/ 2014/10/17
かつて、「サカナクションの音楽はなぜノれるのか」という問いに対して『ROCKIN’ON JAPAN』の山崎洋一郎は「四つ打ちだから」という解を出した。
サカナクションの音楽は、四つ打ちだと意識して聴かなければ四つ打ちだということが見えずらい構成になっている。
おそらく、どこもかしこも四つ打ちの音楽ばかりが溢れている世の中、そして四つ打ちでなければ勝ち上がりづらい当時の音楽シーンに対しての回答がサカナクションの音楽だったのだろう。
『GO TO THE FUTURE』はそんな彼らが今後「勝っていく」ためになにをすればいいか、ということが意識されているアルバムだ。
種まきのアルバムだ。
だが、実験的でありながらも完成度との調和が図られている。
このアルバムは全曲、同じBPMで構成されている。
ゆったりとした一定のBPMの中での揺らぎ、高揚、沈着をゆったりと行き来していく。
一定のBPMで揺らぎを生み出すという行為はDJと同じだ。
この時からサカナクションはクラブミュージックとロックとの融合を行っていたのだ。
このアルバムは完成度に反し商業的な成功を収めたわけではなかったが、このアルバムこそが『サカナクション』なのだと思う。
関連記事
CRAZY ABOUT YOU MOSHIMO
個人的に「なんでもっと広がらないんだろう?」と思っている最たる存在と言えるバンドである。それくらいにMOSHIMOは今でもライブのキラーチューンである「命短し恋せよ乙女」以降も、このバンドにしか作れな …続きを見る
だから僕は音楽を辞めた ヨルシカ
本作『だから僕は音楽を辞めた』は、音楽を辞めることになった青年“エイミー”が、“エルマ”という人物に向けて作った楽曲である、というコンセプトのアルバム。だから『だから僕は音楽を辞めた』と『エルマ』は対 …続きを見る
伝説の夜を君と a flood of circle
懸念点は一つだけ。昨年この年間ベストで1位に選んだ「2020」があまりに凄すぎただけに、それと比べたら見劣りしてしまうかもしれないということ。
しかしながら佐々木亮介の弾き語り的なアルバムタイトル曲 …続きを見る
ホームタウン ASIAN KUNG-FU GENERATION
どんなに安いスピーカーやイヤホンでも、一聴すると音質の良さにびっくりすると思う。「日本の録音技術の伝道」や「海外との録音技術の差を埋める」といったゴッチの使命感のようなものが産んだ、音質の化け物みたい …続きを見る
「だから僕は音楽を辞めた」「エルマ」 ヨルシカ
かつて自分は3枚組というボリュームの七尾旅人「911 FANTASIA」というアルバムを年間1位に選出したこともあるし、コンセプトアルバムというものは音楽に加えて1枚を通して描く物語という要素が加わる …続きを見る