/ 2020/03/01
それこそ「これぞフレデリック」と言えるような、シュールは歌詞のダンスロック「スキライズム」も収録されているとはいえ、このアルバムでフレデリックが目指しているのはその「これぞフレデリック」というようなイメージからの脱却と、新たなフレデリックらしさの構築だろう。
そうした今までのフレデリックらしい曲に比べるとはるかにテンポの遅い、狂騒的なダンスチューンではなくリズムに合わせて体を揺らせるような「LIGHT」から始まるということがそれを最も示しているが、本人たちもインタビューにおいて「「オドループ」がなくても成立するようなライブを」と発言しているように、バンドの視線ははるかに先を見据えている。
そうした視線の変化はともするとファン層の入れ替わりを招いてしまう可能性も孕んでいるけれど、フレデリックをダンスユニットではなくてロックバンドたらしめる上でこれまで以上に重要になるのは赤頭隆児のギターであると個人的には思っている。
「夜にロックを聴いてしまったら」、踊らずにはいられない。
関連記事
Songs of Innocence & Experience DYGL
再生した瞬間の感想「え?これ本当に日本のバンド?10年くらい前のアメリカのインディーズバンドじゃなくて?」というくらいにサウンドも英語の発音のスムースさも今の日本のバンドでは聴けないもの。でもそれは懐 …続きを見る
UP YOUR ASS GRIMPLE
スカコアじゃないOperation Ivyと言うか初期Rancidを更に激しくした感じと言うか。ハードコア視点で聴くと結構ポップで、ポップ視点で聴くと結構ハードコア。だみ声ボーカルと激速ドラムのリズム …続きを見る
Tank-top Flower for Friends ヤバイTシャツ屋さん
こやまのデスボイスからしばたのハイトーンボイスによるキャッチーなサビまで激しく展開していく「Blooming the Tank-top」から始まり、こやまがピアノを弾いてしばたが歌う、本来は怒りの感情 …続きを見る
FLAME VEIN BUMP OF CHICKEN
正直、演奏はよくない。音もよくない。
だからこのアルバムはメロディの力で持っている。
別に完璧な音楽を作る必要なんてない。とくに若い時分においては。
演奏や音響や機材が気に食わなかったら然る時に …続きを見る
ホームタウン ASIAN KUNG-FU GENERATION
どんなに安いスピーカーやイヤホンでも、一聴すると音質の良さにびっくりすると思う。「日本の録音技術の伝道」や「海外との録音技術の差を埋める」といったゴッチの使命感のようなものが産んだ、音質の化け物みたい …続きを見る