/ 2022/04/07
tetoにとって2021年は激動の年だった。それは言うまでもなく、山崎陸と福田裕介の脱退というバンドの存続すら危ぶまれる出来事があったからであるが、とはいえtetoの刹那的な衝動を炸裂させるというスタイルは確かにずっとこのまま変わらずに、というタイプのバンドのものではなかった。
小池貞利は脱退報告時に
「幼なじみでもないし、同級生でもない。25歳で始めたバンドだし、思想も哲学も全く違う。押されたら崩れそうな縄の上をギリギリのバランスで渡ってきた4人だった」
と言っていたが、その4人で作った最後の作品はそんな感傷を感じさせないくらいに(作っている時は脱退が決まっていないから当然だが)tetoでしかないものになっているが、その作品の曲やこれまでのtetoの曲を、今のライブではこれまでの活動で出会ってきた盟友たちの力を借りて鳴らしている。そこから感じるのは変わらないtetoらしさ。それはすでにこのアルバムリリース後に小池が弾き語りで演奏している新曲もそうなるはずだ。
「居場所が無い訳では無くて
ただ居場所がわからない
目を閉じ胸を押さえ耳を塞ぐ
どこにも出掛けられず」
(「遊泳地」)
そんな思いをしてきた人の居場所が確かにここにあることを感じさせてくれるアルバム。
関連記事
aurora arc BUMP OF CHICKEN
BUMP OF CHICKENというアーティストはもともと、年に1枚しかシングルを出さなかったり、1曲の詩を書きあげるのに1年かかったり、非常に筆の遅いアーティストなんです。アルバムを作る時もそうで、 …続きを見る
未だ見ぬ明日に ASIAN KUNG-FU GENERATION
前作『ワールドワールドワールド』から溢れた曲を詰め込んだというミニアルバム。
いい曲ばかりだけど、ベストアルバムはマスターピースにはならないんだな。
例えば …続きを見る
Chilli Beans. Chilli Beans.
デビューフルアルバムであるだけに、最初はどんなもんだろうかと思って聴いてみたが、確かにデビューアルバムだからこそのフレッシュさもありながらも、まるで5枚くらいアルバムをリリースして、その全てで毎回サウ …続きを見る
ボイコット amazarashi
例えばリリースされたばかりの「令和二年」を始め、amazarashiは常に「今のこと」を歌いながらも、ライブでは数年前の曲を、朗読などの演出や前後の曲と組み合わせて響かせることによって「今を描いた曲」 …続きを見る
GORDON GANO’S ARMY GORDON GANO'S ARMY
B級ポップパンク好きにはたまらないUKのトリオバンド!奏でる音がとにかく素朴!演奏が凄く上手いとか、なにか新しいことをやってるとか、ボーカルが上手いとか、そんなものは一切ないけど、一聴しただけで心に染 …続きを見る