もしあなたが今、初めて彼らの曲を聴いているとしたら、そのサウンドがマイク・カー(Ba)とベン・サッチャー(Drs)から成るたったふたりのデュオによって奏でられているとはにわかには信じられないのではないだろうか。そのグルーヴィーで分厚い音はデビュー前から注目され、ARCTIC MONKEYSのドラマー、マット・ヘルダーズがグラストンベリー・フェスティバルで彼らのTシャツを着て演奏するなど、何かと話題になっていた。LED ZEPPELINからQUEEN OF THE STONE AGEへ続く系統だと言われることの多い彼らのサウンドだが、まさにその通りのうねりと重厚感、そして美しくもどこか物哀しいメロディ・ラインは不思議と中毒性があり、攻撃的にも思えるほどの轟音は時に耳に痛くもあるのに、曲の終わりに近づくたびにリピート・ボタンを押さずにいられない。彼らのライヴ映像を見ていると、なぜ今までバンドは4人編成が当たり前だと思っていたのか、本当にわからなくなる。それほどふたりで完結してしまっているのだ。全英チャート1位を獲得したデビュー・シングル「Out of the Black」を収録したファースト・アルバム『Royal Blood』に比べ、本作は攻撃性が薄れ、メロディ重視のキャッチーな曲が多いが、グルーヴ感と分厚い音は相変わらずで、より一層QUEEN OF THE STONE AGEに近づいた感もある。今年3月に行われるはずだったUSツアーは軒並み延期されたようだが、この世界的な危機を乗り越えた後にはツアー活動を再開し、これまでにも増して轟音を爆発させてほしい。
/ 2020/04/22