/ 2023/06/16
デビューフルアルバムであるだけに、最初はどんなもんだろうかと思って聴いてみたが、確かにデビューアルバムだからこそのフレッシュさもありながらも、まるで5枚くらいアルバムをリリースして、その全てで毎回サウンドを変えてきたバンドの集大成的なアルバムのような、そんな完成度を誇るのがこのChilli Beans.のセルフタイトルアルバムである。
それを可能にしているのは全員がボーカリストとして確かな力量を持ったメンバーであること、レッチリなどの影響源を落とし込める技術とグルーヴをすでにバンドが持っているからであるが、特にMotoのハイトーンとロウトーンを曲によって変える歌唱はそのまま曲のイメージを決め、MaikaのベースとLilyのギターは延々とセッションしているのを聴いていたくなるほど。それらの要素がこんなにあらゆるサウンドやジャンルを軽やかに飛び越えるChilli Beans.の音楽として鳴らされている。「超斬新!」とか「世界の最先端と併走してる!」みたいなものではないけれど、自分はこのアルバムを聴いてこのバンドがこの国における全く新しいタイプのバンドだなと思っている。
関連記事
THE SIDE EFFECTS coldrain
もはやラウドロックというジャンルが隆盛を極めてきた、というよりもだんだんと大きなステージに立てるバンドとそうではないバンドがハッキリしてきたように感じる。一口にラウドと言ってもそれぞれのバンドの戦い方 …続きを見る
GIFT ROCKS a flood of circle
今年でバンド15周年を迎えたa flood of circleがそれを祝ってリリースしたのは、フラッドと互いにリスペクトし合うアーティストに書いてもらった曲をフラッドが演奏するという、変わったタイプの …続きを見る
ホームタウン ASIAN KUNG-FU GENERATION
どんなに安いスピーカーやイヤホンでも、一聴すると音質の良さにびっくりすると思う。「日本の録音技術の伝道」や「海外との録音技術の差を埋める」といったゴッチの使命感のようなものが産んだ、音質の化け物みたい …続きを見る