go!go!vanillasの歴史はサウンドの広がりの歴史だと思っている。ロックンロールバンドとしてシーンに登場しながらも、世界中のありとあらゆる音楽を聴き、オフにはレコード屋に行って古今東西のレコードを掘る。そんな音楽マニア集団であるバニラズなだけに、こうしてアルバムごとにどんどん内容が多彩になっていくのは必然であるとも言える。
とはいえ、1枚のアルバムの中にいろんなサウンドの曲を入れるというのは時にはアルバム自体がとっ散らかってしまう可能性も孕んでいるのだが、それを全くそう感じさせないどころか、ロックンロールバンドがヒップホップやゴスペルを取り入れてもそこに違和感を感じさせない、バニラズの音楽として成立させているというあたりにこのバンドの凄まじさを改めて感じさせるとともに、よく言われる「この4人で音を鳴らせば自分たちの音楽になる」ということを今最も体現しているバンドであるとも思える。
今やフェスなどの持ち時間の短いライブでも、「クライベイビー」「お子さまプレート」「one shot kill」というシングル曲でもないこのアルバムの曲がセトリの中に入るようになったし、それがちゃんと観客に受け入れられている。バンドはこのアルバムに絶大な自信を持っていて、それがしっかり届いているという理想的な状況はこのバンドがシーン登場時には全く想像も出来なかったアリーナツアーをやるバンドになったということも当然の結果であると言える。
なまじ牧達弥のビジュアルが良いだけにそういうバンドとして見られていることもあるかもしれないが、そのイメージを自分たちの音と曲でもって吹き飛ばすかのような説得力に満ちた、間違いなくバニラズの最高傑作。これからも、バニラズの未来に賭けてみよう。
/ 2022/04/07