「珪藻土マット」がニュースになっている。人体に有害な物質を含んでいるものがあると。そのニュースを見た時に真っ先に思い出したのがヤバTの「珪藻土マットが僕に教えてくれたこと」であり、ヤバTメンバーが使っている珪藻土マットは大丈夫だろうか?と思った。それくらいにヤバTの生み出した楽曲が日常に浸透しているということである。
アルバムを予約した人全員にサインをするというトピックスもあったが、結果的にこの「You need the Tank-Top」がオリコン1位を獲得するほどのヒットになったのはそれだけが理由ではない。その日常の視点(「原付」「ジャスコ」など)を名曲に落とし込むことができるこやまたくやの天性のスキルがあってこそである。
そんな中でこのアルバムの軸になっているのは、タンクトップ=パンクロックが世の中に必要であるということをヤバTなりのパンクサウンドで鳴らした「Give me the Tank-top」(MVも必見)と、こやまの親族が亡くなってしまったことをきっかけに作られたという感涙必至の「寿命で死ぬまで」。
初期のヤバTはただ面白いだけのバンドと誤解されることも多かった。しかしそれを自分たちの音楽とライブで覆してきた。その過程で生まれた悔しさが新たなバンドの力になってきた。図らずもコロナ禍ということを意識せざるを得ないような曲になったが、こんなにも曲を聴くだけで涙が溢れてくるパンクバンドがいるだろうか。「寿命で死ぬまで」の、歌唱力よりも声量とエネルギーを重視した(せざるを得なかった)3人の本気のボーカルには、紛れもなくこやまたくや、しばたありぼぼ、もりもりもとの3人の生身の感情が詰まっている。
「音楽の力はマジですごいから」
それを自分たちの音楽で証明できるバンドに、ヤバTはなったのだ。
/ 2021/01/03