアを持っていたからであるが、そのツアーを観て思ったのは「これまでで最も秋山黄色の深層心理や死生観が表出した作品」だということだ。その死生観は子供の頃から持っていたことだということも話していたが、それが変わりつつあることもそのツアーを観てわかったことでもある。つまりはちゃんと我々一人一人に生きる意味や理由が存在しているということを伝えてくれるアルバム。
このアルバムは実質的なラストトラックと言える「生まれて良かったと思うこと」という、アルバムの核心というような曲で終わり、PEOPLE 1のDeuのリミックス曲へと続くが、この曲をライブで聴いた時に真っ先に思ったのは、自分が生まれて良かったと思うことは秋山黄色というアーティストとその音楽に出会えたということ。色々あったけれど、その思いが揺らいだことは一度もない。それを再確認させてくれた作品。
/ 2025/03/11